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19章 ※
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しかし、もう二度と会えないという感傷に浸るのは、今ではない。こうして存分に体を重ね想いを交わしたなら、一刻も早く安全なところに身を隠してほしかった。
テオバルドは、逃避行の荷物と切符の手配は済ませたと言った。慎重で用意周到な彼ならば、手下と落ち合い、始発まで身を潜められる隠れ家も確保しているはずだ。
「……早く、支度を」
促した声は掠れていた。喘ぎに枯れた喉の有り様が、その原因となった激しい情交を赤裸々に物語っており、志貴は赤面する。
さらに言えば、男の思うままに惨く広げられた下肢の節々も、荒々しい抽挿を受けとめさせられた腰や上半身も、何より太く長く硬い雄で無理矢理中を拓かれた尻も、軽く身動ぎするだけで、受け入れた行為の苛烈さに抗議の声を上げる。テオバルドの雄は強く、達するまで、かなりの時間を志貴は揺さぶられ続けたのだ。
血管にねっとりとした蜜を流し込まれたかのように体は重く、いまだ強烈な絶頂の余韻に痺れている。身を起こすのもつらい志貴は、眼差しで出立を訴えた。
しかしテオバルドは、鼻を鳴らしてそれを躱す。
「あんなに俺を締めつけて、離したくないって全身で叫んでたくせに、早く、か。──しかもそんな蕩けた顔で。やっぱりとんだ悪女だな、志貴」
「悪女って……私は、ただ」
「だが、悪女の息の根を止めるのも悪くない」
「──アッ! は、あァンッ」
グッと深いところを突き上げたかと思うと、一息に引き抜かれた雄の分厚い肉の鰓で、ごりごりと花筒を削られた。ようやく鎮まりつつあった快楽の火が、突然の摩擦と深い喪失に、また熾される。
大蛇が這い出るような感覚に狂わされた粘膜が、食い締めるものを求めてうねる。限界まで拡げられていた蕾は、ぽっかりと虚ろに口を開いたまま、貪欲な中の動きを垣間見せる。トロトロと溢れ出る白濁と充血した媚肉も生々しく、すこぶる卑猥な眺めだ。
すっかりいやらしい穴になった──言葉には出さなくても、テオバルドの熱く濡れた眼差しが、恋人を淫らに花咲かせる歓喜に炯っている。
──まだ終わっていない。
唐突に志貴は気づいた。
互いに息を切らすほど、長く激しく交わった。気が遠くなりそうな極みに追い上げられ、体も疲れきっている。それでも何とか意識を手放さずにいるのは、去りゆく男を見送り、断ち切るためだ。
しかしテオバルドは、終わらせようとしていない。色悪の笑みを浮かべ、しどけなく横たわった恋人の、事後の艶姿に見入っている。
「テ、オ……もう……」
翻意を促す声に、焦りが混じる。
追われる者と留まる者──逢瀬の時間は限られている。追われる者の身の安全を削っての逢瀬だ。世の恋人たちのように、離れ難いからと、いつまでも抱き合っていられる間柄ではない。
日が昇る前、漆黒の闇の中を移動した方が安全だと、テオバルドもわかっているはずだ。それなのに男の眼差しは志貴を捕らえたまま、これから仕留めようとする獲物と対峙している。
テオバルドは、逃避行の荷物と切符の手配は済ませたと言った。慎重で用意周到な彼ならば、手下と落ち合い、始発まで身を潜められる隠れ家も確保しているはずだ。
「……早く、支度を」
促した声は掠れていた。喘ぎに枯れた喉の有り様が、その原因となった激しい情交を赤裸々に物語っており、志貴は赤面する。
さらに言えば、男の思うままに惨く広げられた下肢の節々も、荒々しい抽挿を受けとめさせられた腰や上半身も、何より太く長く硬い雄で無理矢理中を拓かれた尻も、軽く身動ぎするだけで、受け入れた行為の苛烈さに抗議の声を上げる。テオバルドの雄は強く、達するまで、かなりの時間を志貴は揺さぶられ続けたのだ。
血管にねっとりとした蜜を流し込まれたかのように体は重く、いまだ強烈な絶頂の余韻に痺れている。身を起こすのもつらい志貴は、眼差しで出立を訴えた。
しかしテオバルドは、鼻を鳴らしてそれを躱す。
「あんなに俺を締めつけて、離したくないって全身で叫んでたくせに、早く、か。──しかもそんな蕩けた顔で。やっぱりとんだ悪女だな、志貴」
「悪女って……私は、ただ」
「だが、悪女の息の根を止めるのも悪くない」
「──アッ! は、あァンッ」
グッと深いところを突き上げたかと思うと、一息に引き抜かれた雄の分厚い肉の鰓で、ごりごりと花筒を削られた。ようやく鎮まりつつあった快楽の火が、突然の摩擦と深い喪失に、また熾される。
大蛇が這い出るような感覚に狂わされた粘膜が、食い締めるものを求めてうねる。限界まで拡げられていた蕾は、ぽっかりと虚ろに口を開いたまま、貪欲な中の動きを垣間見せる。トロトロと溢れ出る白濁と充血した媚肉も生々しく、すこぶる卑猥な眺めだ。
すっかりいやらしい穴になった──言葉には出さなくても、テオバルドの熱く濡れた眼差しが、恋人を淫らに花咲かせる歓喜に炯っている。
──まだ終わっていない。
唐突に志貴は気づいた。
互いに息を切らすほど、長く激しく交わった。気が遠くなりそうな極みに追い上げられ、体も疲れきっている。それでも何とか意識を手放さずにいるのは、去りゆく男を見送り、断ち切るためだ。
しかしテオバルドは、終わらせようとしていない。色悪の笑みを浮かべ、しどけなく横たわった恋人の、事後の艶姿に見入っている。
「テ、オ……もう……」
翻意を促す声に、焦りが混じる。
追われる者と留まる者──逢瀬の時間は限られている。追われる者の身の安全を削っての逢瀬だ。世の恋人たちのように、離れ難いからと、いつまでも抱き合っていられる間柄ではない。
日が昇る前、漆黒の闇の中を移動した方が安全だと、テオバルドもわかっているはずだ。それなのに男の眼差しは志貴を捕らえたまま、これから仕留めようとする獲物と対峙している。
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