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「…だが、自己防衛は誰しもするだろう?アリサは、当たり前な主張をしているだけだよ」
取り敢えず、一般論で説き伏せようとするが、ギッと睨まれる。
やはり駄目なようだ…。
「セイ様がそれを言いますか。説得力に欠けますね」
「そういうがな、私は物心ついた頃から領主だ。他の考え方を知らないのは、仕方がないだろう。領主は、言い訳を許されない。後悔する前に改善案を練るのが仕事だ」
溜息混じりに溢せば、眉根を寄せている。
反論が浮かばないのだろうが、納得にも至っていない。
「まあ、それが理由で「自分は悪くない」という思考に至らない。別に大人という訳でもない。だから、アリサが子供だと卑下するのも違う。そう思わないか?」
「何だか、丸め込まれてる気もするんだけど…。否定するのも難しいわ」
むむっとなっているが、上手く言葉が出てこない。
「まあ、いいじゃないか。アリサは大人だよ。子供は、自分を大人だと主張するだろう?逆なら、もう子供ではないよ」
苦笑しながら、そろそろ失礼するよと辞去を告げる。
これ以上いれば、更に何を言われるかと急ぐフリをしたのだが、相手は思わせ振りな言葉を漏らしてくれる。
「あら、もう帰られるのですか?学園について…、いえ。また今度にしましょうか」
「今…学園っと言わなかったか?その話を聞かせてくれないか」
中腰だったのを、改めて座り直し促した。
「お時間は宜しいのですか?では…、今度入学予定の子たちが、辞退を申し出て来ているんです。理由を訊いても応えてくれなくて、少し困っているんです」
「先ず教えて欲しい。薬草園で面倒をみている子か?それとも、親戚筋の方か」
「親戚筋は、最初から留学予定です。私が面倒をみている子の方です」
何を当たり前な事を訊くのだと、苛立ったような態度だ。
「その子は平民だよね。特待生の予定だったのか?」
「ええ、そうです。今まで特待生を断る子はいなかっただけに、どうしたものか相談に乗って欲しいのですが、駄目でしょうか?」
困惑しているのがよく分かるが、半ば計算尽くの行動にもみえる。
自分を子供だと嘆くわりに、昔からかなりの策士なのだ。
「アリサの情報網に、何か引っ掛からないのか?後は、何か前兆はなかったのか…かな。子供だけに、断る前に何か引き金がある筈だよ」
何か伏せているカードが有るだろうと、開示を求めれば、あきれ顔だ。
「セイ様…。私もぜひ聞きたいものです。どこかで偵察でもしてませんかと。なんで分かるんですか?」
「偵察はしてないから。ほら、情報を惜しまない」
「はあ、その勘は凄いですね。断る少し前に、夏季休暇で学園から里帰りしていた子に会っていたんですが…変に明るかったと思えば、暗くなったりと気分にムラが出ていたんです。日頃は大人しくて、いい子なんです。でも今は…」
「黙りで暗くなったか、部屋に閉じこもって出てこないのかな?」
目を丸くするが、無言で頷いている。
取り敢えず、一般論で説き伏せようとするが、ギッと睨まれる。
やはり駄目なようだ…。
「セイ様がそれを言いますか。説得力に欠けますね」
「そういうがな、私は物心ついた頃から領主だ。他の考え方を知らないのは、仕方がないだろう。領主は、言い訳を許されない。後悔する前に改善案を練るのが仕事だ」
溜息混じりに溢せば、眉根を寄せている。
反論が浮かばないのだろうが、納得にも至っていない。
「まあ、それが理由で「自分は悪くない」という思考に至らない。別に大人という訳でもない。だから、アリサが子供だと卑下するのも違う。そう思わないか?」
「何だか、丸め込まれてる気もするんだけど…。否定するのも難しいわ」
むむっとなっているが、上手く言葉が出てこない。
「まあ、いいじゃないか。アリサは大人だよ。子供は、自分を大人だと主張するだろう?逆なら、もう子供ではないよ」
苦笑しながら、そろそろ失礼するよと辞去を告げる。
これ以上いれば、更に何を言われるかと急ぐフリをしたのだが、相手は思わせ振りな言葉を漏らしてくれる。
「あら、もう帰られるのですか?学園について…、いえ。また今度にしましょうか」
「今…学園っと言わなかったか?その話を聞かせてくれないか」
中腰だったのを、改めて座り直し促した。
「お時間は宜しいのですか?では…、今度入学予定の子たちが、辞退を申し出て来ているんです。理由を訊いても応えてくれなくて、少し困っているんです」
「先ず教えて欲しい。薬草園で面倒をみている子か?それとも、親戚筋の方か」
「親戚筋は、最初から留学予定です。私が面倒をみている子の方です」
何を当たり前な事を訊くのだと、苛立ったような態度だ。
「その子は平民だよね。特待生の予定だったのか?」
「ええ、そうです。今まで特待生を断る子はいなかっただけに、どうしたものか相談に乗って欲しいのですが、駄目でしょうか?」
困惑しているのがよく分かるが、半ば計算尽くの行動にもみえる。
自分を子供だと嘆くわりに、昔からかなりの策士なのだ。
「アリサの情報網に、何か引っ掛からないのか?後は、何か前兆はなかったのか…かな。子供だけに、断る前に何か引き金がある筈だよ」
何か伏せているカードが有るだろうと、開示を求めれば、あきれ顔だ。
「セイ様…。私もぜひ聞きたいものです。どこかで偵察でもしてませんかと。なんで分かるんですか?」
「偵察はしてないから。ほら、情報を惜しまない」
「はあ、その勘は凄いですね。断る少し前に、夏季休暇で学園から里帰りしていた子に会っていたんですが…変に明るかったと思えば、暗くなったりと気分にムラが出ていたんです。日頃は大人しくて、いい子なんです。でも今は…」
「黙りで暗くなったか、部屋に閉じこもって出てこないのかな?」
目を丸くするが、無言で頷いている。
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