Change the world 〜全員の縁を切った理由〜

香椎 猫福

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第八話 後編

立花桃、発見 5

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臼井誠は、涙した
こんな結末になろうとは…
予想できるわけがなかった
印象的な多くのセリフが頭の中でこだまする
胸が熱くなり、体が呼応するようにうずき出してくる
次は自分の番だ、そんな勘違いにも正しくもある使命感は、行動力に繋がるものだ
とりあえず、まずは立ち上がろう
そう自分の膝を叩き言い聞かせ、座席を立ち、少し薄暗い通路を沿って階段を降りて出口へ向かう
まだ頬に残る涙を袖で拭い、出口を抜けた


「ありがとうございました~」


係員が一人一人に頭を下げて見送る
側にあるゴミ箱に、飲み干したカップを捨て、間接照明の空間からギラギラと明るい蛍光照明の空間へ出た
臼井誠は改めて思う、やはり映画は良い
特に、一人映画は自分への接待に最適だ
気分転換の効果が抜群に良い
さて、もう夕方、帰ろう
臼井誠は映画館のロビーを抜けて、ショッピングモールのテナントが並ぶ通路を歩き進む


「臼井くん、映画観てたの?」


声を掛けてきたのは、エスカレーター付近で飲料水のキャンペーンの営業をしている片桐新稲(かたぎり  にいな)だ
この人も能力で繋がった一人、会話をするのは3回目だ


「流行りの映画が気になってね」


「いいなあ、私もたまには映画観に行きたい」


スーツ姿の片桐新稲は、臼井誠に会ったことで営業用の仮面を外している
チラシを両手で持ちながら体を揺らし、頬を膨らませる
本気で羨むような表情に、大した仲でもない臼井誠は面倒に感じた


「じゃあ…仕事頑張って」


立ち去ろうとしたが、片桐新稲は「あ!」と声を出し、再び臼井誠の前に立ち塞がる


「なに?」


「この前さ、立花っていう女性を探してるって言ってたじゃない?」


「ああ、うん。片桐さんは知らないって言ってたよね」


「それがね、今日変な人が来てね。この用紙に名前を書いて行ったの」


そう言いながら、長机にあるファイルから一枚の紙を取り出し見せてきた


「名前、立花桃って名前じゃなかった?」


臼井誠は目を疑ってしまう
片桐新稲の掲げる用紙の氏名欄に、立花桃という名前が記入されていた


「開店してからすぐかな。その女性が私のとこに来て、水は買えないけど名前だけ書かせてくれませんか?って言ってきたのね。意味分かんなくて断ったら、この名前を、臼井くんか犬神って子が来たら見せて欲しいって頼まれてたの」


どういうことだ?
立花桃が、自ら接触してきた?
こんな確率の低い間接的な方法で?


「片桐さん、その用紙を貸してくれませんか」


「いや、あげるよ。気味悪いし。その人って、この前、臼井くんと犬神って子が言ってた行方不明の人でしょ?」


用紙には名前だけで、住所や連絡先も書かれていなかった
もし立花桃が接触したがっているなら、書き残すべき情報のはずだ
用紙を裏返してみる、すると、下の方に文字が書かれていた


『私は能力者  会うためには偶然が必要
   私はいつも近くにいる』
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