せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー

ジミー凌我

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魔族と魔王と魔王軍と……⑤

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「えっとね…。たぶんこれは私の血を体に取り入れたのと魔族になったのが原因だと思うよ。まず、種族が魔族になっているのは説明した通りよ。それにともなって、身体能力も少し上がっているみたいね。運はたぶんもともといいんだと思うわ。なんて言ったって私と出会えたんだもの!リョウトの武器はこの国ではロングソードっていうから名称が変わったのね。あと、スキルについては、いろいろあったことでリョウトの中で才能が目覚めたんだと思うわ。???については発現途上ってことだと思うから、たぶん経験を積めば内容が分かって使えるようになると思うわ!〈スロー〉については、使ってみないとわからないから、あとで使ってみましょう!」
 ひとしきり説明し終えて、ふぅっとクレハは息を吐く。
 ソルドさんも続けて説明してくれる。
「それでは今度は私の方から、先ほども言いましたようにクレハ様とリョウト様がこれから相手にしなくてはならないお三方に、お二人のことを認めていただくための条件を事前に伺っておりますので、そちらのお話をさせていただければと思います。まずは〈ジンス〉ですが、彼はこの城の門番をしています。彼を認めさせるには彼と一緒に1日門番の仕事をしてその仕事の中で認めさせる必要があるそうです。次に〈ソラン〉ですが、彼はクレハ様と幼いころからの親交があるため、ポッとでの貴方の実力を認めたくないそうです。だから、彼と決闘して認めてもらわなくてはいけないようです。彼対リョウト様の1対1で。そして〈ソリティア〉ですが、リョウト様もすでに何度も話をしていると思いますが、ソリティアはクレハ様のお世話を幼いころからされておりますし、ずっと一緒にいた方です。ソリティアには、どうやって認めされるのがいいのか教えてはもらえませんでした。なので、ソリティアについてはお二人で考えて、認めていただくのがいいかと思います。」
 …………。なるほど。理解した。つまりは実力を示すのが一番だというわけだ。
 クレハのことは、腹を決めて大事にしたいとは思っている。
 ただ、俺が今のところ弱いのは事実だ。
 元人間。魔族になり、クレハから力をもらい、ステータスが多少上がっているのを差し引いても俺は弱いままだろう。経験がないからな。
 だとすれば、まず認めさせないといけないのは…………。
「リョウト!まずはソランに認めさせようよ!ソランの奴なんで私が決めたことに反対するんだろう!小さい時からあんなに面倒見てやったのに!ムカつく!」
「そうだな!俺もまずは決闘をしてこの城の皆に俺の実力を認めてもらいたいと思ってたんだ。反対していない人が多いとはいえ、俺のことは何も知らないはずだし。認めてくれているのもクレハの人望あってのことだろう。だからこそ、決闘という場を持ってこそ俺のことをみんなに知ってもらって、認めてもらいたいんだ」
「うん!いいと思う!リョウトがそう言ってくれてうれしい!」
 と、クレハが腕を組んでくる。凄く照れてしまうのだが………。
 なぜここまで行為を持ってくれるのだろうか…。時々疑問に思ってしまう。
「それに、私の私情を抜きにしても、まずはソランを倒して、多少実力を上げておいてから、門番の仕事をするのがいいと思うの!そして、認めさせる為の内容が分からないソリティアは最後にしておいた方がいいと思うの!」
 ほぉ、クレハもちゃんと考えていてくれたのか。市場だけだと思っていたが…。
「で、ソランという人は強いのか?」
 すると、クレハは首を横に振った。ついでにソルドさんも。
「えっとねぇ…。ソランは魔族の中でも結構弱い方だよ。だけど、テイムしているモンスターがちょっとやっかいなんだよ…」
「えっ……!1対1だからテイムしているモンスターは、関係ないだろ?」
「いえ、リョウト様。決闘ではスキルの使用は認められているのです。だから、スキルでテイムしたモンスターと一緒に戦ってもいいのです」
 それは…テイムスキルなかなかズルいな。
「でもでも!大丈夫だよ!ソランは弱いから!モンスターさえ何とかすればぜんぜん勝てるチャンスはあるよ!」
「はい、わたくしもそう思います」
 そんなに弱いのか……。ソルドさんにも弱いと思われているのは可哀想だな。知らない人だけど。
「ちなみに、ソランからステータスカードの情報を教えてもいいと言われています。この前まで人間だったやつにはこれくらいがハンデになるだろう。とのことでした。では、こちらがソランのステータスカードです」
 ソルドさんが、ソランのステータスカードを手渡してくれる

 ソランのステータスカード
 名前 ソラン 
 種族 魔族
 年齢 18歳
 武器 ソード
 スキル リザードテイム

 力 D
 防 D
 速 E
 魔 C
 体 E
 運 E

 確かに、俺よりもステータスは低いな。
 リザードテイムってことは、俺が前食べた〈ミドルリザード〉とかの種類をテイム出来るってことなのだろうか。
 ただ、リザードにもいろんな種類がいそうだな…。
 ソードっていうと、たぶん片手剣のことかな。
 確かに、これならテイムしたモンスターさえ攻略できれば、俺にも勝つチャンスはいくらでもありそうだ。
「どう?リョウト、勝てそう?」
「あぁ!クレハのためにも勝ってみせるよ」
「それでは、クレハ様、リョウト様。もう夜もだいぶふけてきました。今日はお休みになって、明日また日程の調整など行いましょう」
 俺の部屋は別に用意されているらしく、ソルドさんの案内で部屋まで行き、休むことになった。
 客室の様でギルドの宿泊部屋とは部屋の広さも豪華さもまるで違った。
 ベッドが大きくてふかふかだ。
 俺は横になり、1日1日周りの状況が二転三転ころころ変わる、この新しい人生に不安を感じつつ。
 ただ、大きな期待も膨らませて、ベッドの中での平穏に安堵し静かに目を閉じるのだった。
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