βの俺がお前の番なわけがない!

オトバタケ

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 やはり、αの血には逆らえないのか……。
 屈辱に顔を歪めながらも、本能のままに番を貪る。

「……っ……」

 運命の番とのまぐわいは、無条件で蕩けてしまうと聞いていたが、俺の下で愛撫を受けている番は、快感に支配されないように必死で抵抗しているようだ。
 あれほど印の香りを放っておいて、自分はβだとのたまっていた奴だ。俺と同じで、血に操られることを嫌っているのだろうか。

 香りを嗅いだ瞬間、番のものだと確信した。
 血の決めた運命の番などには翻弄されず、自らの意思で進む道を決めていけると信じていた。
 だが、番の香りを嗅いだ瞬間、体は媚薬を飲まされたかのように甘く痺れて、番を己のものにしたくなってしまった。
 更に、強烈な独占欲が沸き上がってきて、番を誰の目にも触れさせたくないなどと、醜いことを思ってしまった。

「くっ……あぁっ……」

 熟れたさんらんぼのように膨らんだ乳首を甘噛みすると、耐えきれないとばかりに番の口から嬌声が漏れた。
 まるで鼓膜が犯されているかのように、耳から全身に向かって甘い痺れが走る。
 認めたくないのに、今まで感じたことのない幸福感と快感で、硬くなった股間は痛いくらいに反り返ってしまっている。

 欲しい。欲しくて堪らない……。
 一刻も早く繋がりたくて触れた番の蕾は、ジュクジュクに蕩けていて、俺を受け入れる準備が整っていた。
 それを知り覚えた感情は、軽蔑ではなく喜びだった。
 番に求められていると分かり、幸福を感じてしまった事実が悔しくて、唇を噛みしめる。

「やめっ……くっ……」

 まだ引き返せる、そう考える力はあるのに、本能が体を動かしてきて、蕾にジュブッと指を挿し込むと、番は抵抗するように頭を左右に振った。
 だが、中は歓喜するように俺の指に絡みついてくる。

「あっ……あぁっ……」

 指を抜き挿しするリズムにあわせて、番の股間から蜜が溢れだす。
 ペロリと舌先で絡めとってみたソレは極上の甘さで、本能に抵抗している理性を溶かしてきた。

「んっ?……うあぁぁっ……」

 期待に震えている己を番の蕾にあてがい、一気に最奥まで突いた。
 背中を反らして悲鳴をあげた番だが、次の瞬間、その顔は快感で上気していた。
 所詮Ωのコイツは、番のαのモノには逆らえないのだ。

「やっ……んぁ……あぁぁ……」

 俺の下で悦ぶ番を見下みくだしているつもりが、番の嬌声に煽られて、本能のままに打ち付けてしまっている。
 悔しくて顔は歪むのに、腰の動きは止められない。

「だめっ……だっ……あぁぁぁっ」

 ビクリと体を痙攣させた番が、股間から大量の白液を吐き出した。達したことで、俺を包んでいる襞の絡む力が増し、我慢できずに俺も放ってしまった。
 出し終えた己を番の中から抜くと、涙の膜が張った瞳でぼんやり俺を見上げていた番が、満足気に微笑んだ。
 その顔を見て、胸がキュンと甘く締め付けられた。
 甘酸っぱい、と表現するしかない気持ちで胸がいっぱいになっている自分が憎らしい。

 コイツさえ現れなければ、俺の中にある穢れた本能を知ることはなかったのに……。
 憎悪の対象である運命の番を睨み付けると、熱に侵されたように熱い吐息を吐き出していた。
 室内は、運命の番同士が求め合う甘い香りで充満している。
 甘い香りに酩酊している番を見下ろす俺も、クラクラしてきてしまう。
 血に流されるな、と何度も唱えながら、番を抱き続けてしまった。
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