攻撃と確率にステ振りしていたら最強になりました

りっくり

文字の大きさ
68 / 92

第六十七話 大部屋

しおりを挟む
 僕達はある大部屋に足を踏み入れていた。中では鎧が立て掛けてあり、今にも動いてきそうだ。

「不気味な所に来ちゃいましたね……」

 アサガオが少しだけ声を震わせながら言う。きっと怖いのだろう。トモはアサガオの気持ちを感じ取ったのか、そっと手を繋いであげている。
 大部屋の探索をしていると、壁際に何らかのスイッチがある。明らかに罠だと分かっていても押したくなってしまう。それでも勝手に押すのはよくないと思うので、みんなに聞いてみることにした。

「これ押していいか?」
「絶対罠だよな! これ!」

 トモに分かり切っていたことを言われてしまう。

「多分な」
「多分って、自ら危険なところに突っ込んでいくの?」

 ツキナのごもっともな意見が返ってくる。自ら危険な橋を渡ろうとしているのだ。当たり前の意見である。

「でもさ……こう言うところにお宝とかが眠っている可能性があるんだよな……」
「ヒビトさんの言う通りだと思いますよ」

 ムサシは僕と同じく、興味があるようだ。

「このメンバーならきっと大丈夫だよ」
「分かったわ! ヒビト、押していいわよ」

 リリも賛成してくれているようなので、ツキナもトモもオッケーを出してくれた。どんな罠が発動するか分からないが、とりあえず僕はボタンを押すことにした。

「じゃあ、いくよ」

 僕はそう言うとボタンを押した。ゴゴゴという大きな音とともにさっきまで壁だったところが開いていく。僕はすぐに部屋の中に入ろうと思ったのだが、中から複数の刃物が飛んできたので、動きを止める。

「ふぅ……危なかった」

 僕は最後の息を吐き出すように呟く。扉が開いた瞬間に駆け込む人達を串刺しにする罠だったらしい。
 もう一歩早く部屋の中に入っていたらかなりのダメージを受けるところだった。連続で飛んでくるかと思ったが、それはなさそうなので慎重に部屋の中に入っていく。
 部屋に入ってみると外よりは明るくなっていた。中心にある宝箱が強力な光を発しているからだ。いかにもレアなものが入ってそうだ。

「誰が代表して開ける?」

 僕はみんなに質問する。おそらくだが、宝箱を開けた瞬間に何かしらのトラップが発動するに違いない。それを分かった上で、開ける人はいるのだろうか……。多分、僕が開けることになるだろうけど……。

「僕が開けましょうか?」

 と言ってきたのはコジロウだった。このまま、誰も開ける人が現れずに僕が開けることになると予想していたので少しだけ驚いてしまう。

「なら、頼む」

 僕がお願いをするとコジロウはゆっくりと宝箱に近づいていく。コジロウが宝箱から五メートルくらいのところに着いた時、地面が砂に変わり、宝箱の真下に穴が開いた。そして宝箱が消える。宝箱は消えたが、部屋は明るいままだ。危険そさっして逃げたのだろうか……。まぁ、そんなわけはないか……。

「ぎぁぁぁぁぁぁぁ! 蟻地獄ぅぅぅぅ!」

 全力疾走で戻ってきたコジロウは僕の背後に隠れる。また虫型のモンスターが現れた。どうやらこの地下迷宮は虫型のモンスターが良く多く現れるらしい。コジロウにとっては地獄のような時間なのだろう。
 蟻地獄が砂の中から出てくる。全長が三メートルあり、立派な牙が付いている。あれに刺されたら体力を吸収されてしまうかもしれない。

「また厄介そうなモンスターが出てきたな」
「確かに」

 トモは面倒くさそうに言う。僕もトモの言葉に賛同する。蟻地獄なので、地面に潜って攻撃して来ることが多いだろう。そのため厄介だと思ったのだ。 
 蟻地獄は出てきてすぐに地面に潜る。コジロウを追って出てきたが、逃げられてしまったのですぐに戻ったのだろうか。そうだとしたら索敵範囲が狭いということが分かる。

「倒さないでもここから出れるんですかね?」

 僕と同じ結論に至ったムサシがそんな質問をしてくる。索敵範囲が狭いということは蟻地獄を避けながら対面にある扉に行くことができ、戦わずに出られるのではと思ったのだ。

「それは無理そうだわ!」
 
 僕とムサシよりも先にそのことに気づき、蟻地獄の索敵に入らないように対角線上にある扉まで移動していたツキナが大声でこちらに知らせてくれる。どうやら戦いは避けれないようだ。
 蟻地獄に攻撃を当てるには誰か一人がおとりになり、地上に引き摺り出す必要がある。

「僕がおとり役になるから蟻地獄が外に出てきたら一斉に攻撃してくれ!」
「了解!」

 僕は作戦をみんなに伝えると、蟻地獄が潜った場所に近づいていく。
 僕が近づいてすぐに地面に現実世界みたいな蟻地獄の巣が現れる。足場が滑りやすくなっており、少しでも気を抜いたら落ちてしまいそうだ。
 僕は少しずつ上へ登っていく。分かっていたことだが、上がるだけでもかなり体力を消費する。僕が落ちてこないことが分かったのか、蟻地獄は僕を喰らおうと接近してくる。

「来い! 蟻地獄!」

 僕は足に力を入れ、思いっきりジャンプする。蟻地獄の巣から脱した僕は受け身をとりみんなの元に戻る。蟻地獄が巣から出てきた。

「今だ!」

 僕の叫び声と同時に蟻地獄が出てくるのを待っていたみんなが一斉攻撃を仕掛ける。
 トモは【天眼雷】を発動した。全ての属性が混ざった矢の雨だ。この攻撃で蟻地獄は多数の属性やられ状態になる。
 リリは二つの銃を合体させ、レーザーを発射する。
 アサガオは【起爆クナイ】を、ツキナは【ライトニングウェーブ】を、そしてムサシは二刀流のチャージスキル【鉄砲雨】を発動した。腰についている鞘に二本の刀をしまい蟻地獄に十分に接近したところで、一気に刀を抜く。

「とどめだ! 天眼焔!」

 僕は体を回転させながら剣を水平に一周させる。そして二秒後、全ての属性が混ざった大爆発が起こる。
 僕とトモが使ったスキルは極光騎士が最後の最後に使ってきたものだ。あの時は【属性無効】を持っていたので、なんとか耐えれたが、蟻地獄は【属性耐性】を持っていないようだ。そのため、【属性特攻】の効果がついた攻撃には耐えることができなかったみたいだ。
 「よっしゃあ!」、「よし!」、「やったね!」などと僕達は各々の言葉で喜び合う。そんな中で何も出来なかったコジロウはしょんぼりしていた。

「すいません……力になれなくて……」
「気にするな! 誰でも苦手なものはある!」

 僕はそっとコジロウを慰めた。みんなもコジロウを攻めることは勿論しない。苦手な物が目の前に現れたら、誰だってああなると思うからだ。
 僕達は蟻地獄を倒した時に再び出現した宝箱に向かって歩いていく。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

処理中です...