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逃亡旅
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体調が回復すると、私たちは徒歩と乗り合い馬車で隣国の国境を目指した。
逃亡中なので、ゼンとは形式上“夫婦”として旅をすることになった。
本名で呼ぶわけにはいかず、一悶着あったが、最終的に「リディ」と呼ぶことで落ち着いた。
旅は意外と穏やかだった。
薬草で目の色や髪色を変えているおかげで、周囲に怪しまれずに移動できる。
引きこもりで読書や土いじりばかりしていた私にとって、薬草の知識がこんな形で役立つとは驚きだった。
時折、ゼンはからかうように言う。
「リディ、こんなに慎重に歩かなくても大丈夫です。私がいるのですから」
「そうは言っても、逃亡中だもの。無事に国境まで着きたいの」
ゼンの目には笑みが浮かんでいたが、その微笑みの奥に何か切なさも感じた。
助けてくれた彼には感謝している――だが、心の中心はあくまで別の人のもとにある。
それでも、彼と過ごす旅は不思議と居心地が良かった。
穏やかな道、雨に濡れた草原、馬車の揺れ。
心配や恐怖を抱えながらも、少しだけ日常の温もりを取り戻せた気がした。
逃亡中なので、ゼンとは形式上“夫婦”として旅をすることになった。
本名で呼ぶわけにはいかず、一悶着あったが、最終的に「リディ」と呼ぶことで落ち着いた。
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引きこもりで読書や土いじりばかりしていた私にとって、薬草の知識がこんな形で役立つとは驚きだった。
時折、ゼンはからかうように言う。
「リディ、こんなに慎重に歩かなくても大丈夫です。私がいるのですから」
「そうは言っても、逃亡中だもの。無事に国境まで着きたいの」
ゼンの目には笑みが浮かんでいたが、その微笑みの奥に何か切なさも感じた。
助けてくれた彼には感謝している――だが、心の中心はあくまで別の人のもとにある。
それでも、彼と過ごす旅は不思議と居心地が良かった。
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