【完結】后狩り

音羽夏生

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戴冠 ※

14

 精を放てば得られる解放感はない。むしろ、粘度の高い快楽の泡に閉じ込められたようだ。
 高みに放り上げられ降りてこられない体は、脳まで痺れるような法悦にガクガクと痙攣するばかり──恐ろしくてたまらないと訴えたくても、呂律も回らない。

「ァ、ア、……あっ、あぅ……」
「……至ったようだな、女の──后の極みに」

 快楽の涙でぼやけた視界に映った皇帝は、満足そうに息を弾ませていた。
 そのお顔に、未知の絶頂に怯えながらも、シェルは望まれた務めを果たせた喜びを感じたのだ──。

「ふ、うぅっ……」

 びくっと腰を弾ませながら、吐息を噛み締める。乱れた黒髪が、頰や首筋に張りつくのが煩わしい。
 シェルは、弱いしこりを捏ねていた指をぬるりと引き抜いた。
 最後の伽を思い出しながら浅ましく中をいじっても、射精はできなかった。甘い陶酔を得ただけの自分が惨めだった。
 指では奥まで届かず、生まれた快感もあの夜には程遠いが、以前はしこりを擦られるだけで恥ずかしいほど何度も吐精していた。今、シェルの陰茎は涙を流すばかりで、欲望を遂げようとはしない。
 男として機能しない体になってしまった。
 突きつけられた現実が、重く伸し掛かる。
 戴冠式は一週間後──王の一番の責務は王家の血を次代に繋ぐことなのに、果たせない。ミレニオは、欠けた王を戴くことになる。
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