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第七話 初武器生産と試し斬り
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玲奈と別れた後、僕は家に帰宅していた。
「ただいま!」
「おかえり! 彼女はできた?」
勘が鋭いお母さんにいきなりそんなことを言われた。
実際、彼女ができてしまったので、嘘をつかずに話してしまおうか……勘が鋭いお母さんの前では筒抜けだろうし……。
「できたよ!」
「やっぱり! 悠斗に彼女ができるなんて思わなかったけど……」
「それはどういう事だよ!」
お母さんの言葉についつい突っ込んでしまう。
「冗談よ! いつ連れてきてくれるのかしら!」
「また今度……」
「楽しみにしているわ!」
お母さんは心がほのかに温まるような微笑みを浮かべている。
僕はお母さんと日常するような会話をして二階に上がっていく。
「夕飯の時には降りてきなさいよ!」
「は――い」
僕は返事をして自室に入っていく。
自室に入るとすぐにベッドに横になってゲームにログインする。
***
僕が目を開けると、そこは現実世界に帰還する前に急いで取った宿だった。
ツキナはまだベッドに寝転がったままなのでログインはしていないようだ。
早くログインして来ないかな……僕はドキドキワクワクしながら待った。
五分くらいツキナを見つめているとアバターに魂が吹き込まれたかのようにひょっこりと、起き上がってこちらに顔を向けてくる。
「こんにちは、さっきぶりだね! ツキナ!」
「こんにちは、ヒビト!」
僕とツキナは唇に幸福の笑みを浮かべながら挨拶をかわす。
初めて会った時よりも明るい雰囲気が漂っている気がする。お互いに心境の変化があったからだろう……。
「さぁ! 武器を作りに行きましょ! 私が紹介すると言ったプレイヤーはログインしているみたいだから!」
「プレイヤー?」
「ヒビトと私みたいにゲームをやっている人のことをこの世界ではプレイヤーと言うの!」
「なるほど! 行こ!」
僕とツキナは足早に宿を出ていく。
外に出るとこのゲームに初めてログインした時と同じ光景が広がっているのだが、初めてログインした時よりもきれいに見えている。
「やっぱりいつ見てもきれいな光景だなぁ……」
「そうね!」
僕とツキナはそう呟き、手をつないだ。
(普通に手をつなげたぞ‼ やったぁ‼)と僕は歓喜の声を上げる。心の中で騒いでいるだけなので誰にも聞こえないが……。
五百メートルくらい歩くと目的の武器屋さんが見えてきた。
店の上には遠くからでも目立つように武器の形をした看板を取り付けていた。
武器屋の目の前に着くと表には《リリ武具店》と表示されていた。
僕とツキナは店の中に入っていく。
「いらしゃい! ツキリン!」
「こんにちは、リリ!」
この店を経営しているのは僕と同い年くらいで、赤い髪のショートカットに日本人のようにダークブラウン色の瞳をしている。さらに生産職のプレイヤーなので動きやすそうな格好をしている女の子だった。
ツキナとはとても親しそうにしている。
「ところで、ツキリン! 隣にいる男の子は彼氏?」
「……えっ! と、友達よ!」
「ツキリンは嘘をつくのが下手だね!」
リリはにやりと笑いながら言う。
確かにリリが言ったことは正しいツキナの嘘は非常に分かりやすいのだ。
リリは僕に接近してきてじっくりと見物を始めた。
「顔は九十点、それにスタイルもいいし、完璧ね! ツキリン! いい彼氏を捕まえたじゃない!」
人を評価するなと突っ込みたくなったがツキナがいるので抑える。
「ありがと……」
「ツキリン! さっそく今日、来た理由を教えて!」
「今日はヒビトの武器を生産してもらいたくて来たの!」
「へぇ~ ヒビトと言う名前なんだ……」
「作ってくれる?」
「いいよ! ヒビトはどんな武器を使うの?」
いきなり呼び捨てっすかと思ったが、質問にちゃんと答える。
「大剣!」
「力もちなんだ! ちなみにSTRにどれくらい振ってる?」
「……えっと……確か……四十くらいだったはず……」
「オッケー‼ 素材はどれを使う?」
「この中で一番いいものを……」
僕はリンクメニューを開いて、アイテムの項目を選択して机みたいなところに実体化させる。
アイテムの名前を選択すると説明と同時に〔実体化〕、〔捨てる〕や〔交換〕などと言うこのアイテムをどうするかが表示されるので〔実体化〕を選択して実体化させた。
これも操作もツキナに説明されている通りに行う。
「どれどれ!」
リリは実体化させたアイテムを一ずつタップして確認を行っていく。
「これとこれを使うね! 後は売ってもいいと思うよ」
「そんなこともできるのか?」
「できるよ! となりに鑑定をやっている店があるから武器が出来上がるまでの間に売ってきたら?」
「なら、そうさせてもらう!」
アイテムを売ることができるのか……初めて知った……僕とツキナは武器が出来上がるまでの間にアイテムを売りに行った。
「ヒビト! 所持金いくら?」
「所持金って……ゴールドって書いてあるやつか……?」
「そうよ!」
「二十万ゴールドってなってた」
「結構あるわね!」
「あれだけモンスターを倒したからな……」
ツキナの話によるとこのゲームではモンスターを倒すとアイテム以外にお金も一緒にドロップするらしいのだ。
僕とツキナがリリ武具店に戻ると武器が完成していた。僕は十万ゴールドを支払った。
「ツキリン! ヒビト! また来てね!」
僕とツキナは返事を返して店を後にして、試し斬りをするためにフィールドに向かう。
「今回は違うフィールドに行くわよ!」
「何で?」
「ヒビトが強くなったからよ! モンスターも強くなっているから、レベルも上がりやすくなるはずよ!」
「分かった!」
今回はログインしたてにお世話になったフィールドではなく別のフィールドに行くことになった。
フィールドについて目に入った光景は白色のかすみ草が広がる場所だった。
「今度は真っ白のかすみ草か……」
桜、菜の花そしてかすみ草どれも春を象徴する代表的な花だ。
春をテーマにしているのかな……
僕とツキナは歩いて進んでいく。
このフィールドに来て最初に遭遇したモンスターはキツネだった。
キツネは腹を空かせているようだった。
「これあげる!」
僕は最初のフィールドにいた蜂がドロップしたアイテムを実体化してキツネに渡してみた。
アイテムは全部売ったわけではなく、念のため二つ残しておいたのだ。
「何やってるの?」
「モンスターが腹を空かせているみたいだから、餌をあげてみたんだよ」
「バカじゃないの!」
「……何で? 餌を食べてくれてるでしょ?」
「見てみなさい! 餌なんか無視してこっちに向かってくるわよ!」
「本当だ……気に入らなかったのかな?」
「知らないわよ!」
(餌を与えてあげたのにそれはひどいでしょ)と心の中でキツネを怒り、大剣を抜いて狐の噛みつき攻撃を避けて腰のあたりに一撃‼
「胴‼」
キツネは一発で絶命する。
斬った際に攻撃が当たった部分がオレンジ色に光った。
「斬った時にオレンジ色に光ったんだけど意味あるのか?」
「そのエフェクトは攻撃がクリティカルになったと言う意味よ! 他にもクリティカルエフェクトにはいろいろな色があるのよ」
ツキナの説明を聞くとエフェクトと言うのは光を発生させることだと自然に分かった。
やっぱり【狙い上手Ⅲ】の効果は異常だったみたいだ。
(僕、マジで強いかも……)
「餌を無視して向かってきたからだ!! それにしてもこの武器すごい使いやすいし、威力も違うなぁ……」
「それはそうよ! その武器を作る前は初期装備を使っていたんだから……! 生産職のプレイヤーが作る武器は初期装備に比べて威力も桁違いなのよ!」
「そうなんだ! 生産職すげぇ!」
味をしめた僕は試し斬りを続けるのだった。
「ただいま!」
「おかえり! 彼女はできた?」
勘が鋭いお母さんにいきなりそんなことを言われた。
実際、彼女ができてしまったので、嘘をつかずに話してしまおうか……勘が鋭いお母さんの前では筒抜けだろうし……。
「できたよ!」
「やっぱり! 悠斗に彼女ができるなんて思わなかったけど……」
「それはどういう事だよ!」
お母さんの言葉についつい突っ込んでしまう。
「冗談よ! いつ連れてきてくれるのかしら!」
「また今度……」
「楽しみにしているわ!」
お母さんは心がほのかに温まるような微笑みを浮かべている。
僕はお母さんと日常するような会話をして二階に上がっていく。
「夕飯の時には降りてきなさいよ!」
「は――い」
僕は返事をして自室に入っていく。
自室に入るとすぐにベッドに横になってゲームにログインする。
***
僕が目を開けると、そこは現実世界に帰還する前に急いで取った宿だった。
ツキナはまだベッドに寝転がったままなのでログインはしていないようだ。
早くログインして来ないかな……僕はドキドキワクワクしながら待った。
五分くらいツキナを見つめているとアバターに魂が吹き込まれたかのようにひょっこりと、起き上がってこちらに顔を向けてくる。
「こんにちは、さっきぶりだね! ツキナ!」
「こんにちは、ヒビト!」
僕とツキナは唇に幸福の笑みを浮かべながら挨拶をかわす。
初めて会った時よりも明るい雰囲気が漂っている気がする。お互いに心境の変化があったからだろう……。
「さぁ! 武器を作りに行きましょ! 私が紹介すると言ったプレイヤーはログインしているみたいだから!」
「プレイヤー?」
「ヒビトと私みたいにゲームをやっている人のことをこの世界ではプレイヤーと言うの!」
「なるほど! 行こ!」
僕とツキナは足早に宿を出ていく。
外に出るとこのゲームに初めてログインした時と同じ光景が広がっているのだが、初めてログインした時よりもきれいに見えている。
「やっぱりいつ見てもきれいな光景だなぁ……」
「そうね!」
僕とツキナはそう呟き、手をつないだ。
(普通に手をつなげたぞ‼ やったぁ‼)と僕は歓喜の声を上げる。心の中で騒いでいるだけなので誰にも聞こえないが……。
五百メートルくらい歩くと目的の武器屋さんが見えてきた。
店の上には遠くからでも目立つように武器の形をした看板を取り付けていた。
武器屋の目の前に着くと表には《リリ武具店》と表示されていた。
僕とツキナは店の中に入っていく。
「いらしゃい! ツキリン!」
「こんにちは、リリ!」
この店を経営しているのは僕と同い年くらいで、赤い髪のショートカットに日本人のようにダークブラウン色の瞳をしている。さらに生産職のプレイヤーなので動きやすそうな格好をしている女の子だった。
ツキナとはとても親しそうにしている。
「ところで、ツキリン! 隣にいる男の子は彼氏?」
「……えっ! と、友達よ!」
「ツキリンは嘘をつくのが下手だね!」
リリはにやりと笑いながら言う。
確かにリリが言ったことは正しいツキナの嘘は非常に分かりやすいのだ。
リリは僕に接近してきてじっくりと見物を始めた。
「顔は九十点、それにスタイルもいいし、完璧ね! ツキリン! いい彼氏を捕まえたじゃない!」
人を評価するなと突っ込みたくなったがツキナがいるので抑える。
「ありがと……」
「ツキリン! さっそく今日、来た理由を教えて!」
「今日はヒビトの武器を生産してもらいたくて来たの!」
「へぇ~ ヒビトと言う名前なんだ……」
「作ってくれる?」
「いいよ! ヒビトはどんな武器を使うの?」
いきなり呼び捨てっすかと思ったが、質問にちゃんと答える。
「大剣!」
「力もちなんだ! ちなみにSTRにどれくらい振ってる?」
「……えっと……確か……四十くらいだったはず……」
「オッケー‼ 素材はどれを使う?」
「この中で一番いいものを……」
僕はリンクメニューを開いて、アイテムの項目を選択して机みたいなところに実体化させる。
アイテムの名前を選択すると説明と同時に〔実体化〕、〔捨てる〕や〔交換〕などと言うこのアイテムをどうするかが表示されるので〔実体化〕を選択して実体化させた。
これも操作もツキナに説明されている通りに行う。
「どれどれ!」
リリは実体化させたアイテムを一ずつタップして確認を行っていく。
「これとこれを使うね! 後は売ってもいいと思うよ」
「そんなこともできるのか?」
「できるよ! となりに鑑定をやっている店があるから武器が出来上がるまでの間に売ってきたら?」
「なら、そうさせてもらう!」
アイテムを売ることができるのか……初めて知った……僕とツキナは武器が出来上がるまでの間にアイテムを売りに行った。
「ヒビト! 所持金いくら?」
「所持金って……ゴールドって書いてあるやつか……?」
「そうよ!」
「二十万ゴールドってなってた」
「結構あるわね!」
「あれだけモンスターを倒したからな……」
ツキナの話によるとこのゲームではモンスターを倒すとアイテム以外にお金も一緒にドロップするらしいのだ。
僕とツキナがリリ武具店に戻ると武器が完成していた。僕は十万ゴールドを支払った。
「ツキリン! ヒビト! また来てね!」
僕とツキナは返事を返して店を後にして、試し斬りをするためにフィールドに向かう。
「今回は違うフィールドに行くわよ!」
「何で?」
「ヒビトが強くなったからよ! モンスターも強くなっているから、レベルも上がりやすくなるはずよ!」
「分かった!」
今回はログインしたてにお世話になったフィールドではなく別のフィールドに行くことになった。
フィールドについて目に入った光景は白色のかすみ草が広がる場所だった。
「今度は真っ白のかすみ草か……」
桜、菜の花そしてかすみ草どれも春を象徴する代表的な花だ。
春をテーマにしているのかな……
僕とツキナは歩いて進んでいく。
このフィールドに来て最初に遭遇したモンスターはキツネだった。
キツネは腹を空かせているようだった。
「これあげる!」
僕は最初のフィールドにいた蜂がドロップしたアイテムを実体化してキツネに渡してみた。
アイテムは全部売ったわけではなく、念のため二つ残しておいたのだ。
「何やってるの?」
「モンスターが腹を空かせているみたいだから、餌をあげてみたんだよ」
「バカじゃないの!」
「……何で? 餌を食べてくれてるでしょ?」
「見てみなさい! 餌なんか無視してこっちに向かってくるわよ!」
「本当だ……気に入らなかったのかな?」
「知らないわよ!」
(餌を与えてあげたのにそれはひどいでしょ)と心の中でキツネを怒り、大剣を抜いて狐の噛みつき攻撃を避けて腰のあたりに一撃‼
「胴‼」
キツネは一発で絶命する。
斬った際に攻撃が当たった部分がオレンジ色に光った。
「斬った時にオレンジ色に光ったんだけど意味あるのか?」
「そのエフェクトは攻撃がクリティカルになったと言う意味よ! 他にもクリティカルエフェクトにはいろいろな色があるのよ」
ツキナの説明を聞くとエフェクトと言うのは光を発生させることだと自然に分かった。
やっぱり【狙い上手Ⅲ】の効果は異常だったみたいだ。
(僕、マジで強いかも……)
「餌を無視して向かってきたからだ!! それにしてもこの武器すごい使いやすいし、威力も違うなぁ……」
「それはそうよ! その武器を作る前は初期装備を使っていたんだから……! 生産職のプレイヤーが作る武器は初期装備に比べて威力も桁違いなのよ!」
「そうなんだ! 生産職すげぇ!」
味をしめた僕は試し斬りを続けるのだった。
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