后狩り

音羽夏生

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黒猫

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 声は堪えたが、つい固まってしまったところを脇の下から持ち上げられ、皇帝の胸元に背中を預ける形でゆっくりと座らされる。腰のあたりにも新たにクッションを詰められ、シェルの下肢も腰も背中も、振動を和らげるものにすっかり支えられる。
 畏れ多くも皇帝を背凭れにする姿勢に、慌てて身を起こそうとするのを、後ろから抱き締められて阻まれた。伽が果て目覚めた時と同じ、うなじにやわらかい主の吐息を感じ、シェルは動けなくなる。

「大人しくしていろ、凭れるところがないとつらいのだろう」
「……どなたのせいで、こうなったと」
「だから責任を取って背凭れになっているだろう」
「でも……」

 ここまで一休みもせずに櫂を漕がれたせいか、皇帝の体は汗ばんで熱い。密着していると、湯上りにソファで休んでいた時のことを思い出してしまう。
 隣に座っていた皇帝に引き寄せられ、背中から抱き締められて、肩越しに口づけを求められた。いつのまにか浴衣の前をはだけられ、潤った肌にしっとりと手を這わされて、そのまま、また──。

「無体なことはしないから安心しろ。──シェルを傷つけないと誓ったが、こうして痛みを与えてしまうこと、許せ」

 シェルの危惧を正確に嗅ぎ取った皇帝が、これ以上無理をさせるつもりはないと証し立てるように詫びる。
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