傍観者を希望

静流

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「セイ様、もう結果がお分かりなのですか?」

「何故そう思う?」

「先程の内容から察すれば、自ずと答えは出ます」

シラっと応えを返すアルフレッドに、嘆息するほかない。

「ドミニク達にも、同じものを求めるのは酷だろうが、もう少しどうにかならないのか」

「そう言われましても、此ればかりは経験がモノをいうのでは?」

「まあ、そうだろうが…。あまり知っても喜べない時に、学ぶのも哀れなんだがな」

経験は必要だが、初っ端から内容が良くないと零せば、苦笑が返される。

「やはり、セイ様はお優しい。宮中に蔓延る魑魅魍魎と、上手く付き合うには避けられないと、突き放しても構わないのですよ」

「そう割り切れるか、どの子も可愛いいだけに、苦労はさせたくないという親心も理解できる。だが、そんな事を言っていたら、命が危ないだけだと知ってもいるから、気分は複雑だ」

グターと背もたれに身を預けて、上を見上げれば、抜けるように澄んだ青空だ。
ぼんやり眺めていれば、真白な鳥が気持ち良さそうに飛んでいる。
ほうっと息を吐き、居住まいを正す。


「はあ。まあ、それはいいとして、アルフレッドは、何処まで把握済みなんだ?」


「残念ながら、ご期待に添えるほどの情報は得ていません。セイ様のご様子で想定しただけです」

申し訳なさ気にしているが、あまり信用できない返答だ。

胡乱気な視線に、苦笑して困ったような顔をみせる。


「その言葉通りなら、情報源がこちらへ向かっているようだ。客人は一人、茶の用意を頼む」

「千客万来」まではいかないが、珍しく来客が多い。

アルフレッドは、黙って一礼して準備に向かったが、端的な説明に、何か言いたげな雰囲気だった。


「セイ様、失礼ながら、お尋ねしてもよろしいでしょうか?」

グレンが、控えめに声をかけてくる。

「構わないが。急に、改まってどうかしたか?」

「未だに、結界を張り巡らせて、おられるのですか?」

困惑と心配の狭間で、揺れているような声音だ。

先日、無意識に張っていたと、侘びたばかりなだけに、客人の到来を告げる私は、不誠実に見えたのかもしれない。

「結界というよりは、探知が近いかな。数日中に、来られるだろうと踏んで、該当者が下の門を通過したら、分かるようにしていただけだよ」


「魔法は門外漢で判らないのですが、体調に方に影響はないのでしょうか?」

まさか、今更ながら、そんな心配をされるとは思わなかった。

虚を突かれて、目を瞬かせてしまう。


「ああ、問題ない。心配させたようで悪かった」

「いえ、変な事をお訊きして失礼しました。無理だけは、なさらないで下さい」

ブレない過保護さが、妙に嬉しく感じられる。

殺伐とした中の癒しのように、武骨な優しさにホッとさせられた。
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