ぎゅっ。

桜花(sakura)

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 こどもたちの困っていること。大事なモノ。

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今回、この会を開催するのにあたって。

  『私たち病院スタッフは、 自分たちの言葉で、意見や感想を言えるように 、見守るスタンスでいますね』  

 そう言った、◎◎病院の小林《こばやし》院長。  

「隼士《しゅんじ》くん、 聞いてもいいかな? さっきの"キーン" って。音。補聴器をつけていると、たまに、なってしまうのかな?」 

 「うん。キライな音がするとね、大きくきこえるの」  

「嫌い……苦手な音? 虫のブーンって音とか……かな?」  


「黒板の"ギー"って音もキライ……」  


「嫌いな音が、大きく聞こえるなんて……イヤだね」 

 「うん。たくまくんは?」  


 拓眞を初め、誰かしら。苦手であったり、嫌いな音はあって。それがかえって強調されて聞こえたりするのは…… 

 「俺も、虫のブーンは嫌いだな。一緒だね。隼士くん」   


「 でもね。ボクをを助けてくれる、だいじなのボクの耳なんだよ」   

  一瞬、心がぎゆっ。ってなりそうになった、拓眞だったけど。

   
 誇らしげに。そう、隼士くんが笑って。  


 「そうなんだね。未來《みく》ちゃんは、困っていることとか、大事なモノはありますか?」  

「みくね。たすけてマークと、マホウのつえもってるよ」   

「魔法の杖は、未來ちゃんを助けてくれる大切なモノなんだね」 

  目がほとんど見えないという未來ちゃんは、白杖はくじょうを見せてくれて。

    

 -ガラリ-   

その時、体調が戻ったのか。が マミが、あそびの へや へ戻って来て。

   
  甘えるように、ナミの右腕に左腕を、ぎゅっ。て、絡ませているマミは、安心した表情と分かる。透明マスクごしに微笑んでいて。

   拓眞は。ホっとして。   良かった。というように頷いて見せると。マミも頷き返してくれて。    

   部屋の後ろの方に、 一緒に戻ってきた愛朱実と共に、3人が椅子に座るのを見届けると。

    「みちにある、きいろいご本知ってる?」 

  そう質問した未來ちゃん。

  「この、点字ブロックかな?」  

 拓眞が聞くと。   

 用意していた、黄色い点字ブロックの写真を補助してくれていた、朔弥が、プロジェクターに写し出してくれて……  




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