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扇の要(5)
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男街ならすぐに売れっ子になること請け合いの清廉な色気も、女が色を売るこの花街では、ただの商売の邪魔である。まだ少し時間は早いが、要は娼妓たちに支度部屋に下がるように促しつつ、心なしか涙目になっている梟にも声を掛けた。
「そうだ、言付かっていたのを忘れてた。(先週と同じく)今夜も(晩酌の)相手をしてほしいから、用心棒部屋ではなく父さんの部屋で待っていてくれ、ですって。──どうぞ、ごゆっくり、ね」
念押しも忘れない要は、文字通り、扇屋の『要』。
扇屋の最高位の娼妓にして屋台骨──心強い椿の相棒であり、店のためなら、主人と用心棒のあやしい噂を撒くこともためらわない、剛腕のたおやかな女傑である。
「そうだ、言付かっていたのを忘れてた。(先週と同じく)今夜も(晩酌の)相手をしてほしいから、用心棒部屋ではなく父さんの部屋で待っていてくれ、ですって。──どうぞ、ごゆっくり、ね」
念押しも忘れない要は、文字通り、扇屋の『要』。
扇屋の最高位の娼妓にして屋台骨──心強い椿の相棒であり、店のためなら、主人と用心棒のあやしい噂を撒くこともためらわない、剛腕のたおやかな女傑である。
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