Change the world 〜全員の縁を切った理由〜

香椎 猫福

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第十一話 後編

臼井と犬神のパレード 2

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臼井誠が犬神絵美たちと別れ、園内を巡回していると家族連れが近寄ってきた
母親とは能力で繋がっているが、何も知らない幼い女の子が握手を求めてきて、快く交わす
一緒に写真まで撮った
癒されながらも、有名人になった気分を味わい、臼井誠の緊張はほぐれていく
家族連れに手を振って別れると、耳に装着しているインカムから無線が入る
犬神絵美からだった


「作戦成功!立花が来園した!」


珍しく高揚した声で伝えられ、同調して喜ぶ反面、再び緊張の波がやってきた
作戦がうまくいくかどうか立花桃の行動にかかっている
無線で服装などの情報を伝えてもらう
臼井誠は入園ゲートから離れたところへ向かった
すると、今度は栗原優から無線が入る


「兄貴、予定通りにチケットと一緒にメモを渡したって連絡が、スタッフから入った。順調に来ていてワクワクするよ」


「良いことだけど、僕はさっきから足止めが多くて不安だよ」


次は子供から抱きつかれ、驚きながらもその子の頭をなでてあげた
また一緒に写真を撮った
早くも臼井誠は疲れ始める
犬神絵美から無線が入った


「カメラで見てると、あんたの尻尾が来園者に当たりそうになってるから、少しは気にしてね」


臼井誠は立ち止まり、周囲を確認しようと体をゆっくりと一周させる


「それが危ないって言ってんの!」


「すみません。でも、視界は狭いし、後ろの様子なんか見えませんよ…ゆっくりしか動けないし、ゆっくりしか歩けないし」


「グチグチ言わない!」


「はい」


再び臼井誠は歩き出した


「そのまま無事に観覧車まで辿り着いてね、リスさん」


臼井誠は御島崎遊園地のマスコットキャラクターの一つ、シマリスの着ぐるみを着ている
二頭身の可愛らしい姿は良いものの、練習も無く着こなさなくてはならない
歩くことが精一杯で、とても遅い
この着ぐるみ企画は栗原優によるものだ
立花桃の能力にどんな特徴があるのか分からない今、姿を晒さなければ近付けるかもという可能性に賭けたのだ
ただ、来園早々に着ぐるみで近付いて、もし失敗してしまってはいけないと、犬神絵美が着ぐるみを着用したままで作戦に参加するよう提案してきた
リスの尻尾はシマリスらしく頭の辺りまで長さがあり、大きくてクルッと丸みのある特徴だ
ふわふわではないが、尻尾は大きくそそり立ち、遠心力がつくとバットのように振れそうではあった
子供に当たったら倒れるかもしれない、と普段は着ぐるみでイベントに参加するスタッフから、臼井誠は注意を受けている


「じゃあ兄貴、そろそろ俺もフォローの為に近くで待機するから、よろしく頼むよ」


「よかったら、スタッフを一人、僕の側でフォローさせて欲しいな…写真撮影に付き合わされてばかりだから」


「ディズニーランドのキャラクターの周りにスタッフが居る?居ないのと同じ理由だよ。子供たちの夢は壊さないでね、兄貴」


続いて犬神絵美から無線が入る


「立花は、さっそく観覧車へ向かってる…待機…するつもりみたい」


「あれ、犬神さんの無線、電波悪いですか?」


「いや…絵美っち、飴食べてるだろ?」


「いいじゃん…落ち着かないんだよ」


臼井誠は犬神絵美が落ち着かせたい時に、飴を食べる癖を初めて知った
少し可愛らしく思えて、どんな飴か知りたくなる
機嫌が悪い時に渡せば怒られずに済むかもしれない


「さあ、臼井…そろそろパレードを始めるよ」


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