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謎空間3
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狙い通りに好みをぶち当てる快挙を成し遂げて、ちょっとテンションがブチ上がってしまったみたいだ。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ピノちゃんの作った冷水が全然温くならなかったのもあるけど、調子に乗って作りすぎてしまった感が否めない。
一年間三食+間食で食べても食いきれないくらいの量を、いつの間にか作ってしまっていた。ひたすら練って捏ねて丸めて茹でて締めて......ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
その繰り返しだった。正気に戻った時には時刻は十五時を過ぎていた。
未だに泉から上がってこないお嬢様は、何をしているんだろう。マジで。
スキンシップが出来なくて寂しいから、早く戻ってきて欲しい......
割りとマジのガチで切実に......
しょうがないからアラクネさんたちを喚ぼう。知り合いにこのどうしようもない寂しさを誤魔化してもらおうと思います。
誰かに近くに居て欲しい気持ちになるとか、今までの俺なら有り得ない感情だ。
この場所が関係しているのか、俺の中で何か気持ちに変化があったのか。
考えたところでさっぱりわからん。もういいや。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
いつものメイドさんを喚んでみる。どうもーお久しぶりでございます。
「久しぶりー!いつも唐突でごめんね。今大丈夫だった?」
「お久しぶりでございます。今日は予定も無いので大丈夫ですよ。
......あ、あの、ここは何処なのでしょうか?」
よし!暇なのなら、この後もお付き合い願おうじゃないか!
ここの名前?ハハッ!知らねぇ。
「ごめん、全然わからない。ピノちゃんが気になるから行こうって言い出したから付き合って入ったんだけど......
この場所に着いた途端にあんこがあの泉に浸かっちゃって......それで昨日から状態のまま。さすがに訳がわからないから、もしかしたら知ってるかなーと思って喚んでみたって訳です」
本音は語らない。恥ずかしいもん。
「その情報だけですと......ちょっとわかりませんね。他に情報はございますか?」
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
長くなりそうなので、王女さんともう一人のメイドさんも喚んでお茶しながらにする事に。
ピノちゃんと俺の合作の白玉を使って、簡単楽チン白玉おしるこを振る舞う。
水でこしあんを溶かして、塩と砂糖で味を調整。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
最後に白玉を入れて完成。めっちゃ楽。
さぁどうぞ。召し上がれ!
疑う事も無く、出された物に手を伸ばすアラクネさんたち。
信用されているのはわかるけど、もうちょっと警戒しようね。王族なんだから。
話は......今はできなそうだから、俺も食べようかな。
味的には、自販機で売っているお汁粉缶みたいな味だけど、普通に美味しい。
白玉がいいアクセントになっている。
あーはい。おかわりは自由ですよー。
白いの多めですねーかしこまりー。
白玉って言うんだよコレ。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
皆さん仲良く三杯食べ終わって、ようやく話ができそうになった。
お土産に白玉を要求されたので、帰りに渡そうと思う。遠慮が無くなってきたのは良い傾向だ。
欲しいものをしっかり要求してくれるのなら、こちらからも色々と頼みやすい。
道中で撮った写真を見せながら、ここで起きた事をなるべく詳細に説明していった。
「まぁこんな訳なんだけど、わかる事ないかな?」ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
「人が普通には見つける事の出来ない場所である事、強力で巧妙な隠蔽が施されている事、あんこ様とピノ様にだけ解る何かがある事......」ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
おっと、溜めますね。
神妙な面持ちで、次に言う言葉を選んでる雰囲気。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
「多分ですけど、人の間で聖域とか神域と呼ばれるような場所ではないかと思われます」
......そっかぁ、なるほどねー。
と、とりあえず、これは聞いておかないと。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
「えーっと、そうだとすると普通は侵入しちゃダメな場所だよね?バチが当たるとかあるかな?」
「......多分無いと思いますよ。普通の人にはまず見つけられませんし、何かしらの災いが降りかかったとも聞いた事ありません」
よかったぁぁぁ!!
俺に何かあれば、この子たちにも被害が及んでしまうところだったからね。
「......中で何かあった人は、帰って来れませんよね」ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ちょっとぉぉぉぉ!
安心させておいてそれはないよ......確かにそうだろうけどさぁ。
「怖いこと言わないでください。
まぁそれはいいか。そんな場所だったとしたら、呼ばれたとか言ってアソコでプカプカしてるあんこは無事だと思う?」
「何かしらの意図があっての事だと思いますから、大丈夫かと」
「今はそれを信じるよ。それで、聖域とか神域とかについて知ってる事ある?
何があるかわからないから詳しく知っておきたいんだけど」
「そういった伝承は全然残っていませんので、詳しくはわかっていないのです。
何かしら特別な力を入手した......と伝わっているくらいですね。悪い事があったとは伝わっておりません」
こんな場所を見つける方が難しいだろうし、入れても選別されて弾かれたヤツ以外は何かしら特殊能力ゲット。
そんな感じか。弾かれなくてよかった。
「って事は、一種のボーナスステージみたいなものか。ありがとう、助かったよ」
「いえ、力になれずに申し訳ありません」
これで聞きたい事はもう聞いたかな?なんかあった気がするけど思い出せない。
......思い出せないって事はそんなに重要じゃないと思う。うん。
ずっと喋っていたメイドさんお疲れ様。
会話中は、王女さんとうるさいメイドさんはずっと空気に徹していた。
「王女さんと、そっちのメイドさんは何かない?」ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
「「ないです」」
息ピッタリ。リアルにこの現象に遭遇したのは初めてで、ちょっと嬉しい。
「知らないなら仕方ないか。
そういえば前に呼んでからどれくらい経ったか覚えてないけど、羊羹のストックは大丈夫?」
「まだ残りはありますけど、消費が早いので......出来れば頂きたいです」
ブームはまだ終わらないらしい。
白玉と羊羹を大量に渡す。
前回お土産に渡してから、収納袋を携帯しているらしくその場でどんどん収納していく王女さん。
メイドさんに聞けば、虎視眈々とあの袋を狙う輩もいるようで、王女さんが管理しているんだって。
内乱とか起こさないでね。国が分裂する危機に陥った原因が甘味......それも羊羹でって笑えないから。
ケチケチしすぎないように。
収納し終わった王女さんたちと他愛のない話をしていたけど、そろそろ帰らなくてはいけない時間になってしまった。
......また一人で時間を潰さなくてはならない。こればっかりはどうしようもないので送り返す。
今度は全員揃っている時にお願いします......そんな事を言われたけど、お前ら静かだったのはうちの子たちと絡めないからだったりしないよな?
最後の最後にモヤモヤさせること言いやがって。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
再び一人になった俺は、しばらくボーッとしていた。
それでもお嬢様は動かないし、ピノちゃんも起きてこない。
お嬢様用のビーフジャーキーを新しいものに交換してから寝袋に入る。
寂しさを耐えるよりも、早く寝てしまった方がいい。
ピノちゃんが起きた時用にも煮卵を用意し、寝袋に入る。
起きた時にお嬢様が傍に居てくれる事を祈って、眠りについた。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
◇◇◇ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
目が覚める。
胸に重みを感じて、まさかと思い目を向ける。
すると、なんと!胸の上で寝ているあんこがいるではないか!!
やったぁぁぁぁ!!
ソーーッとファスナーを開けて、自由に動くようになった両腕で抱きしめる。
あぁぁぁ......
このモフみ......温もり......
足りなかったモノが一気に充たされていくぅぅぅ!
これからこんな事が起こりそうな時は、事前に説明してからにして欲しい。
告知アリとナシでは全然心持ちが違うから。
お嬢様が起きるまでの間、ずっともふもふしていた。モフみが足りないんです。
起きてきたピノちゃんも混じってきて最高の朝だった。もう何処にも行くな!
朝ごはんを皆で食べ終わって、ここに来てから何があったのかを詳しく聞こうと思い、お嬢様の方に目を向ける。
ん?なんか様子が変だ......
なんか苦しそうにしている。どうしちゃったの!?
オロオロしていたら、絶望的な光景が目に飛び込んできてしまった。
お嬢様がパシャッと水音を残して俺の目の前で消えてしまう......
「......は?」
呆然とする俺と、水溜まりがその場に残った。
ピノちゃんの作った冷水が全然温くならなかったのもあるけど、調子に乗って作りすぎてしまった感が否めない。
一年間三食+間食で食べても食いきれないくらいの量を、いつの間にか作ってしまっていた。ひたすら練って捏ねて丸めて茹でて締めて......ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
その繰り返しだった。正気に戻った時には時刻は十五時を過ぎていた。
未だに泉から上がってこないお嬢様は、何をしているんだろう。マジで。
スキンシップが出来なくて寂しいから、早く戻ってきて欲しい......
割りとマジのガチで切実に......
しょうがないからアラクネさんたちを喚ぼう。知り合いにこのどうしようもない寂しさを誤魔化してもらおうと思います。
誰かに近くに居て欲しい気持ちになるとか、今までの俺なら有り得ない感情だ。
この場所が関係しているのか、俺の中で何か気持ちに変化があったのか。
考えたところでさっぱりわからん。もういいや。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
いつものメイドさんを喚んでみる。どうもーお久しぶりでございます。
「久しぶりー!いつも唐突でごめんね。今大丈夫だった?」
「お久しぶりでございます。今日は予定も無いので大丈夫ですよ。
......あ、あの、ここは何処なのでしょうか?」
よし!暇なのなら、この後もお付き合い願おうじゃないか!
ここの名前?ハハッ!知らねぇ。
「ごめん、全然わからない。ピノちゃんが気になるから行こうって言い出したから付き合って入ったんだけど......
この場所に着いた途端にあんこがあの泉に浸かっちゃって......それで昨日から状態のまま。さすがに訳がわからないから、もしかしたら知ってるかなーと思って喚んでみたって訳です」
本音は語らない。恥ずかしいもん。
「その情報だけですと......ちょっとわかりませんね。他に情報はございますか?」
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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長くなりそうなので、王女さんともう一人のメイドさんも喚んでお茶しながらにする事に。
ピノちゃんと俺の合作の白玉を使って、簡単楽チン白玉おしるこを振る舞う。
水でこしあんを溶かして、塩と砂糖で味を調整。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
最後に白玉を入れて完成。めっちゃ楽。
さぁどうぞ。召し上がれ!
疑う事も無く、出された物に手を伸ばすアラクネさんたち。
信用されているのはわかるけど、もうちょっと警戒しようね。王族なんだから。
話は......今はできなそうだから、俺も食べようかな。
味的には、自販機で売っているお汁粉缶みたいな味だけど、普通に美味しい。
白玉がいいアクセントになっている。
あーはい。おかわりは自由ですよー。
白いの多めですねーかしこまりー。
白玉って言うんだよコレ。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
皆さん仲良く三杯食べ終わって、ようやく話ができそうになった。
お土産に白玉を要求されたので、帰りに渡そうと思う。遠慮が無くなってきたのは良い傾向だ。
欲しいものをしっかり要求してくれるのなら、こちらからも色々と頼みやすい。
道中で撮った写真を見せながら、ここで起きた事をなるべく詳細に説明していった。
「まぁこんな訳なんだけど、わかる事ないかな?」ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
「人が普通には見つける事の出来ない場所である事、強力で巧妙な隠蔽が施されている事、あんこ様とピノ様にだけ解る何かがある事......」ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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おっと、溜めますね。
神妙な面持ちで、次に言う言葉を選んでる雰囲気。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
「多分ですけど、人の間で聖域とか神域と呼ばれるような場所ではないかと思われます」
......そっかぁ、なるほどねー。
と、とりあえず、これは聞いておかないと。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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「えーっと、そうだとすると普通は侵入しちゃダメな場所だよね?バチが当たるとかあるかな?」
「......多分無いと思いますよ。普通の人にはまず見つけられませんし、何かしらの災いが降りかかったとも聞いた事ありません」
よかったぁぁぁ!!
俺に何かあれば、この子たちにも被害が及んでしまうところだったからね。
「......中で何かあった人は、帰って来れませんよね」ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ちょっとぉぉぉぉ!
安心させておいてそれはないよ......確かにそうだろうけどさぁ。
「怖いこと言わないでください。
まぁそれはいいか。そんな場所だったとしたら、呼ばれたとか言ってアソコでプカプカしてるあんこは無事だと思う?」
「何かしらの意図があっての事だと思いますから、大丈夫かと」
「今はそれを信じるよ。それで、聖域とか神域とかについて知ってる事ある?
何があるかわからないから詳しく知っておきたいんだけど」
「そういった伝承は全然残っていませんので、詳しくはわかっていないのです。
何かしら特別な力を入手した......と伝わっているくらいですね。悪い事があったとは伝わっておりません」
こんな場所を見つける方が難しいだろうし、入れても選別されて弾かれたヤツ以外は何かしら特殊能力ゲット。
そんな感じか。弾かれなくてよかった。
「って事は、一種のボーナスステージみたいなものか。ありがとう、助かったよ」
「いえ、力になれずに申し訳ありません」
これで聞きたい事はもう聞いたかな?なんかあった気がするけど思い出せない。
......思い出せないって事はそんなに重要じゃないと思う。うん。
ずっと喋っていたメイドさんお疲れ様。
会話中は、王女さんとうるさいメイドさんはずっと空気に徹していた。
「王女さんと、そっちのメイドさんは何かない?」ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
「「ないです」」
息ピッタリ。リアルにこの現象に遭遇したのは初めてで、ちょっと嬉しい。
「知らないなら仕方ないか。
そういえば前に呼んでからどれくらい経ったか覚えてないけど、羊羹のストックは大丈夫?」
「まだ残りはありますけど、消費が早いので......出来れば頂きたいです」
ブームはまだ終わらないらしい。
白玉と羊羹を大量に渡す。
前回お土産に渡してから、収納袋を携帯しているらしくその場でどんどん収納していく王女さん。
メイドさんに聞けば、虎視眈々とあの袋を狙う輩もいるようで、王女さんが管理しているんだって。
内乱とか起こさないでね。国が分裂する危機に陥った原因が甘味......それも羊羹でって笑えないから。
ケチケチしすぎないように。
収納し終わった王女さんたちと他愛のない話をしていたけど、そろそろ帰らなくてはいけない時間になってしまった。
......また一人で時間を潰さなくてはならない。こればっかりはどうしようもないので送り返す。
今度は全員揃っている時にお願いします......そんな事を言われたけど、お前ら静かだったのはうちの子たちと絡めないからだったりしないよな?
最後の最後にモヤモヤさせること言いやがって。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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再び一人になった俺は、しばらくボーッとしていた。
それでもお嬢様は動かないし、ピノちゃんも起きてこない。
お嬢様用のビーフジャーキーを新しいものに交換してから寝袋に入る。
寂しさを耐えるよりも、早く寝てしまった方がいい。
ピノちゃんが起きた時用にも煮卵を用意し、寝袋に入る。
起きた時にお嬢様が傍に居てくれる事を祈って、眠りについた。
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目が覚める。
胸に重みを感じて、まさかと思い目を向ける。
すると、なんと!胸の上で寝ているあんこがいるではないか!!
やったぁぁぁぁ!!
ソーーッとファスナーを開けて、自由に動くようになった両腕で抱きしめる。
あぁぁぁ......
このモフみ......温もり......
足りなかったモノが一気に充たされていくぅぅぅ!
これからこんな事が起こりそうな時は、事前に説明してからにして欲しい。
告知アリとナシでは全然心持ちが違うから。
お嬢様が起きるまでの間、ずっともふもふしていた。モフみが足りないんです。
起きてきたピノちゃんも混じってきて最高の朝だった。もう何処にも行くな!
朝ごはんを皆で食べ終わって、ここに来てから何があったのかを詳しく聞こうと思い、お嬢様の方に目を向ける。
ん?なんか様子が変だ......
なんか苦しそうにしている。どうしちゃったの!?
オロオロしていたら、絶望的な光景が目に飛び込んできてしまった。
お嬢様がパシャッと水音を残して俺の目の前で消えてしまう......
「......は?」
呆然とする俺と、水溜まりがその場に残った。
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