傍観者を希望

静流

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アルフレッドは、一頻り笑ってスッキリしたら、いつも通りに戻り、通常運転で「では行きましょうか」と、何事もなかった様な態度だ。

蒸し返しても、対応に困るのは目に見えているから、それに便乗しておく。
グレンも、何も言わずに追従するが、心なし精彩に欠ける。

横目で見て、どうしたものかと思うが、アルフレッドが首を小さく振ってくる。

暗に放っておけと示している。

それが一番いいのだろうが、気になりチラチラと見てしまう。
アルフレッドは、呆れ顔で仕方がないとばかりな態度だ。

「確か、薬草園の食堂で、特別メニューを提供してましたが、お待ちしている間に頂いてもよろしいでしょうか?」

薬草カレーや、鳥肉のハーブ焼きの件だろう。だが、よくまあ、そんな情報まで入手しているものだ。

グレンの好物がカレーだった筈だから、食べ物で釣るつもりだろうと察して、構わないと頷きながら「二人で食べてきなさい」と勧めておいた。

アルフレッドは、態とらしい笑みで礼を述べるが、肝心のグレンは不満顔だ。
席を外させられたと、誤解をしたようだ。まあ、あながち間違いでもない。

「あの子が怖がるのを叱っても始まらないだろう。毎回のことだから諦めて、食事を楽しんでくれないか?グレンが好きなカレーもあるから、ね。そう拗ねないで」

幼子を説得している様だと、内心苦笑してしまう言い回しになった。

だが、その甲斐あってというべきか、カレーの一言が効いたのか、機嫌が治ったどころか、上機嫌で鼻歌でも歌いそうな雰囲気だ。

なんとも現金な反応に、微妙な気分だが、横で暗雲漂わせられるよりマシだろう。

会いに行く相手が、グレンの様な騎士を怖がる性格で助かった。

でも、咄嗟によく思い出したものだとアルフレッドに目をやれば、悪戯が成功したことを喜んでいる。意外に子供っぽい遊び心を持っていたようだ。

昔は、完璧な騎士と執事だと畏まっていたのが、懐かしく嘘のようだ。

今の方が、人間味がある一方で、癖のある性格が扱い難く感じるほど馴染んでいて、逆に居心地がいいのだ。

認可されている転移地点に着き、手続きを済ませれば、後は飛ぶだけだ。
一瞬のブレを感じたら、もう次の瞬間には薬草園の入口付近だ。

急に現れても、誰も騒がない程度には、日常化した光景だったりする。

以前はほぼ毎日、こうして通っていたのだから、普通の反応だろう。

逆に、初めて訪ねる場所だと、事前に通知していても騒ぎになる。

転移が珍しいのだと理解するまで、騒ぎの原因に気付かず、グレンかアルフレッドの所為だと思い込んでいた。

二人とも、女性に人気でいく先々で、黄色い悲鳴が聴こえてくるのだ。
だから、てっきりその類だと信じて疑わなかった。

違和感を感じて尋ねた際に、そう説明して、二人に渋い顔をされたのを覚えている。
二人には、迷惑な誤解だったし、不名誉な評価だったのだ。

だけど、説明を聴いても、転移が特異なものだと納得がいかなかった。

なにしろ、私には日常的に使う、移動手段でしかなかったのだから当然だ。

どういう経緯で、理解したのか記憶にないが、アルフレッドは苦労した筈だ。

口が立ち、変に利口な子供の認識を変えるのは、どう見ても骨が折れる行為なだけに、迷惑をかけていたのが、想像できる。さぞ可愛げのない子供だっただろうと。

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