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ルルレットを探す旅(4)
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ザス王国からイドマン王国へトンネルを通す工事の話は領主から国に伝わり、国家プロジェクトのようになった。
王都の冒険者ギルドから各種の属性を持つ魔法使いが大勢招集されたのだ。
これで1日3交替で1日中掘り進める事ができるようになり、掘るスピードは格段に上がっていった。
そしてトンネルを掘り始めて60日後、最後の壁に穴が開き、イドマンへのトンネルが開通したのだ。
カルプルの街の人も道が崩落して困っており、やってきたザス王国から来た魔法使いを狂喜乱舞して迎えた。
トンネルは登る馬車と下る馬車がすれ違えるほどの幅があり、空間魔法使いの設計により馬車が悠々と登れる傾斜になっている。がけ崩れに怯える事なく安全に通行できるようになって人々の顔は明るかった。
イドマンの領主の館には酒や料理が運ばれて、トンネルの工事に携わった魔法使いを集めて慰労パーティーがおこなわれた。
「ベリルさん、お疲れさまでした」役立たずだと自信を無くしていた無属性魔法魔法のサイファと空間魔法使いのニールがベリルの元へやって来た。
「お二人ともお疲れ様でした。無属性と空間魔法使いは数が少ないので出ずっぱりで大変でしたね」
「ええ、空間魔法使いでも目的地の位置がわかる魔法を使える者は僕しかいなかったので忙しかったです。だけど僕の人生でこんなに充実して楽しかった日々はありませんでしたよ」
「無属性も3人しかいなかったので忙しかったですが、皆、無属性魔法でこんな事ができるって知って感激していました。他の二人も役立たずの魔法って言われ続けてたみたいで、この魔法は役に立つと言われて泣いていましたね」サイファとニースは嬉しそうに言った。
「ベリルさんが属性魔法を組み合わせたらどうかと言ってくれたおかげです。どうもありがとうございました」
「空間魔法の新たな可能性を示してもらいました。ありがとうございました!」
「いえ、お二人の魔法はそれだけ価値があるんですよ。皆がその価値を知らなかっただけです。これからはお二人とも引っ張りだこになるんじゃないですか?お二人はこれからどちらに?」
「僕はイドマン王国のガレンダという町の出身で、いったん帰りますが、冒険者ギルドから他の所でも新しい仕事をやってみないかと誘われているので行ってみようと思います」とサイファは言った。
「私は婚約者が待っているので、商売を継ぐためにスニフという町に帰ろうと思っています」
ニースも冒険者ギルドから誘われているのだが、婚約者を待たせているので早く家に帰って生活を安定させたいのだと言った。
「ベリルさんはどうされるんですか?」
「僕は人を探しているので…そうだお二人とも言葉を喋る赤ん坊か、自分は生まれ変わったと言う人の噂を聞いた事はありませんか?」
「えっ、赤ん坊が喋るんですか?それに生まれ変わりの話も聞いた事は無いですね」
「でもベリルさんが人探しをしているなら協力しますよ。うちの店の関係先はあちこちにあるので聞いてみましょうか?」
「あ、探すのは僕自身が出向きたいので、こういう噂があるという事だけ教えてもらえませんか?」
そうして私たちはサイファと別れ、ニースの家があるスニフの街にやって来た。
ニースの家はスニフの街でも大店を言われるような大きな店だった。関係先が多く顔が広いので、あちこちに人をやったり手紙を出して、ベリルが国中足を運ばなくても情報を集める事ができると言う。
「ベリルさん、ご自身で行かれなくても、ここで待ってれば良いじゃないですか?信用のできる者に調べて来させますよ?」
「ニースさんのお気持ちはありがたいのですが、ほんの小さな事でも気になることは自分で調べに行きたいのです」
「お探しになっている方は、ベリルさんにとって本当に大事な方なのですね」とニース言うと、「はい、とっても大事な人なのです」とベリルは少しはにかみながら答えた。
そして僕はイドマンの国を回った。しかしもらった情報はどれも違っていて僕は力を落としてニースの店に戻って来ていた。
「ニースさん残念ながら見つかりませんでした」見るからに憔悴しているベリルにニースは言った。
「ベリルさん、ラジル王国から出て2年以上帰っておられないんでしょう?出られてから新たな情報があったかもしれません。ラジル王国はこの隣のズッシード王国からズルフ河を下ればすぐです。一度帰られてみてはいかがでしょう?」
ニースの言葉にベリルは、そういえば2年間手紙を一度も実家に出していなかったと思い出した。連絡もしないで家族が心配しているかもしれないなと思いつき、ベリルは一度帰ってみることにした。
「ラジル王国なら、ここからズッシード王国のスピカ高地を通って帰られたら早いですよ。それにあそこは景勝地ですから眺めは良いし、旅の途中で寄ってみられると良いです。一見の価値はありますよ」
「そうなんですか、じゃあスピカ高地を通って帰ってみます。ニースさん何から何まで大変お世話になりました」
「いえいえ、ベリルさんと過ごせて楽しかったです。またこちらに来られる事があればぜひ声をかけてください。
トンネルを掘り始めてから数か月、共に苦労した仲間であるニースと固い握手を交わし再会を誓った。
そうしてベリルはスニフの街を後にしてズッシード王国のスピカ高原を目指したのだった。
王都の冒険者ギルドから各種の属性を持つ魔法使いが大勢招集されたのだ。
これで1日3交替で1日中掘り進める事ができるようになり、掘るスピードは格段に上がっていった。
そしてトンネルを掘り始めて60日後、最後の壁に穴が開き、イドマンへのトンネルが開通したのだ。
カルプルの街の人も道が崩落して困っており、やってきたザス王国から来た魔法使いを狂喜乱舞して迎えた。
トンネルは登る馬車と下る馬車がすれ違えるほどの幅があり、空間魔法使いの設計により馬車が悠々と登れる傾斜になっている。がけ崩れに怯える事なく安全に通行できるようになって人々の顔は明るかった。
イドマンの領主の館には酒や料理が運ばれて、トンネルの工事に携わった魔法使いを集めて慰労パーティーがおこなわれた。
「ベリルさん、お疲れさまでした」役立たずだと自信を無くしていた無属性魔法魔法のサイファと空間魔法使いのニールがベリルの元へやって来た。
「お二人ともお疲れ様でした。無属性と空間魔法使いは数が少ないので出ずっぱりで大変でしたね」
「ええ、空間魔法使いでも目的地の位置がわかる魔法を使える者は僕しかいなかったので忙しかったです。だけど僕の人生でこんなに充実して楽しかった日々はありませんでしたよ」
「無属性も3人しかいなかったので忙しかったですが、皆、無属性魔法でこんな事ができるって知って感激していました。他の二人も役立たずの魔法って言われ続けてたみたいで、この魔法は役に立つと言われて泣いていましたね」サイファとニースは嬉しそうに言った。
「ベリルさんが属性魔法を組み合わせたらどうかと言ってくれたおかげです。どうもありがとうございました」
「空間魔法の新たな可能性を示してもらいました。ありがとうございました!」
「いえ、お二人の魔法はそれだけ価値があるんですよ。皆がその価値を知らなかっただけです。これからはお二人とも引っ張りだこになるんじゃないですか?お二人はこれからどちらに?」
「僕はイドマン王国のガレンダという町の出身で、いったん帰りますが、冒険者ギルドから他の所でも新しい仕事をやってみないかと誘われているので行ってみようと思います」とサイファは言った。
「私は婚約者が待っているので、商売を継ぐためにスニフという町に帰ろうと思っています」
ニースも冒険者ギルドから誘われているのだが、婚約者を待たせているので早く家に帰って生活を安定させたいのだと言った。
「ベリルさんはどうされるんですか?」
「僕は人を探しているので…そうだお二人とも言葉を喋る赤ん坊か、自分は生まれ変わったと言う人の噂を聞いた事はありませんか?」
「えっ、赤ん坊が喋るんですか?それに生まれ変わりの話も聞いた事は無いですね」
「でもベリルさんが人探しをしているなら協力しますよ。うちの店の関係先はあちこちにあるので聞いてみましょうか?」
「あ、探すのは僕自身が出向きたいので、こういう噂があるという事だけ教えてもらえませんか?」
そうして私たちはサイファと別れ、ニースの家があるスニフの街にやって来た。
ニースの家はスニフの街でも大店を言われるような大きな店だった。関係先が多く顔が広いので、あちこちに人をやったり手紙を出して、ベリルが国中足を運ばなくても情報を集める事ができると言う。
「ベリルさん、ご自身で行かれなくても、ここで待ってれば良いじゃないですか?信用のできる者に調べて来させますよ?」
「ニースさんのお気持ちはありがたいのですが、ほんの小さな事でも気になることは自分で調べに行きたいのです」
「お探しになっている方は、ベリルさんにとって本当に大事な方なのですね」とニース言うと、「はい、とっても大事な人なのです」とベリルは少しはにかみながら答えた。
そして僕はイドマンの国を回った。しかしもらった情報はどれも違っていて僕は力を落としてニースの店に戻って来ていた。
「ニースさん残念ながら見つかりませんでした」見るからに憔悴しているベリルにニースは言った。
「ベリルさん、ラジル王国から出て2年以上帰っておられないんでしょう?出られてから新たな情報があったかもしれません。ラジル王国はこの隣のズッシード王国からズルフ河を下ればすぐです。一度帰られてみてはいかがでしょう?」
ニースの言葉にベリルは、そういえば2年間手紙を一度も実家に出していなかったと思い出した。連絡もしないで家族が心配しているかもしれないなと思いつき、ベリルは一度帰ってみることにした。
「ラジル王国なら、ここからズッシード王国のスピカ高地を通って帰られたら早いですよ。それにあそこは景勝地ですから眺めは良いし、旅の途中で寄ってみられると良いです。一見の価値はありますよ」
「そうなんですか、じゃあスピカ高地を通って帰ってみます。ニースさん何から何まで大変お世話になりました」
「いえいえ、ベリルさんと過ごせて楽しかったです。またこちらに来られる事があればぜひ声をかけてください。
トンネルを掘り始めてから数か月、共に苦労した仲間であるニースと固い握手を交わし再会を誓った。
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