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第1話
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兄の絵について取材をしたいというメールが届いたのは、兄の命日からちょうど一ヶ月後のことだった。
メールの送り主は、白石蓮という男だ。ライターをやっていると書かれていた。メールの文面からもっと年配の男性を想像していたが、こうやって目の前にするとまだ二十代前半、学生のようにも見える。
「取材、受けてくださってありがとうございます」
ゆっくりと頭が下げられる。彼の染められた明るい茶色の髪に、リビングの窓から差し込む夕日が当たって、キラキラと光った。同じ色だ。こめかみから汗が流れるのも見えた。
「いいえ、暑い中ここまで来てもらってすみません。遠かったでしょう」
ソファに座るよう勧めながら、エアコン強めますねとローテーブルの上のリモコンに手を伸ばして温度を下げる。少し前に準備していた麦茶を出すと、コップの氷がもう溶けかかっていて、カラリと音を立てた。
「僕は今回のご連絡がなかったら、兄の絵が話題になっていることも知りませんでしたので」
「そうなんですね。かなり広まっていたので、ご存知かと思ってました」
「SNSはあまり見なくて」
へらりと笑ってみせると、彼も、煩わしいときありますよね、と笑って返した。
「ええと、では、あなたの……志鷹さんのお兄さん、三崎綾人さんについて、お話を聞かせてください」
兄の三崎綾人は、二十六歳で自殺した。東京郊外にあるこの自宅の一室をアトリエとして使っており、そこで、首を吊って死んだ。
兄は画家だった。幼い頃から絵を描き、芸術大学在籍中に有名な賞を取り、それをきっかけにその道に進んだ。父も画廊に出資するなど絵を見ることを好んでおり、そちらの業界に明るい人間だった。入っていきやすい環境があったんだろう。
「生い立ちはこんな感じですかねえ」
顎を撫でながら返答する。指に伸びた髭がざらりと当たる。剃るのを忘れていた。
「こんなこと聞くのは失礼だとは思うんですけど……綾人さんのプライベートな面もお聞きして大丈夫ですか? 恋人がいたとか、そういう話はありませんか?」
「それは……兄が大学生になって以降のことならお話しできます。残念ながら、僕は母親の連れ子なんですよ。再婚したのは、兄が十八歳の時。なのでそれ以前の恋愛や人間関係についてはわからないんです」
「そうだったんですね、失礼しました」
勢いよく下げられた頭を見つめる。本当に申し訳なさそうだ。取材を受けた時点で、純粋に兄の絵に関わることだけを聞きたいのではない、ということはわかっていたから、いいのに。
「母との再婚は、兄が大学に入学した頃だったかな。二年生まではここから通っていましたが、三年からは大学のそばに家を借りて一人暮らしをしていました。それから卒業して……二年後またこの実家に戻って来たんです。その間に特定の相手はいなかったと思います」
なるほど、と彼はメモを取る手を休めず呟いた。
そうだ、もうこの家には戻らないと言って出て行った兄は、四年で戻ってきた。聞くと、絵が思うように描けなくなった、と言われたのを覚えている。
「僕とこの家で過ごしたのは、合わせると四年程度なんです。家を出ている間も会うことはあったし、仲も悪くはなかったですが」
「綾人さんが十八歳のとき、志鷹さんは……」
「中学生です。中学からここに引っ越してきました」
「ここに戻られたときの、描けなくなったというのは?」
「うーん、言葉のままです。スランプだったのかな」
「確かにその時期の新規の作品は減っていたかも」
鞄の中をガサガサとやり、一冊のファイルを取り出しページを捲ると、こちらへ向けて差し出す。
「このあたりですね。今までの作風とは違うものが発表されていますが、大きくは話題になっていません」
「へえ……こんな絵も描いてたんだ」
「あ、すみません、お兄さんの絵に対して話題になっていないなんてこと」
「いいですよ、こんな絵を描いていることも知らなかったんだから」
にこりと笑ってみせると、彼も安心したように笑った。
本当に知らなかった。あれ以外の絵も描いていたんだ――あれ以外の絵も描けたんだ。この家のアトリエにはその頃の絵は置かれていなかった。
「白石さんは兄の絵に詳しいみたいですが、ファンなんですか?」
「はい。先日の個展からの新参者なんですけど」
彼の目が輝いたように見えた。先日の個展からならまだ一ヶ月ぐらいか。面白くなって少し笑う。その間にこれだけ兄について調べて俺に連絡してきたとなると、その熱は本物なんだろう。
一年前。来年で没後十年になる兄の個展をしないかと、生前懇意にしていた画廊からの打診があった。父は喜んでそれに応じ、しかし仕事で長期の海外出張が重なったため、俺が全て対応することになってしまった。
「個展、大変でした。父は仕事で海外に、母もそれについて行ったので。志鷹頼んだぞって僕に丸投げされて」
一年前のあの頃、俺は仕事をしていなかった。大学を出て就職するも、問題が起きて仕事を辞めた。次に勤めた会社も上司と合わずに辞めてしまった。それから無気力で引きこもりがちだったところに、父から兄の個展を任された。大変だったが、それをきっかけに最近は少し外に出るようになった。散歩程度だが。仕事は今もしていない。
「俺にとってはありがたかったです。あれをきっかけに三崎綾人さんを知ることができたので」
笑顔を見せる彼の手が麦茶に伸びる。いただきますとコップにつける唇が、夕日のせいかやけに赤く見えて、あれを思い出して一瞬目を閉じる。
「……展示した天使の絵。あの絵が、好きなんですか」
「はい! 三崎綾人の代表作、天使の絵……綺麗で、なんだか頭から離れなくて」
兄の絵は、ほとんどが天使の絵だ。大学時代からモチーフにし始めて、亡くなるまでそれを描いていた。薄暗い色彩の中に浮かび上がる美しい天使の姿。それを何枚も何枚も。
俺はその絵が苦手だった。こちらを見つめる天使の澄んだ目が、微笑む赤い唇が、なんだか気持ち悪くて。
白石さんはソファに座り直して、しっかりとこちらを見て話し始める。
「綾人さんの絵が話題になったのは、個展で彼の描いた天使と同じ顔の人間を見たという書き込みと、その写真がSNSに投稿されたことがきっかけです」
言いながらスマホを操作し、該当の投稿を探しているようだ。彼からのメールにはその投稿のアドレスも記載されていた。見つけたのか、画面をこちらに見せながら続ける。
「三崎綾人の個展に来たら天使の絵と同じ顔の人がいる。モデルか? ヤバイ美人すぎる、という内容でした」
「その投稿見ましたよ。でも、人物ははっきりとは写っていなかったですね」
天使の絵はしっかり写っていたが、件の人物は柱の影とブレによって詳細はわからなかった。気付かれないように隠し撮りしたんだろう。
「そう! 写っていないんです。それでも三崎綾人の天使と同じ顔というだけで、これだけ投稿が広まった……。まあ、インフルエンサーみたいな人が面白がって言及していたのもありますけど」
これだけ盛り上がった原因は、兄の死因が自殺だったからだろう。白石さんからメールをもらってから自分でも少し調べたら、面白がっている投稿や動画をいくつか見つけた。
「三崎綾人の自殺の原因は、天使のモデルとなった女性との別れなのか、とかですよね。鎖骨の下にほくろがあったのではとか、芸能人の誰に似ているとか、細かいところまで絵を見ていて感心しました」
少し皮肉を交えて言う。白石さんは一瞬口をつぐみ、それからこちらをじっと見据えて話し始めた。
「でも一理あるなと、僕も思ったんです。自殺された原因はわかっていないんですよね。ずっと描き続けているほど好きだった人と、別れたのだとしたら」
「そういう人と別れたのが原因とは、考えにくいです。ここに住んでいる間はアトリエにこもりっきりでしたし、女性が訪ねてくることもありましたけど毎回違う人だったし、兄は追い返していたし……。それに、天使と同じ顔はいなかった」
僕が知っている範囲でですが、と一応付け加える。白石さんはうーんと腕を組んで考え込んでしまった。組んだ腕に筋肉が見える。学生時代何か運動でもやっていたんだろうか。
彼のシナリオでは天使のモデルが存在していて、その人物と兄の間に何かがあったという事実がほしいんだろう。だからプライベートを知り得る人物――俺に取材を申し込んだ。
「別れたのではなくて、誰かにずっと片想いをしていた、そういう可能性はないですか?」
これならどうだと作られたストーリーに縋る彼に、乗ってやることにする。個展以降は気が抜けたのもあってずっと無気力だった。何か事件がほしい。
「それは――あり得るかも」
「心当たりは」
「ないです」
ですよねと彼は肩を落とした。
「……探したい?」
「え?」
パッと顔を上げこちらを見る目が、また輝いているように思えた。
「僕も気になってはいるんです。晩年は特に何かに取り憑かれたように描いていました。自殺の原因は、絵の天使にあるのかもしれないなって」
「じゃあ、あの、一緒に探してもらえませんか、天使を」
彼が身を乗り出して必死に言う。少し驚いて身を引いた。そんなにあれが好きなのか。それとも記事を書いて名を上げたいのか。それに伴う金のためか。
「実は、志鷹さんと同時に画廊のオーナーにも連絡してみたんです。でも個人情報もあるから話せないと断られまして……」
「なるほど。そっか、僕なら身内だから話が聞けるってことか」
「あ、なんだか利用するみたいな言い方になってしまってすみません」
「大丈夫、いいですよ。オーナーなら絵のことも僕より詳しいかもしれないし。こちらも白石さんの行動力を利用させてもらうんで」
よろしくお願いします、と差し出された彼の手を取った。
その日から、天使の捜索が始まった。
メールの送り主は、白石蓮という男だ。ライターをやっていると書かれていた。メールの文面からもっと年配の男性を想像していたが、こうやって目の前にするとまだ二十代前半、学生のようにも見える。
「取材、受けてくださってありがとうございます」
ゆっくりと頭が下げられる。彼の染められた明るい茶色の髪に、リビングの窓から差し込む夕日が当たって、キラキラと光った。同じ色だ。こめかみから汗が流れるのも見えた。
「いいえ、暑い中ここまで来てもらってすみません。遠かったでしょう」
ソファに座るよう勧めながら、エアコン強めますねとローテーブルの上のリモコンに手を伸ばして温度を下げる。少し前に準備していた麦茶を出すと、コップの氷がもう溶けかかっていて、カラリと音を立てた。
「僕は今回のご連絡がなかったら、兄の絵が話題になっていることも知りませんでしたので」
「そうなんですね。かなり広まっていたので、ご存知かと思ってました」
「SNSはあまり見なくて」
へらりと笑ってみせると、彼も、煩わしいときありますよね、と笑って返した。
「ええと、では、あなたの……志鷹さんのお兄さん、三崎綾人さんについて、お話を聞かせてください」
兄の三崎綾人は、二十六歳で自殺した。東京郊外にあるこの自宅の一室をアトリエとして使っており、そこで、首を吊って死んだ。
兄は画家だった。幼い頃から絵を描き、芸術大学在籍中に有名な賞を取り、それをきっかけにその道に進んだ。父も画廊に出資するなど絵を見ることを好んでおり、そちらの業界に明るい人間だった。入っていきやすい環境があったんだろう。
「生い立ちはこんな感じですかねえ」
顎を撫でながら返答する。指に伸びた髭がざらりと当たる。剃るのを忘れていた。
「こんなこと聞くのは失礼だとは思うんですけど……綾人さんのプライベートな面もお聞きして大丈夫ですか? 恋人がいたとか、そういう話はありませんか?」
「それは……兄が大学生になって以降のことならお話しできます。残念ながら、僕は母親の連れ子なんですよ。再婚したのは、兄が十八歳の時。なのでそれ以前の恋愛や人間関係についてはわからないんです」
「そうだったんですね、失礼しました」
勢いよく下げられた頭を見つめる。本当に申し訳なさそうだ。取材を受けた時点で、純粋に兄の絵に関わることだけを聞きたいのではない、ということはわかっていたから、いいのに。
「母との再婚は、兄が大学に入学した頃だったかな。二年生まではここから通っていましたが、三年からは大学のそばに家を借りて一人暮らしをしていました。それから卒業して……二年後またこの実家に戻って来たんです。その間に特定の相手はいなかったと思います」
なるほど、と彼はメモを取る手を休めず呟いた。
そうだ、もうこの家には戻らないと言って出て行った兄は、四年で戻ってきた。聞くと、絵が思うように描けなくなった、と言われたのを覚えている。
「僕とこの家で過ごしたのは、合わせると四年程度なんです。家を出ている間も会うことはあったし、仲も悪くはなかったですが」
「綾人さんが十八歳のとき、志鷹さんは……」
「中学生です。中学からここに引っ越してきました」
「ここに戻られたときの、描けなくなったというのは?」
「うーん、言葉のままです。スランプだったのかな」
「確かにその時期の新規の作品は減っていたかも」
鞄の中をガサガサとやり、一冊のファイルを取り出しページを捲ると、こちらへ向けて差し出す。
「このあたりですね。今までの作風とは違うものが発表されていますが、大きくは話題になっていません」
「へえ……こんな絵も描いてたんだ」
「あ、すみません、お兄さんの絵に対して話題になっていないなんてこと」
「いいですよ、こんな絵を描いていることも知らなかったんだから」
にこりと笑ってみせると、彼も安心したように笑った。
本当に知らなかった。あれ以外の絵も描いていたんだ――あれ以外の絵も描けたんだ。この家のアトリエにはその頃の絵は置かれていなかった。
「白石さんは兄の絵に詳しいみたいですが、ファンなんですか?」
「はい。先日の個展からの新参者なんですけど」
彼の目が輝いたように見えた。先日の個展からならまだ一ヶ月ぐらいか。面白くなって少し笑う。その間にこれだけ兄について調べて俺に連絡してきたとなると、その熱は本物なんだろう。
一年前。来年で没後十年になる兄の個展をしないかと、生前懇意にしていた画廊からの打診があった。父は喜んでそれに応じ、しかし仕事で長期の海外出張が重なったため、俺が全て対応することになってしまった。
「個展、大変でした。父は仕事で海外に、母もそれについて行ったので。志鷹頼んだぞって僕に丸投げされて」
一年前のあの頃、俺は仕事をしていなかった。大学を出て就職するも、問題が起きて仕事を辞めた。次に勤めた会社も上司と合わずに辞めてしまった。それから無気力で引きこもりがちだったところに、父から兄の個展を任された。大変だったが、それをきっかけに最近は少し外に出るようになった。散歩程度だが。仕事は今もしていない。
「俺にとってはありがたかったです。あれをきっかけに三崎綾人さんを知ることができたので」
笑顔を見せる彼の手が麦茶に伸びる。いただきますとコップにつける唇が、夕日のせいかやけに赤く見えて、あれを思い出して一瞬目を閉じる。
「……展示した天使の絵。あの絵が、好きなんですか」
「はい! 三崎綾人の代表作、天使の絵……綺麗で、なんだか頭から離れなくて」
兄の絵は、ほとんどが天使の絵だ。大学時代からモチーフにし始めて、亡くなるまでそれを描いていた。薄暗い色彩の中に浮かび上がる美しい天使の姿。それを何枚も何枚も。
俺はその絵が苦手だった。こちらを見つめる天使の澄んだ目が、微笑む赤い唇が、なんだか気持ち悪くて。
白石さんはソファに座り直して、しっかりとこちらを見て話し始める。
「綾人さんの絵が話題になったのは、個展で彼の描いた天使と同じ顔の人間を見たという書き込みと、その写真がSNSに投稿されたことがきっかけです」
言いながらスマホを操作し、該当の投稿を探しているようだ。彼からのメールにはその投稿のアドレスも記載されていた。見つけたのか、画面をこちらに見せながら続ける。
「三崎綾人の個展に来たら天使の絵と同じ顔の人がいる。モデルか? ヤバイ美人すぎる、という内容でした」
「その投稿見ましたよ。でも、人物ははっきりとは写っていなかったですね」
天使の絵はしっかり写っていたが、件の人物は柱の影とブレによって詳細はわからなかった。気付かれないように隠し撮りしたんだろう。
「そう! 写っていないんです。それでも三崎綾人の天使と同じ顔というだけで、これだけ投稿が広まった……。まあ、インフルエンサーみたいな人が面白がって言及していたのもありますけど」
これだけ盛り上がった原因は、兄の死因が自殺だったからだろう。白石さんからメールをもらってから自分でも少し調べたら、面白がっている投稿や動画をいくつか見つけた。
「三崎綾人の自殺の原因は、天使のモデルとなった女性との別れなのか、とかですよね。鎖骨の下にほくろがあったのではとか、芸能人の誰に似ているとか、細かいところまで絵を見ていて感心しました」
少し皮肉を交えて言う。白石さんは一瞬口をつぐみ、それからこちらをじっと見据えて話し始めた。
「でも一理あるなと、僕も思ったんです。自殺された原因はわかっていないんですよね。ずっと描き続けているほど好きだった人と、別れたのだとしたら」
「そういう人と別れたのが原因とは、考えにくいです。ここに住んでいる間はアトリエにこもりっきりでしたし、女性が訪ねてくることもありましたけど毎回違う人だったし、兄は追い返していたし……。それに、天使と同じ顔はいなかった」
僕が知っている範囲でですが、と一応付け加える。白石さんはうーんと腕を組んで考え込んでしまった。組んだ腕に筋肉が見える。学生時代何か運動でもやっていたんだろうか。
彼のシナリオでは天使のモデルが存在していて、その人物と兄の間に何かがあったという事実がほしいんだろう。だからプライベートを知り得る人物――俺に取材を申し込んだ。
「別れたのではなくて、誰かにずっと片想いをしていた、そういう可能性はないですか?」
これならどうだと作られたストーリーに縋る彼に、乗ってやることにする。個展以降は気が抜けたのもあってずっと無気力だった。何か事件がほしい。
「それは――あり得るかも」
「心当たりは」
「ないです」
ですよねと彼は肩を落とした。
「……探したい?」
「え?」
パッと顔を上げこちらを見る目が、また輝いているように思えた。
「僕も気になってはいるんです。晩年は特に何かに取り憑かれたように描いていました。自殺の原因は、絵の天使にあるのかもしれないなって」
「じゃあ、あの、一緒に探してもらえませんか、天使を」
彼が身を乗り出して必死に言う。少し驚いて身を引いた。そんなにあれが好きなのか。それとも記事を書いて名を上げたいのか。それに伴う金のためか。
「実は、志鷹さんと同時に画廊のオーナーにも連絡してみたんです。でも個人情報もあるから話せないと断られまして……」
「なるほど。そっか、僕なら身内だから話が聞けるってことか」
「あ、なんだか利用するみたいな言い方になってしまってすみません」
「大丈夫、いいですよ。オーナーなら絵のことも僕より詳しいかもしれないし。こちらも白石さんの行動力を利用させてもらうんで」
よろしくお願いします、と差し出された彼の手を取った。
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