異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊

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夜の茶会

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 色んな疑問点が解決した昨日。

 もっと早くアラクネ達を喚んで聞いてみればよかったな......と思わなくもない。

 まぁ今更か。過ぎたことを気にしても仕方ないか......
 朝飯を食い終わり、ベッドの上でダラダラとしながら今日の予定について考える。


 今日は夜に予定があるから依頼とかをする気は全然起きてこない。

 ......うん。二連休にしたっていいと思うの。


 んー、でも特に今やりたいことも思い浮かばないので王都をゆっくり散策してみようかね。


 ポーション屋とギルド、宿とその隣しか行ってないもんな。


 何か良さそうなモノや、面白そうなモノが見つかるといいな。

 お姫様には昨日のお気に入りスカーフをご所望されたのでつけてあげる。オシャレさんだね。
 しっぽがぶんぶんになっていてとてもかわいらしい。

 うん。次の機会にはリボンだね。



 ◇◇◇




 なんも無かったので宿に帰ってきました......

 高級そうな服屋とか、貴金属の店とかならあったけど、俺らは興味が無かった。
ㅤ服はそんな場所の物よりも格段に高級なのを着ているし、貴金属とかはこっそりアラクネ達にあげようとしているくらいだもの。

 甘味はカステラっぽいのが人気だった。金平糖っぽいものがすげー高かった......アハハッ



 なんにも収穫はなかったけど、お嬢様とのお散歩デートは最高だったというのは語るまでもないでしょう。


 夕飯を軽く食べてから、約束の時間までだらけた。

 今日はお礼の意味も含めてるから、新しいおやつを召喚する。


 そう、もみじ饅頭とシベリアだ。


 どっちもあればあるだけ食べてしまう魔性のおやつだ......自制心なんてなくなってしまう。

 そして残るのは激しい後悔と包装紙だけ。いつの間にか全て無くなるという不思議な現象が起きてしまう。


 それらは単純に俺も食べたい。思い出したらもうダメだったので召喚した。



 時間になったので喚び出す。アラクネさんたちこんばんは。



「こんばんわー。そういえば王女さんは呼んでもいいのかな?」


「夜分に失礼します。姫様は大丈夫ですよ。
 昨日のお話しをしましたら、とても悔しがっておられましたので。招待されるのを心待ちにしておられますよ」


「なるほど。じゃあ早速呼んでしまおう。はい、いらっしゃいませー」


「こ、こんばんは。お招き頂きありがとうございます」


「まぁ座って座って。お茶しながら話そう」


「は、はい!失礼します」


 めっちゃ緊張してる王女さんとは対照的に、お茶請けに視線が固定されてるメイド達。
 夕飯食べてきてないの?......まぁ食べてもらってから話すればいいか。

 あれ?手を伸ばさないな......あっ!


「やべっ、フォークとか用意した方がよかったね、俺は普段は手掴みだったから」


 急いでフォークを召喚。貴族とか王族は銀製のがいいんだよな確か。
 王女さんを差し置いて、先にメイドが食い始めるのは無理だよな。


「ではこれ使って食べてね。緑茶もどうぞ」


 使い慣れなそうだから湯呑みはやめておいて、ティーカップで緑茶を出す。


 そこからはまぁ、すごい勢いで食べ始めた。それでも優雅さを残しているのはさすが王族とそのお付きだ。

 メイドさんは昨日大福を手掴みで食べてたけど、王族はダメだよな。


 俺も食べよ。まずはもみじ饅頭から。


 あぁいいわ......この甘めのカステラ生地。それにしっとり感がありつつも、少し粉っぽさのあるこし餡。
 それが口の中で合わさり、なんとも言えない不思議な口触りになる。ただ甘ったるい!とは感じない上品さがあり、絶妙なバランスの上に成り立っている......素晴らしい。

 食べた後の口に感じる多少の水分不足感と残った甘さを緑茶が流してくれる。
 さすがだ。一パックぐらい余裕で食えてしまう。


 次にシベリアを。

 しっとり感のあるカステラで固めの羊羹を挟んだ物なのだが......まぁこれが美味い。
 これもバクバク食えてしまう。挟んであるのが羊羹ではなく、餡子だったらこれ程美味しく感じないだろう。

 ふわふわの中にある羊羹の噛みごたえとしっかりした甘み、カステラに水分が取られるが、そこは緑茶でカバーすれば問題ないのだ。



 ふぅ。

 やはり甘い物は素晴らしい。餡子系以外の和菓子も食えと思うだろうが、餡子が好きなのだ。仕方ない。


 一通り食べて全員満足そうにしている。いい事だ。あ、おかわり?あるよ。




 さて、落ち着いたところでブーツと靴を受け取る。
 汚泥除去、消臭、温度調整、劣化防止が付与されている。

 ブーツは安全靴になっており、爪先がグチャッとする事はないだろう。
 革靴はカジュアルにもフォーマルにも対応出来る仕上がり。

 どちらも艶消しがされており、派手さは無く蛇革とすぐにわかるということは無い落ち着いた仕上がりになっている。


 うん。とても助かる。
 こういうところは流石なアラクネさんです。

 昨日貰ったスーツやコートにも合うように作ったそうだ。

 靴下やタオルもそれはそれは素晴らしい出来だった。

 肌触りがとにかく素晴らしいのだ......いつまでも触っていられる。

 ブランケット?極上だった。それしか言えねぇ。

 これは人をダメにする......ずっとくるまってゴロゴロしていられる。

 ......そう、ずっとしていられるんだよ。
 まずいよ、部屋から出られなくなる。

 メイドインアラクネ恐ろしい。
 お姫様は既にブランケットの虜になっている......
 悔しい......でも気持ちはわかるぞ......


 王女さんは昨日の写真が羨ましいらしく、わたしにもお願いします!とすごい勢いでお願いされたので、帰る間際に撮るよ。と伝えたら満足気に頷いた。


 ヒートアップしたのが落ち着いてきたので、聞きたかった事を聞こう。

 忘れないうちに魔法について聞いた。


 基本属性に火、水、地、風
 特殊属性に光、闇、氷、雷
 特異属性に時、空、崩、星

 この12属性に分けられるらしい。
 ウチの子は特殊2種と基本1種で超有能さん。

 教国とその関係者の間でのみ忌み嫌われてるらしいけど、闇魔法は別に問題無いとの事。

 特異属性のみ注意しなきゃな......
 特殊属性でもエグい技を作れるから。


 アラクネさん達は地属性だってさ。地属性って優秀なイメージ。土属性とは言わないらしいけど大まかには前の予想は合っていた。


 アラクネさん達の領土は地属性で造られた外壁と迷路のような建物に、目視出来ない細さの糸による侵入者探知と糸の罠で鉄壁の守りらしい。


 アラクネの国近辺の大まかな地図と、紹介状を渡されたので行ける時に行こうと思う。楽しみができたぞ。

 内ポケットの紋章だけだと、それが本物かしつこく確認されたりして不快に思わせる可能性があるかもしれないから......という理由で紹介状を渡された。


 次に甘味事情を聞いたんだけど、聞いたところ全く期待が持てなかった......

 蜂蜜や果物からの甘みに頼りきりで、砂糖はゴリゴリの高級品らしい。
 悲しそうな顔をした王女さんにそう告げられた。

 そりゃドハマりするよね羊羹に。カステラや金平糖的なものでもウハウハになるか。


 砂糖の作り方でも......と思ったが、砂糖の作り方がわからなかったわ。どんな気候が適してるのかなども。

 俺は教えてあげれないけどおやつは分けてあげるからね。
 砂糖も卸してあげられなくもないけど......それはめんどくさいので。


 聞きたい事も聞けた。あの子達も満足してるみたいなのでよかったと思える。


 あんこにエンジェルフォルムになってもらい、王女さんと天使の写真を撮ってあげる。


 全員の顔がデレッデレになっていたのは言うまでもないだろう。
 そしていつの日か、異世界に真の天使が降臨する日が確実に来ると確信した。


 そろそろいい時間なので、お土産の羊羹達を収納の付いた袋に詰め込んでいく。
 どうせ恐縮して受け取らないので書き置きと共に宝石類もぶち込む。

 劇物と甘いものだけで、この最高級の衣類を貰うのは俺の心によろしくない。
 ついでに計画の為の資金にも充ててほしい。


 お礼を言って送還した。月一程度には喚んでくださいと言われたので前向きに検討する方向で......と濁しておいた。
 喚ぶのが義務になってしまうのは疲れるから、まだまだ都合のいい関係という事でお願いします。


 これで旅装も完備できたし、これからは外の移動時も快適に過ごせる。

 次に会った時は撥水性について聞いて、撥水性を付与出来るならタープとか天幕みたいのを頼むのもいいかもしれない。

 それまでは何かで代用しよう。

 メイドインアラクネのグッズはセンスもいいし、使い心地も抜群だからもう手放せない。
 普段使いする物、生活用品は全てアラクネ産で統一したくなってしまった。


 そんな事を考えていたが、頼みすぎるのもよくないので気が向いた時にちょっとずつお願いしていこう。

 さぁて風呂入って寝るとしましょう。


 甘いのをいっぱい食べたから、なんか久々にジャンクな物を食べたくなってきてしまった。

 はぁ......

 出来たてが出てくるようになればいいのに......と願わずにはいられない。

 出来たてが恋しいっす......
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