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1話
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「イテテ……何が起きやがった……」
大柄な男達が情けない格好からよろよろと立ち上がると、片方が胸から拳銃を取り出し構える。
「おい、てめぇ何者だ!!!」
マントの男はめんどくさそうに男達を一瞥すると、無視してこちらに語りかけてくる。
「おいそこのガキンチョ、お前はここの家の人間か?」
スカーレットはコクコクと頷く
「……とすると、ここに眼鏡の小太りな男が住んでいたはずだがそいつは───」
突然銃声が鳴り響く、スカーレットと俺は不意な爆音に2人して肩をすくませる。
どうやら威嚇射撃をしたようだ。
一方目の前の謎の男は微動だにせず、銃声のする方をゆっくりと睨んだ。
「おい、少し煩いぞ」
男の影が伸び、大柄な男の影と繋がる。その瞬間大柄な男達は地面へと顔を擦り付ける様に倒れた。
「ガッ……なんだ!?!?」
「お、おい!どうした!?身体が動かねぇ……!てめぇ!なにしやがった!」
男達が慌てふためく。
このマントの男は何者なのだろうか。
まるで手品のように次々と不思議な現象を巻き起こしていく。
目に前の出来事に呆気に取られている俺達を無視して男は続ける。
「それで?その男は今どこにいる」
「え?えっと、わかりません……父は……夜逃げ……しました……」
「ふむ、いい度胸だ」
男はまるで何か嬉しい事が起きたかのように笑顔になる。
「そして、この場に似つかわしくない人間が、私を含め4、いや3人か、なるほど読めてきた」
謎の男は倒れている男に腰掛ける。
「ぐえっ」
「おいデカブツ、お前らと私は同じような被害者かもしれん」
謎の男の話によると、先週スカーレットの父に「500万G程貸してくれれば2、3日で2倍にして必ず返す」と言われ面白かったので貸したというのだ。
そして謎の男曰く
「500万という端金、私にとってはどうでもいいのだが、私から逃げられると思ったのが気に食わん、だからこうして扉を破壊してやったのだ」という事らしい。
スカーレットはもう呆れて物も言えない様だ。
「それで、500万……いや、1000万か?どうするんだ?」
「どうって、そんなお金払えません!!」
「ふむ、ならばお前の肉体を使うというのもいいが」
「おい!その女は俺らの商売で……」
「ちょっと待ってくれ!!」
なんとか無い知恵を絞って言葉を吐き出す。
俺はスカーレットが既に親元を離れている事、スカーレット自身は自分が担保になっているという事を知らなかった点を必死に説いた。
「だがなぁぼうや、こっちには血の契約書ってもんがあってな」
すっかり椅子の姿が定着している借金取りが、自信満々にそう告げる。
「ふむ、見せてみろ」
「あ!てめぇ!」
「……なるほど8000万、庶民には少しばかり厳しい金額だな」
そう、俺らにとって8000万と、更に追加で1000万などどうしようもない、しかしスカーレットが売られていくなんて俺には耐えられなかった、だから俺は自分の出来る事を必死に考え、男達に訴える。
「俺が、俺が稼ぎます!臓器を売るとか奴隷にでもなんでもなります!!」
「あ、アルク!?」
男達の前で土下座をする。
しかしそれも虚しく借金取りの1人が鼻で笑う。
「お前なんか売れるわけないだろ、ちったぁ顔はいいようだが、所詮男。そこの女の半分の価値も無いね」
やはりダメか、他にどうすればいい、どうしたらこの状況を打開できるのだろうか。
俺は自分の無力さを呪った。
「ふむ、ならば私がそいつを9000万で買い取ろう」
「え?」
謎の男は立ち上がると、指を鳴らし男2人の拘束を解く。
そしてツカツカと俺達に近づいて来る。
「す、スカーレットだけは……スカーレットだけは許してくれ」
俺は無様にも男の足に縋りついた、なんとしてもスカーレットを酷い目に遭わせたくはなかったのだ。
「何を言っている?私はお前を買うと言っているのだが」
男はしゃがみ込み俺の顎をクイと持ち上げると
深くて鋭い赤い瞳で俺を妖しく見つめるのであった。
大柄な男達が情けない格好からよろよろと立ち上がると、片方が胸から拳銃を取り出し構える。
「おい、てめぇ何者だ!!!」
マントの男はめんどくさそうに男達を一瞥すると、無視してこちらに語りかけてくる。
「おいそこのガキンチョ、お前はここの家の人間か?」
スカーレットはコクコクと頷く
「……とすると、ここに眼鏡の小太りな男が住んでいたはずだがそいつは───」
突然銃声が鳴り響く、スカーレットと俺は不意な爆音に2人して肩をすくませる。
どうやら威嚇射撃をしたようだ。
一方目の前の謎の男は微動だにせず、銃声のする方をゆっくりと睨んだ。
「おい、少し煩いぞ」
男の影が伸び、大柄な男の影と繋がる。その瞬間大柄な男達は地面へと顔を擦り付ける様に倒れた。
「ガッ……なんだ!?!?」
「お、おい!どうした!?身体が動かねぇ……!てめぇ!なにしやがった!」
男達が慌てふためく。
このマントの男は何者なのだろうか。
まるで手品のように次々と不思議な現象を巻き起こしていく。
目に前の出来事に呆気に取られている俺達を無視して男は続ける。
「それで?その男は今どこにいる」
「え?えっと、わかりません……父は……夜逃げ……しました……」
「ふむ、いい度胸だ」
男はまるで何か嬉しい事が起きたかのように笑顔になる。
「そして、この場に似つかわしくない人間が、私を含め4、いや3人か、なるほど読めてきた」
謎の男は倒れている男に腰掛ける。
「ぐえっ」
「おいデカブツ、お前らと私は同じような被害者かもしれん」
謎の男の話によると、先週スカーレットの父に「500万G程貸してくれれば2、3日で2倍にして必ず返す」と言われ面白かったので貸したというのだ。
そして謎の男曰く
「500万という端金、私にとってはどうでもいいのだが、私から逃げられると思ったのが気に食わん、だからこうして扉を破壊してやったのだ」という事らしい。
スカーレットはもう呆れて物も言えない様だ。
「それで、500万……いや、1000万か?どうするんだ?」
「どうって、そんなお金払えません!!」
「ふむ、ならばお前の肉体を使うというのもいいが」
「おい!その女は俺らの商売で……」
「ちょっと待ってくれ!!」
なんとか無い知恵を絞って言葉を吐き出す。
俺はスカーレットが既に親元を離れている事、スカーレット自身は自分が担保になっているという事を知らなかった点を必死に説いた。
「だがなぁぼうや、こっちには血の契約書ってもんがあってな」
すっかり椅子の姿が定着している借金取りが、自信満々にそう告げる。
「ふむ、見せてみろ」
「あ!てめぇ!」
「……なるほど8000万、庶民には少しばかり厳しい金額だな」
そう、俺らにとって8000万と、更に追加で1000万などどうしようもない、しかしスカーレットが売られていくなんて俺には耐えられなかった、だから俺は自分の出来る事を必死に考え、男達に訴える。
「俺が、俺が稼ぎます!臓器を売るとか奴隷にでもなんでもなります!!」
「あ、アルク!?」
男達の前で土下座をする。
しかしそれも虚しく借金取りの1人が鼻で笑う。
「お前なんか売れるわけないだろ、ちったぁ顔はいいようだが、所詮男。そこの女の半分の価値も無いね」
やはりダメか、他にどうすればいい、どうしたらこの状況を打開できるのだろうか。
俺は自分の無力さを呪った。
「ふむ、ならば私がそいつを9000万で買い取ろう」
「え?」
謎の男は立ち上がると、指を鳴らし男2人の拘束を解く。
そしてツカツカと俺達に近づいて来る。
「す、スカーレットだけは……スカーレットだけは許してくれ」
俺は無様にも男の足に縋りついた、なんとしてもスカーレットを酷い目に遭わせたくはなかったのだ。
「何を言っている?私はお前を買うと言っているのだが」
男はしゃがみ込み俺の顎をクイと持ち上げると
深くて鋭い赤い瞳で俺を妖しく見つめるのであった。
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