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第四十七話 雷の間と地上レース
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次の階層に来ると所々に雷鳴が轟き、たまに落雷が発生していた。
「僕が耐性を持ってる属性が来た!」
【雷無効】スキルを既に手に入れている僕は活気のある声で言う。
「採掘対決やりたくないなぁ……」
トモはここに来て初めて浮かない顔をする。それもそのはずで、既に負けが決定している勝負は誰もやりたくない。僕だって同じだ。
「今回は辞めるか?」
僕は浮かない顔をしているトモに提案する。
「いいや、辞めない! この状態で勝ったらかっこいいだろ!」
トモは不思議に明るい声を出す。(ポジティブだ、この人)僕は心の中で呟く。トモがやる気になったので、第五回採掘対決が開幕した。
「有利な条件だ! 絶対に負けられない!」
僕は気合を入れ、採掘を始める。採掘対決は十五分ほど行われた。僕とトモはすぐに集計に入る。
「どうだ、ヒビト! 俺の勝ちだ!」
「マジかよ!」
【雷無効】のスキルを持っているのにも関わらずトモに負けてしまったので、驚きで目を見張る。
「俺が本気になればこんなもんだ!」
「完敗だわ!」
トモが自信満々に言うので、僕は笑いながら負けを認めた。それにしてもどうやって不利な状況をひっくり返したのだろうか……。
「これでまた同じ勝率になったな」
「本当だよ! トモ、負けてくれよ!」
「嫌だね!」
僕とトモは楽しく会話をしながら攻略を行なっていく。そしてお手玉をしているモンスターに遭遇する。
「でたよ! もう見飽きたわ~」
「俺は全然、飽きてないぞ!」
「それはそうでしょ! トモにはちゃんとした目的があるからな!」
「まあな! スキル手に入れてくる!」
「おう! 行ってこい!」
「行ってくる!」
僕はトモを明るく送り出す。トモは笑みを浮かべながらお手玉をしているモンスターに近づく。トモはお手玉をしているモンスターの技を全て真似して戻ってくる。
「あいかわらず、上手いな」
「これくらい朝飯前だぜ!」
トモは親指を立て、僕に向けてくる。
「さすが!」
僕も親指を立てて、トモに向ける。トモがお手玉スキルを手に入れたので、攻略を再開する。お互い【雷無効】スキルを持っているので簡単にモンスターを倒すことが出来ている。
「これでひと段落したかな」
僕は一通り周りを見回した後、胸の中から最後の空気を吐き出すように、つぶやいた。
「少し休憩しよう!」
「そうしよう!」
二人の意見が一致したので、僕とトモはその場に腰を下ろそうとした。しかし後ろからものすごい勢いでこちらに向かってくる足音が聞こえできたので、すぐに戦闘態勢をとる。
足跡は次第に近づいてくる。真後ろにモンスターが来たタイミングで攻撃をしようと思っていたので、モンスターが真後ろにくることを確認すると剣を鞘から抜き、振るう。
モンスターはそれを避け僕とトモの間をすり抜ける。そして百八十度回転して僕とトモの前で停止し、足踏みを行なっている。
「何だ? このトカゲ!」
僕は触ると感電しそうな二本足で立っているトカゲ型モンスターを指差しながら質問する。
「……俺に聞かれても分からないな……ただ、攻撃的なモンスターではなさそうだぞ」
トモは少し考えた後、怪訝な顔をして答える。
「一緒に走ろうよと誘ってるのかな?」
「どうだろうな」
僕とトモが普通の会話をしているとトカゲが首を横に振る。
「違うのか……ってお前、言葉分かるの⁉︎」
僕がトカゲにツッコミをするとトカゲは首を縦に振る。
「え? マジ? すごいな!」
トカゲは腕を組みドヤ顔をする。
少しずつ腹が立ってきたかも……。
「じゃぁ、何をやりたいの?」
僕はトカゲに質問する。トカゲは走るジェスチャーをして、必死に僕とトモに伝えようとしている。
ヒビト
「タイムトライアルか?」
トモ
「いやいや、違うでしょ。ジョギングだろ?」
僕とトモはトカゲに色んなことを言って、答えを当てようとするが全てハズレだった。
トカゲは僕を指差し、走る動作を行った後、腕相撲のジェスチャーをする。
「あっ! 分かった! 僕とレースをしたいと言うことか!」
僕が言った答えが正解だったみたいで、トカゲは喜んで飛び回る。人工知能でも入っているのかと思えるくらいの完成度だ。
「トモ! このトカゲ、早そうだから全力で行く! 背後を守ってくれ!」
「ヒビトもブレンディングを使うのか?」
「おう! やってみる!」
「ヒビトは失敗するからやめとけって!」
トモが悪戯っ子のような表情で言ってくる。
「そう言うフラグ立てるのやめて!」
僕は微笑を口角に浮かべて答えた。トモと笑い話をした後、プレンディングの実行に移る。
「フウラ! よろしくな!」
「フォッコォォ!」
僕がフルラに声をかけると、明るく弾んだ鳴き声が返ってくる。僕とフウラの準備が出来た。
「ブレンディング‼︎」
僕が大声で叫ぶとトモがブレンディングを使った時と同様に目に泌みるほどの強烈な光に包み込まれた。そしてトモと同じくらいの速度でブレンディングが完成する。
「すげぇ! 本当に力が湧いてくる!」
僕は感慨に打たれる。自分の姿を確認してみると尻尾が九本、生えており目が金色に光っている。さらに黒髪が赤髪に変わっており、トモと同様に髪が立っていた。
「よぉーっ! イケメン!」
トモが僕にチャチャを入れてくる。
「お褒めの言葉、ありがたく受け取っておくよ!」
僕は平然とした顔で答える。
「準備はいいぜ!」
僕はトカゲの方を見て、ニヤリと笑いながら言う。トカゲはその言葉を聞くとスタートをする体勢を取った。
僕の目の前には三と言うカウントが表示される。カウントは一つずつ減少し、零になった瞬間、スタートダッシュを切った。完璧なスタートである。
僕とトカゲはお互いに一歩も譲らずに走っている。体幹感覚的には時速六十キロは出ているはずだが、トカゲと差をつけることができない。
「このトカゲ! 早すぎでしょ! こっちは車と同じ速度で走ってるんだぞ!」
僕は思わず二度見をしてしまう。だがワクワクもしていた。
最大どれくらいの速度が出るのだろうか……。
灼けつくような好奇心を感じ、どんどん走る速度を上げていく。フウラは意思疎通で(もっと速度を出せるよ!)と言っていた。この状態だとフウラとフウラと普通に会話ができるようだ。なかなか新鮮な体験だ。
僕は徐々にスピードを上げていき、ついにトップスピードに達した。体幹感覚的には時速百キロくらいだと思われる。東名高速道路を走っている車と同じ速度だ。
「やばい! 凄く楽しいわ!」
僕は感慨に浸りながらゴールする。ゴールの場所はスタート地点と一緒のところだ。トカゲは数分の時を空けてゴールした。時速六十キロ以上は出なかったらしい。トカゲは消滅した。
【雷門の鍵を獲得しました‼︎ レベルが65になりました‼︎】
「ヒビトの圧勝だったな! さすが!」
「ありがとう! これ癖になるわ!」
「だろ! 俺の気持ちが分かったか?」
「十分に!」
僕はブレンディングを解き、トモと笑いながら話をする。
「鍵を手に入れたか?」
「おう!」
「よし! 準備は整ったな! ボス部屋に向かおう!」
「りょ-かい!」
僕とトモは準備が整ったことを確認するとボス部屋に歩みを進めた。
「僕が耐性を持ってる属性が来た!」
【雷無効】スキルを既に手に入れている僕は活気のある声で言う。
「採掘対決やりたくないなぁ……」
トモはここに来て初めて浮かない顔をする。それもそのはずで、既に負けが決定している勝負は誰もやりたくない。僕だって同じだ。
「今回は辞めるか?」
僕は浮かない顔をしているトモに提案する。
「いいや、辞めない! この状態で勝ったらかっこいいだろ!」
トモは不思議に明るい声を出す。(ポジティブだ、この人)僕は心の中で呟く。トモがやる気になったので、第五回採掘対決が開幕した。
「有利な条件だ! 絶対に負けられない!」
僕は気合を入れ、採掘を始める。採掘対決は十五分ほど行われた。僕とトモはすぐに集計に入る。
「どうだ、ヒビト! 俺の勝ちだ!」
「マジかよ!」
【雷無効】のスキルを持っているのにも関わらずトモに負けてしまったので、驚きで目を見張る。
「俺が本気になればこんなもんだ!」
「完敗だわ!」
トモが自信満々に言うので、僕は笑いながら負けを認めた。それにしてもどうやって不利な状況をひっくり返したのだろうか……。
「これでまた同じ勝率になったな」
「本当だよ! トモ、負けてくれよ!」
「嫌だね!」
僕とトモは楽しく会話をしながら攻略を行なっていく。そしてお手玉をしているモンスターに遭遇する。
「でたよ! もう見飽きたわ~」
「俺は全然、飽きてないぞ!」
「それはそうでしょ! トモにはちゃんとした目的があるからな!」
「まあな! スキル手に入れてくる!」
「おう! 行ってこい!」
「行ってくる!」
僕はトモを明るく送り出す。トモは笑みを浮かべながらお手玉をしているモンスターに近づく。トモはお手玉をしているモンスターの技を全て真似して戻ってくる。
「あいかわらず、上手いな」
「これくらい朝飯前だぜ!」
トモは親指を立て、僕に向けてくる。
「さすが!」
僕も親指を立てて、トモに向ける。トモがお手玉スキルを手に入れたので、攻略を再開する。お互い【雷無効】スキルを持っているので簡単にモンスターを倒すことが出来ている。
「これでひと段落したかな」
僕は一通り周りを見回した後、胸の中から最後の空気を吐き出すように、つぶやいた。
「少し休憩しよう!」
「そうしよう!」
二人の意見が一致したので、僕とトモはその場に腰を下ろそうとした。しかし後ろからものすごい勢いでこちらに向かってくる足音が聞こえできたので、すぐに戦闘態勢をとる。
足跡は次第に近づいてくる。真後ろにモンスターが来たタイミングで攻撃をしようと思っていたので、モンスターが真後ろにくることを確認すると剣を鞘から抜き、振るう。
モンスターはそれを避け僕とトモの間をすり抜ける。そして百八十度回転して僕とトモの前で停止し、足踏みを行なっている。
「何だ? このトカゲ!」
僕は触ると感電しそうな二本足で立っているトカゲ型モンスターを指差しながら質問する。
「……俺に聞かれても分からないな……ただ、攻撃的なモンスターではなさそうだぞ」
トモは少し考えた後、怪訝な顔をして答える。
「一緒に走ろうよと誘ってるのかな?」
「どうだろうな」
僕とトモが普通の会話をしているとトカゲが首を横に振る。
「違うのか……ってお前、言葉分かるの⁉︎」
僕がトカゲにツッコミをするとトカゲは首を縦に振る。
「え? マジ? すごいな!」
トカゲは腕を組みドヤ顔をする。
少しずつ腹が立ってきたかも……。
「じゃぁ、何をやりたいの?」
僕はトカゲに質問する。トカゲは走るジェスチャーをして、必死に僕とトモに伝えようとしている。
ヒビト
「タイムトライアルか?」
トモ
「いやいや、違うでしょ。ジョギングだろ?」
僕とトモはトカゲに色んなことを言って、答えを当てようとするが全てハズレだった。
トカゲは僕を指差し、走る動作を行った後、腕相撲のジェスチャーをする。
「あっ! 分かった! 僕とレースをしたいと言うことか!」
僕が言った答えが正解だったみたいで、トカゲは喜んで飛び回る。人工知能でも入っているのかと思えるくらいの完成度だ。
「トモ! このトカゲ、早そうだから全力で行く! 背後を守ってくれ!」
「ヒビトもブレンディングを使うのか?」
「おう! やってみる!」
「ヒビトは失敗するからやめとけって!」
トモが悪戯っ子のような表情で言ってくる。
「そう言うフラグ立てるのやめて!」
僕は微笑を口角に浮かべて答えた。トモと笑い話をした後、プレンディングの実行に移る。
「フウラ! よろしくな!」
「フォッコォォ!」
僕がフルラに声をかけると、明るく弾んだ鳴き声が返ってくる。僕とフウラの準備が出来た。
「ブレンディング‼︎」
僕が大声で叫ぶとトモがブレンディングを使った時と同様に目に泌みるほどの強烈な光に包み込まれた。そしてトモと同じくらいの速度でブレンディングが完成する。
「すげぇ! 本当に力が湧いてくる!」
僕は感慨に打たれる。自分の姿を確認してみると尻尾が九本、生えており目が金色に光っている。さらに黒髪が赤髪に変わっており、トモと同様に髪が立っていた。
「よぉーっ! イケメン!」
トモが僕にチャチャを入れてくる。
「お褒めの言葉、ありがたく受け取っておくよ!」
僕は平然とした顔で答える。
「準備はいいぜ!」
僕はトカゲの方を見て、ニヤリと笑いながら言う。トカゲはその言葉を聞くとスタートをする体勢を取った。
僕の目の前には三と言うカウントが表示される。カウントは一つずつ減少し、零になった瞬間、スタートダッシュを切った。完璧なスタートである。
僕とトカゲはお互いに一歩も譲らずに走っている。体幹感覚的には時速六十キロは出ているはずだが、トカゲと差をつけることができない。
「このトカゲ! 早すぎでしょ! こっちは車と同じ速度で走ってるんだぞ!」
僕は思わず二度見をしてしまう。だがワクワクもしていた。
最大どれくらいの速度が出るのだろうか……。
灼けつくような好奇心を感じ、どんどん走る速度を上げていく。フウラは意思疎通で(もっと速度を出せるよ!)と言っていた。この状態だとフウラとフウラと普通に会話ができるようだ。なかなか新鮮な体験だ。
僕は徐々にスピードを上げていき、ついにトップスピードに達した。体幹感覚的には時速百キロくらいだと思われる。東名高速道路を走っている車と同じ速度だ。
「やばい! 凄く楽しいわ!」
僕は感慨に浸りながらゴールする。ゴールの場所はスタート地点と一緒のところだ。トカゲは数分の時を空けてゴールした。時速六十キロ以上は出なかったらしい。トカゲは消滅した。
【雷門の鍵を獲得しました‼︎ レベルが65になりました‼︎】
「ヒビトの圧勝だったな! さすが!」
「ありがとう! これ癖になるわ!」
「だろ! 俺の気持ちが分かったか?」
「十分に!」
僕はブレンディングを解き、トモと笑いながら話をする。
「鍵を手に入れたか?」
「おう!」
「よし! 準備は整ったな! ボス部屋に向かおう!」
「りょ-かい!」
僕とトモは準備が整ったことを確認するとボス部屋に歩みを進めた。
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