ヒロインにはなりたくない

ぬえもと

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ゆめのおわり

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 翌朝、さくらは痛む頭を抱えながら億劫に体を起こした。
 カーテンの隙間からは陽の光が差し込み、煩わしくもさくらの顔を薄暗い部屋の中に浮き上がらせる。
 さくらは目をこすりながら、ベッドサイドに置かれていたスマートフォンに手を伸ばした。おもむろに電源を入れても、通知は相変わらず表示されない。
 雪乃は、今頃どうしているのだろうか。無事でいるのだろうか。
 毎日、そんなことばかりを考えている。
 雪乃がいなくなってしまったら、さくらはどうしていいのかわからなくなる。
 いままでずっと、幾度となく空虚な時間を繰り返していたはずなのに、大切な存在が一度出来てしまえばもう昔には戻れない。

「……ゆき、ちゃん」

 小声で名をつぶやき、そのままいつものようにメッセージアプリを起動しようとして、さくらは違和感に気が付いた。昨日、確かに自分はスマホの画面を割ったはずだ。
 ああ、覚えている。怒りのあまり、力を入れすぎた。そうして、画面を真っ二つに引き裂くように斜めに亀裂が走ったのだ。そのはずだった。
 なのに、今さくらが見ている画面には傷一つない。背を、嫌な汗が伝う感触がした。
 大急ぎで震える指先を動かし、連絡先を確認する。頼む、嘘だと言ってくれ。
 酷く嫌な予感がしていた。五十音順に並ぶアドレスをスクロールする指に手汗がにじむ。
 や行に差し掛かったところで、さくらは深く深呼吸をした。
 最悪の可能性が、さくらの脳裏によぎる。
 まさか雪乃は、『役割を放棄』したのか。

(そんなはずない。あのゆきちゃんが、そんなことするはず……っ!!)

 「ゆきちゃん」という愛称で登録された名前を大急ぎで探そうとして、けれど、見つからなかった。
 納得いかず、急ぎメールの受信履歴を確認する。
 
(ない……っ、ない、なんで……!! 全部保存してた……!! なんで!! なんで!?!?)

 いくら指を動かしたところで、そこに「ゆきちゃん」との思い出は一切見当たらなかった。デートの約束を了承してくれたあのメールも、他愛のないとりとめのない会話も、「ごめん」という最後に遺されたものも。何もかもが、綺麗さっぱり、まるで最初からそんな人物存在しなかったかのように。
 反射的に、画像フォルダに指が伸びた。たくさんあったはずだ。一緒に出かけるたびに撮ったもの、疲れ果てて眠ってしまっただらしのない寝顔、撮り慣れないからと気恥ずかしそうな微笑み。
 そんな思い出が、すべて、なかったことになっていた。

「は……、っ……」

 乾いた笑いが溢れでる。悪い夢なら覚めて欲しい。
 やっと、やっと、本気で人を好きになれたのに。幸せになれると思ったのに。
 頼むから、もしもこの世界に神様というものが存在するのなら。
 お願いだからわたしから、ゆきちゃんを奪わないで。
 嫌いになられたっていい。好きになってくれなんてもう言わない。
 頼むから、頼むから。お願いだから、もう一度だけ話をさせて欲しい。
 傷つけてしまったのなら謝るから。だから、お願いします。
 お願いだから、そばにいさせて。

 無価値な電子機器を床に投げつけ、思い切り足で踏みつける。
 こんなもの、粉々に砕け散ってしまえばいい。
 ぐりぐりとしつこいまでに足をひねれば、硝子の擦れる音がさくらの耳をついた。
 
(こんなもの……っ、こんなもの……!!)

 亀裂の走ったスマホを拾い上げ、再度強く床に叩きつける。
 バンと、今度こそ無残に画面を破壊されたスマートフォンは、強く上から踏みつけられたことにより完全に機能を停止した。
 ふう、ふう、と肩で何度も激しく呼吸しながら、さくらは急ぎ着替えをすませると、通学カバンを手に取り家を出る。
 電車を乗り継ぎ学校に着くと同時に、雪乃は大急ぎで階段を駆け上がっていた。
 そのまま自分の教室、2年A組の教室の戸を開ける。教室の端、ちょうど雪乃の席だったはずの場所に、人だかりができていた。バンっという大きな音を立て開かれた扉に、クラスメイトの視線が一斉にこちらに突き刺さった。

「あ、春川さんおはよー」

「ちょうどよかった、ほら。水瀬さん、戻ってきたんだよ」

 初めて聞く名に、さくらはあからさまに眉をしかめてみせる。
 それを気にした素振りも見せず、円の中心、雪乃の席に何食わぬ顔で座っていた人物が立ち上がった。
 闊達そうな見た目、きりりと吊り上げられた眼差し、肩口で切りそろえられた黒のショートカット。

「さくら!」

 親しげに名を呼び緩められた表情に、さくらは咄嗟にあとずさっていた。

「ごめんね、心配かけて。ずっと連絡くれてたでしょ? 携帯の調子が悪くてずっと返信できなくってさぁ。いや、ほんっとごめんね?」

 水瀬と呼ばれた少女の口調には、聞き覚えがあった。
 『本来の』森雪乃。さくらが愛した特別な『ゆきちゃん』ではなく、代えの効くさくらの友人役。それと、まったく同じ口調だった。
 雪乃がいるはずだった場所を、違う人物が埋めている。だって、その役割は代えが効く。『ゆきちゃん』は特別だが、春川さくらの『友人』なんてどうでもいい役柄、別に誰だって構わないのだから。
 
「……知らない」

 そのままこちらに近付いてくる水瀬の手を、さくらは音を立てて振り払っていた。

「あなたなんて知らない!!」

「ちょっと!? 春川さん!?」

 教室に背を向け、さくらは一目散に駆け出した。
 カバンを投げ捨て、慌てふためくクラスメイトを無視し、一直線に保健室を目指し駆け抜けていく。
 このまま雪乃の存在を消させたりなんかしない。
 学校から、さくらの隣から、雪乃の居場所を奪わせたりはしない。
 そんなこと許さない。
 邪魔臭いと一気に階段を飛び降りれば、じんと足に鈍痛が走った。
 
「さくら!!」

 そこの角を曲がれば保健室だというところで、背後から腕を力強く引かれる。

「お前、なんかおかしいぞ」

 振り返った先にいたのは、攻略対象兼幼馴染の星野祐樹だった。
 カバンを担いでいるのとは反対の腕でさくらを引き止める男の腕はひどく熱い。肩で息をする少年の頬には汗が滲み、息も荒い。きっと急いでさくらを追ってきたのだろう。
 なんのために? そんなことをして、こいつに何の得がある。
 どくどくと、掴まれた手首越しの祐樹の鼓動が伝わってくる。

「離して。祐樹には関係ない」

 冷たい目で睨みつけたところで、さくらの本性を知る男は一切臆す気配はない。
 ごくりと喉を上下させ、じっとさくらを見る少年の目には明確な気遣いの情が浮かび上がっていた。

「――また、森のことなのか」

 想いもよらぬところで飛び出してきた雪乃の名に、さくらは息を呑む。
 どうして、祐樹がそれを知っている。たかが攻略されるだけの人間の分際で、どうして雪乃のことを覚えている。知ったような口を利く幼馴染に、心底虫酸が走った。

「軽々しくゆきちゃんのことを呼ばないで! 穢れる!!」

 渾身の力を振り絞り祐樹の手を振る払う。
 ああ、どうして傷付いたような顔をする。
 さくらは、攻略対象キャラクターの好感度なんて微塵もあげていない。
 約束は全て無視した。雪乃のことだけを考えて生きていた。
 当然、祐樹のことも無視し続けていた。だから、今こんな風に心配されるのはおかしい。

「悪かった。気分を損ねたなら、謝る。でもな。……少しは俺のこと、頼ってくれてもいいんじゃないか」

「……はぁ? わたしが? あなたを? 頼る? なんのために? 悪い冗談はやめてよ。鬱陶しい」

 威圧的に口角を釣り上げるさくらを見ても、祐樹は引かなかった。
 ただ振り払われた腕を胸の前で撫でさすり、苦しげに眉根を寄せるだけだ。

「お前があいつのことを好きなのは分かってる。俺なんか眼中にないことも知ってる。……でも、困った時くらい……『友達』を頼ってくれよ。頼むから。……これ以上、一人で悩むな。……幼馴染だろ」

 お人好しさに、心底イライラする。
 ああ、鬱陶しい。友達を頼れ? 幼馴染? そんなもの、必要ない。雪乃以外どうでもいい。
 お前なんか知ったことか。その気持ちも全部、そうなるように仕向けられたものでしかないのに。わたし自身を好きになったわけでもないくせに。うるさい。いい加減にしろ。これ以上、邪魔をするな。

「わたしに、友達はいらない。――幼馴染も、必要ない」

 長い髪をたなびかせ、さくらは足を踏み出す。
 もう、後ろは振り返らなかった。
 だから、何も知らない。

「……そうかよ」

 心底苦しげにしかめられた男の目に涙が浮かんでいたことも、男の胸中に浮かんだものが心からの心配であることも。ずっと昔から欲していた、さくら『自身』を見つめる一途な『愛』がそこにあったことも。
 大切なものを取りこぼしてしまったことにすら気付かぬまま、さくらは保健室の戸を開けた。
 
「やあ」

 教室の中央に置かれた事務机に座っていた男は、さくらの訪れを確認するとおもむろに手元の書類から顔を上げた。
 後ろ手で保健室の扉を閉めれば、朝の喧噪はぴしゃりと閉めだされてしまう。
 静かな保健室の中で、さくらは誠一郎の元へ足早に歩みを進める。

「どこか具合が悪い? それとも、ここでセーブしていくかい?」

 人の良さそうな笑みを浮かべ、誠一郎が座ったままこちらへと体を傾ける。
 立ち上がろうとせず、座ったままさくらを出迎える誠一郎の胸ぐらを掴み、さくらは鬼の剣幕で誠一郎を睨みつけた。

「とぼけないで。あなた、ゆきちゃんに何をしたの」

「なにも?」

「ふざけないで……!! ゆきちゃんに無理矢理『役割を放棄』させたでしょう!?」

 きょとんと、一瞬誠一郎が間抜けな顔を晒す。
 かと思えば、口の端を噛み締めたまま堪えるような不快な笑みを漏らす。
 温和な保険医の仮面を捨て去った男は、けれど決してさくらの腕に抵抗は見せず、視線だけでさくらを嘲り笑って見せた。愚かな小蝿でも見るような、明らかな嘲笑。
  
「人聞きの悪いことを言わないでもらえるかな。僕は特別なことはしてないよ。ただ、ちょっと手助けをしてあげただけで。役割を捨てると言ったのは、雪乃自身の意思でしかない。……あの子は自分の意思で君の『友人』という役目を放棄して、盤を降りたんだ」

「そんなはずない。わたしの、わたしのゆきちゃんは――」

「『わたしのゆきちゃん』?」

 心底不愉快だとばかりに、男の目が細められる。
 それまでされるがままになっていた男は立ち上がると想定外の力強さで胸ぐらを掴んでいたさくらの手を引き剥がし、反対に事務机の上に引きずり倒して見せた。
 さくらの首を絞め、歪んだ笑みを釣り上げる男はさながら悪魔のようだ。
 ぎりぎりと怒りのにじむ眼でさくらの首に指先を食い込ませた男は、喉元から地を這うような低音を吐き出していく。
 
「思い上がるなよ。――たかが主人公の分際で」

 眼鏡の奥の瞳は冷徹さに満ちており、ひとかけらの温情ですら見つけることはできなかった。

「君、一回こっぴどく雪乃にフられているだろう? ……だったら潔く諦めればいいものを。まだ自分が雪乃の特別に……一番になれると信じているんだ?」

「っ……! っ、ぐ……ぁ……っ、ひ……っ!」

 首をかしげ、誠一郎はさくらの首にかける腕に力をこめる。
 このまま絞め殺さんばかりの勢いで、頭上の悪魔は酷薄に笑んでいた。
 殺される。明確に瞳の奥に浮かんだ殺意に、さくらは手足をばたつかせ必死の抵抗を試みる。だが、誠一郎の手は力強い。

「……せっかく、かわいそうかとおもって記憶だけは残してあげたのに。余計なお世話だったみたいだね。ああ、でも安心するといい。――雪乃は、君の分まで僕が幸せにしてあげるから」

 首から手を離し、誠一郎は自分がされていたようにさくらの胸ぐらを掴みあげた。
 そこに、一切の遠慮はない。笑顔の裏に冷たい色をたたえた男は、一切の容赦なく蔑みの目で気丈にも恨みがましくこちらを睨みつけるさくらの姿を瞳の中に映し込んでいた。

「わ、たし、を、……っ、消す、気?」

 さくらの問いに、誠一郎は一瞬気の抜けた顔をみせる。
 次いでへらりと人の良さそうな笑みを貼り付けた男の腕は、表情とは反対に酷く手荒だった。

「まさか。君のことは殺したいほど嫌いだけど、いなくなられるのは困るからね。だってそうだろう? 『主人公』には、代えが効かない。ああ、でもね。……これだけは憶えておくといい」

 誠一郎の片腕が、さくらの顔面を掴みあげる。

「雪乃は君の運命の人じゃない。――あの子は僕だけの、かわいいかわいいお姫様だ」

 持ち上げられたと思った次の瞬間には、さくらの頭は保健室の事務机に思い切り叩きつけられていた。
 頭の中がぐるぐると回る。壮絶な痛みと、大切だと思っていたひとの笑顔。それらが頭の中でぐちゃぐちゃに混ざり合い、暗闇の中に飲み込まれていく。

(ゆき、ちゃ……)

 虚空に向かって手を伸ばす。ああ、やっと、見つけたと思ったのになぁ。
 ――それが、さくらの最期の記憶。

「おいさくら!」

「さくら!!」

 誰かが、さくらの名を呼んでいた。
 体を激しく揺さぶられれば、鋭い頭の痛みに顔をしかめてしまう。
 
「頭痛むのか!? 待ってろ、なんか冷やすものもらってくるからな!」

 そう言って駆け出していく誰かの足音を聞きながら、さくらはゆっくりと瞼を開けていった。焦点が定まらず、太陽の光が何重にも重なって見えた。

「大丈夫? 起きれる?」

 凛とした声が、さくらの体を起こしていく。
 ゆっくりと壁に体重をかけ座り込んでいた体は、前のめりになっていく。
 まだしっかり頭が働いていなかったが、ここがどこかの廊下であるということだけは判別できた。
 
「ここ、は……」
 
「廊下。補足しとくと、4階の図書室の前。ねえ、ほんとに大丈夫? 保健室行った方が――」

「いい」

「でも――」

「……わたし、保健室好きじゃないから」

 少女の言葉を阻むようにして、さくらは咄嗟にそんな言葉を吐き出していた。
 どうして、そんなことを思うのだろうか。保健室に特に思い入れはなかったはずだが。
 けれど、嫌だった。あの場所には、悪魔が潜んでいるから。
 
「そう……」

 何かを思い出そうとしたところに、横にかがんでいた少女が諦めたように溜息を吐いた。
 そういえばと、ショートカットの少女を見て、さくらは思う。
 こんな生徒、知り合いにいただろうかと。

「今星野くんが氷水もらってきてくれてるから。……それにしても、なんでこんな人気のないところに倒れてたわけ? 心配したんだからね。突然教室を出て行ったと思ったらこんなとこにいるんだもん。見つけてくれた星野くんに感謝しなよぉ?」

 快活に口を開く少女に、悪い印象は受けない。
 けれど。

「――ちがう」

 ぼそりと、さくらは無意識にそんなつぶやきを漏らしていた。

「さくら?」

「あれ……」

 何が、違うのだろうか。
 きょとんと目を見開いた少女が、心配げにさくらの顔を覗きこんでくる。
 知らない。あなたじゃない。わたしが会いたかった人は、こんな風に近くにいて欲しかった人は。
 気付いた時には、さくらは無意識に泣き出していた。ただ胸に残るのは、途方もない悔しさと、理不尽なまでに湧き上がってくる悲しみだけ。胸が苦しかった。何も思い出せない。けれど、確かにわかる。この、胸の痛みは。途方もない、苦しさは――

「違う。ごめん、なさい。わたし、なんで、泣いて……っ、ごめんなさい、ごめん、ごめん……っ、なんで、わたし、なんでこんな……っ!! ちがうの、あなたのせいじゃなくて、ただ、わたし、わたしは……っ」

 廊下の端に座り込んだまま、ぐしゃぐしゃにしてただひたすらに泣きじゃくった。
 そんなさくらを、少女はただ黙って抱きしめる。さくらの背を撫で、決してあなたは間違っていないのだと慰めるように。
 
「……うん、うん」

 黙ってさくらの戯言を聞きながら、少女は頷きだけを返す。
 誰かに会いたかった。この一週間、ずっとそのことだけを考えていた。けれど、それがなんだったのか思い出せない。大事な人がいた。この命に代えてでも守りたかった人。なのに、どうしてその名前を思い出せない。

 考えれば考えるほどに、涙が溢れ出てくる。
 意味のなさない言葉を発し泣き続けるさくらを、ただ少女は黙って受け止めていた。
 しばらく肩を震わせわんわん声を上げて泣いていると、少しばかり気持ちが落ち着いてくるのがわかった。頭は痛む。けれど、眼前の少女の名前くらいははっきり思い出すことができた。 

「ありがとう、風夏」

「……どういたしまして」

 素直にこぼされた言葉に、少女――水瀬風夏(みなせふうか)は快活とした笑みを返す。
 ちょうどその時、タイミングよく廊下の端に祐樹の姿が見て取れた。
 
「遅い。女子を待たせるとは何事か」

「うっせーな! これでも全力で走ってきてんだよ!」

「うっわ、それで全力とか冗談キッツ」

「んだとテメェ!!!」

 立ち上がり、向かってくる祐樹と他愛のない軽口の応酬を繰り広げる風夏の二人を見ていると、錯乱していた気持ちが少しずつ冷静さを取り戻していった。
 くすりと、軽く笑いを零し、さくらはそっと壁に手をつき立ち上がる。
 大丈夫なのかと過度に心配をみせる二人に頭を振り、さくらは気丈な笑みを浮かべた。

 窓の外は澄み渡り、雲ひとつない青空が広がっている。
 不安など何ひとつないはずだ。友人の様子は何も変わらないし、幼馴染も普段通りだ。これが普通。普段通りのさくらの日常だ。

 けれど、なぜだろう。
 ああ、でも、やっぱり。

 とてつもなく大切なものを、喪ってしまったような気がした。



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