殺されるのは御免なので、逃げました

まめきち

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三つ巴

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森の木漏れ日の中、三人は静かに向き合っていた。
ゼンがリディアーヌの背後に立ち、守るように腕を広げる。
その姿は頼もしいが、リディアーヌの心はシアンに引き寄せられていた。

「リディアーヌ様、なぜ王宮を飛び出した?」
シアンの声は低く、冷たいが、心の奥底に怒りや苛立ちが混じっているのがわかる。

「…生きたいから、です」
リディアーヌは震える声で答える。
「王宮で待っていたのは、死の恐怖だけでした。私は…私の自由が欲しかった」

シアンの瞳が鋭く光る。
「自由――か。あなたが自由になれば、誰かを傷つけることもあるかもしれない。そう思わなかったのか?」
その声には、単なる問いではなく、警告と、そして隠せない感情が混ざっていた。

ゼンが間に立ち、低く警告する。
「シアン、余計な手を出すな。リディアーヌ様は安全です」

しかし、シアンの視線はリディアーヌから離れない。
「ゼン、お前に邪魔はさせない。リディアーヌ様、あなたは俺の知る皇女だ。逃げていい存在じゃない」
その言葉に、リディアーヌの胸が締めつけられる。
ゼンの優しさに甘えて平穏を感じていたのに、やはり心の奥では、シアンに引き戻される自分がいる。

リディアーヌは小さく息を吐く。
「シアン…でも、ここにはゼンがいます。私を守ってくれる人が…」
「ゼンがどうこうじゃない。お前は俺の目の届く範囲にいなければ気が済まない」
シアンの声が低く響き、風が木々を揺らすたび、森全体が緊張に包まれた。

ゼンはリディアーヌの腕を軽く握る。
「リディ、怖がらなくていい。私が守ります」
その声には確かな決意がこもっているが、リディアーヌの心はシアンの視線に捉えられたままだ。

「…リディアーヌ、聞け。お前が生きるためなら、俺は手を差し伸べる。だが、俺の前で逃げ回ることは許さない」
シアンの声は冷たくも熱を帯び、リディアーヌの胸を打つ。
逃げる自由と、守られる安全の間で揺れる彼女の心は、これまで以上に混乱していた。

森の静寂の中、三人の間には見えない緊張の糸が張り詰めていた。
ゼンの優しさ、シアンの圧倒的な存在感――その間で、リディアーヌの心は引き裂かれそうになっていた。
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