后狩り

音羽夏生

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入宮

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「だが余にも情けはある。こうして箝口布を付けていれば、どれほど快楽に鳴いても、その声は余だけのもの。誰も聞かぬゆえ、堪えず、好きなだけ余の名を囀るがよい」

 目から下を覆う薄い紗の面布を掛けられても、シェルは動けない。布の裾に金糸で繊細に刺繍されているのは、皇帝の紋章だ。
 とてつもなく恐ろしいことが、行われている。
 そう気がつき、鳩尾のあたりがすうっと冷たくなっていく。恐怖に足が萎える前に、この場から逃げ出したい。
 しかし、どう振る舞うのが正しいのかわからず、体が動かないのだ。

「そなたに痛みは与えぬ。そのためにも、しっかり後ろを馴らしてやろう。この小さな尻に、余の物は酷であろうからな」

 皇帝の言葉に応えるように扉が開き、さきほどの宦官たちが入室してくる。
 怯えと警戒で反射的に身を硬くするシェルの背を、大きな手がやさしく撫でる。もう片方の指先が、震える唇を思わせぶりに再びなぞる。
 慈悲を請うように見つめるシェルの眼差しの先で、皇帝の氷青の目は、これまで見たことのない艶と熱を孕んでいた。

「仕上がるまでは、こちらの口で悦ばせてもらおうか。口づけと同じように、何度も教えてやったな。──この可愛い口で、余の子種を飲んでみせよ」
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