傍観者を希望

静流

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「陛下。仮定ですが、物心つく前から命を狙われ続ける環境を、良しと普通されますか?」

「冗談にしても笑えないのだが、それを普通だとは認める者はいないだろうな」

「では、劣悪環境だと?」

「寧ろ、それ以外だとは言いようがないな」

「精霊もそう判断します。故に、今いる環境を破壊しようと考え、家単位か周辺一体、もしくは国ごとかを検討し、仲間内での満場一致で決行可能になります」

陛下は、質問を投げられる度に、眉を顰めていたが、最終的な話題に顔を引き攣らせている。

「…つまり、物心つく以前から存続の危機に遭ったのか?」

「早い話しが、そうなりますね。ですが、あくまでも満場一致ですので、そう簡単に滅びはしません。私が物心ついた後は、私の意見も含まれますから、尚更確率は下がります」

「因みに、セイ殿が反対で周り全部が賛成だったことは?」

「大多数がそれですよ。我らは、不要だと言い続けましたが、セイ様が領民の為にも却下だ、と駄目だしして流れるのが恒例でしたからね」

ライが肩を竦めて暴露しているが、陛下と宰相殿の顔色は土気色になっていた。

「我らは、ミンスファ領の民のお蔭で無事だったのか…。それ程までに、精霊に疎んじられていたとは知らなかった」

陛下が、がっくりと肩を落としている。

「一応、王宮に移る前の話ですからね?此方に移った後は、精霊からの申し立てはないですよ」

「セイ様。此処に上ってなくても、水面下ではそれなりにありましたよ?」

何しろ、碌な親族がいないのですからと、ライが余計な物議を醸してくれる。

「それは、どういう事ですか?」

「まあ、余計な動きを見せてくれる義母がいますし、領民へちょっかいを掛ける悪党もいるにはいますから、精霊が怒っていたんです。取り敢えず、何方も精霊に横槍をお願いして、頓挫させています」

「具体化する前に全て手を打ったのか、ではこの報告書の主もその関連か?」

「陛下。詮索無用と言った筈です。でもまあ、情報源ではありました」

釘を刺しつつも、それくらい良いかとぼやかして応じる。
だが、陛下は最早精も根も尽きたようで、ぐったりした感じになった。

「我らがどれほど努力しても、精霊の前では無力だと解っているが、これでは私は形なしだな。私は無用の長物なのか?」

自虐するような独言を漏らしている陛下には、流石にかける言葉もない。
だが、追加された一言には眉根を寄せた。

「陛下。私は大国だったら、当の昔に滅亡させていますよ。そう変なことを言わないで下さい」

「?何故だ、大して違うとは思えないがな」

陛下が怪訝な顔をして見返してきた。

「私を保護し、見守り続けていた方がそれを言うのですか?あの国は、邪魔者とばかりに命を狙い続け、改心する様子すらない。何処が同じなんですか」

何を馬鹿なことを言うのだと文句に替えて、訴えるのだが、余計に顔を顰めてしまった。
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