Change the world 〜全員の縁を切った理由〜

香椎 猫福

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第八話 後編

立花桃、発見 6

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犬神絵美は突然のことに動きを止め、音の方へ視線を向けた
栗原優もすぐに音の方へ視線を向ける
猿渡慎吾は身を屈めて怯えている様子だ


「何、いまの」犬神絵美が言う


「銃声のように聞こえた」栗原優が応える


「お前らの仕業じゃねえのかよ」猿渡慎吾が怒っている


「そんなわけないでしょ!あんたの仲間じゃないの?」


「そんな危ないやつ居ねえよ!俺をヤクザかマフィアと思ってたのか?…で、もう撃って来ねえよな?」


三人は身を屈めて、辺りを見回す
背の高い雑草は無いが、大きな岩や木々が所狭しに生えていて、見通しが悪い


「俺らを狙ったものか、銃声かどうかも分からない。とりあえず絵美っち、車へ戻ろう」


栗原優は音がした方から犬神絵美を守るように、体を広げて犬神絵美の姿を隠しながら車へ連れて行った
屈みながら後を追う猿渡慎吾
次の瞬間、再び銃声のような音がする
「ぅわあ!」と屈んでいた猿渡慎吾が仰向けになり、何かに怯えながら後進する


「大丈夫か!?」栗原優が声を掛ける


「おおお、俺、俺を狙って、俺を狙ってる!狙われてる!俺を撃った!」


犬神絵美を後部座席に乗せて、身を屈めておくよう伝えてドアを閉める
栗原優は運転席に座り、ドアを開けたままエンジンをかける 


「おい猿渡!早く乗れ!」


「なんであいつ乗せるの?狙われてるなら置いていけばいいじゃん」


「命が危ないやつを見捨てれない!」


「あいつは人で無しなのよ?」


「俺はただの学生だ!」


地面を這うように足がもつれながら、猿渡慎吾が後部座席のドアに手をかける
すると栗原優が運転席から身をのばして助手席のドアを開け「こっちに乗れ!」と、猿渡慎吾を助手席に乗せて身を屈ませる
車は一気に転回してそのままのけ道を突っ走る
前方やミラーに異変はなく、襲撃者は分からないまま、車は止まることなく森を抜けて行く


「お前、怪我してないか?」


「ああ、大丈夫だ。足下に、銃弾が撃ち込まれたのを見た。間違いなくあれは銃声だった。こんな経験初めだ、まだ震えてる」


猿渡慎吾は助手席で屈みながら両腕を抱えて摩っている


「あんた、本当にヤバい奴らと付き合いないの?」


「ない、あるわけないだろ。そんな付き合いが親父にバレたら終わりだ」


「お前のことがよく分からなくなったなあ…とりあえず、車を人通りのある安全な場所へ走らせるから、二人はしばらくそのまま屈んでいて」


「栗原、あんた男らしいね」


犬神絵美が後部座席からボソッと呟いた


「当然だろ。絵美っちの為に24時間駆けつける男組の一人なんでね」


「なんだ、お前は犬神ちゃんの足なのか」


「そうだ。俺は絵美っちの足の栗原だ」


「違う」


再び犬神絵美が呟き「え?」と栗原優が聞き返す


「あんたは違うから」


「どうした、絵美っち」


「…なんでもない」


「吐きそうなのか?」猿渡慎吾が呟く


「くたばれクソ猿」犬神絵美が唸る


ようやく、車はアスファルトで整備された住宅街に戻ってきた
車の揺れは落ち着き、太陽の陽射しが辺りを照らす
しかし、あの銃声の余韻が車内の三人には残り、異様な空気が漂う
栗原優の指示で、体を屈めていた犬神絵美と猿渡慎吾はようやく体を起こす


「猿渡、本当に身に覚えがないのか?」


「無いとは言い難いが、お前らには関係がない」


「関係あるんだよ、残念だけど」


「狙われたのは俺だ、お前らじゃない」


「いや、狙ってきた場所が問題なんだよ。絵美っちの姉さんが亡くなった場所だぞ?無関係とは言えない。それに、最初に撃ってきた時を思い出せ。絵美っちがお前に近寄ったタイミングだった。二発目でお前を狙った狙撃だと分かった今、あの時に撃った狙いは、お前じゃなくて絵美っちを守るためだったんだよ。てことは、狙撃手は絵美っちに関係ある人物だと、俺は推理している」


「マジかよ」と猿渡慎吾が犬神絵美に視線を向ける
犬神絵美は黙ったまま、窓の外へ顔を逸らした
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