先生、教えて。

オトバタケ

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 ハッと目を覚ますと、真っ暗な空間が広がっていた。
 暫くして目が闇に慣れてくると、光沢のある布が見えた。
 ドクンドクンと煩い自分の鼓動しか聞こえなかった耳が頭上からの寝息も捉え、やっと脳がここは国重邸の寝室で、今は直人の腕の中にいるのだと理解した。

 状況が分かってほっとするが、混乱していた頭が落ち着くと脳裏に浮かび上がってきたのは、あの男との幸せな情事だ。
 あの男に逢いたいという願望が、あんな夢を見せてしまったのだろう。
 夢の続きを求めるように後ろは疼き、前は放出を願って勃ち上がっている。
 ただでさえ鎮めるのが大変な状態まで熱くなっているのに、あの男にそっくりな直人の腕の中にいては一生この状態が続きそうだ。
 朝までに先生の俺に戻るために、この熱を散らして雄の俺を吐き出してしまおう。

 直人を起こさないようにゆっくり体を離していき、そっとベッドを降りる。
 枕元の時計で時間を確認すると、一時を過ぎたところだった。
 この時間ならば、直人が目覚める心配はないだろう。
 歩く振動さえ快感に繋がってしまうような体で、鞄の奥から玩具とローションを取りだして浴室に向かう。

 引き裂くように服を脱ぎ捨てて、浴室に転がり込む。
 触れてもいないのに硬く勃ちあがった中心からは、体液がトロトロと止めどなく溢れている。
 つうっとローションを垂らした後ろに指を入れて確認すると、入浴時に解したままの柔らかさを保っていたので、軽く広げて玩具を挿し込んでいく。

 無機質なソレが熱を持ち、夢の中の男のモノと重なっていく。
 夢の中で男にされたように、全身に手を這わせてみる。
 目を瞑って男の姿を思い浮かべると、自分の手が男の骨張った大きな掌に変わり、腰が砕けるような快感が走った。
 浴槽に手をついて崩れ落ちそうな体を支え、男を少しでも長く感じていたくて、敢えて玩具を快楽のポイントからずらして電源を入れる。
 右手を全身に這わせながら、夢の中の男に合わせて腰を振る。
 緩やかに広がっていく快感で、体はドロドロに溶けていく。

『君は綺麗だ』

 男の甘いバリトンが脳内に響く。
 本当に? 獣みたいに腰を振っているのに?

『君は穢れてなどいない。君は綺麗なんだ』

 お前がそう言ってくれると、綺麗になれそうな気がする。
 お前を想像しただけで自己処理もこんなに気持ちよくなるのなら、抱かれたらどれほど気持ちよくて幸せな気分になれるんだろうな。

「先生、どうしたの?」

 強まる快感でぼうっとしていた俺の耳に、また男のバリトンが届いた。
 だが、甘さを含まない心配そうな声だ。
 それに、やけに口調も幼いし、先生なんて呼んでくるし。
 先生の俺が、雄の俺を窘めに現れたのだろうか?

 腰を振りながら声のした方に振り返ると、快感で浮かんだ涙でぼやける視線の先には、直人が立っていた。
 黒いパジャマ姿の直人を見た途端、ぼうっとしていた脳が晴れて、直人が起きてしまったのだと理解した。
 全裸で後ろに玩具を咥えさせて自己処理をしているところを見られ、パニックに陥って固まってしまった俺の、それでも放出を願って勃ち上がり続けている中心を直人が心配そうに見ている。

「先生のおチンコはれてるよ? お怪我しちゃったの?」

 声も出せず尚も固まっていると、浴室に入ってきた直人が俺の前に踞った。
 そして、あろうことか俺のモノに舌を這わせ始めたではないか。

「ナオ……」
「お怪我をすると、お母さまがなめてくれるの」

 なんとか出せた掠れた声に気付いた直人が顔を上げ、ニコリと笑ってそう言うと、またブツを舐め始めた。
 性的なことを何も知らない無垢な直人に、こんなことをさせてはいけない。
 それなのに、股間で揺れる鳶色の髪が夢の中の男に重なり、体中に甘い痺れが走ってしまい、後ろは動き続ける玩具を締め付けてしまう。
 そして元々放出が近かったソレは、遂に我慢の限界を迎えてしまった。

「あれ、先生のおしっこは白いの?」

 直人に掛けるのだけは避けたくて、咄嗟に体を回転させて浴槽に放ったモノを見て、直人が不思議そうに聞いてくる。
 何と答えていいのか分からず、浴槽の縁に手を乗せたまま俯いてしまうと、後ろに挿し込んだままの玩具をズボッと引き抜かれた。

「先生のおしり、どうしておチンコが入ってるの?」

 直人に後ろを弄んでいたことがバレてしまい、再びパニックに陥り言葉をなくす。
 俺の答えを待っているのか、直人も黙り込んでしまう。
 玩具のモーター音だけが、浴室内に響いている。

「先生、ぼくのおチンコ、なんかジンジンする」

 ガバッと俺の背中に覆い被さってきた直人が、耳元で熱い吐息を吐き、尻に硬くなったモノを押し当ててきた。
 性的な興奮をしないはずの直人を欲情させてしまった……。
 あれだけ護りたいと思っていた無垢な魂を、己の穢れた血で汚してしまったことに絶望する。

「ぼくも、先生のおしりにおチンコいれたい」

 雄の本能なのか、俺の穢れた血に触れたせいなのか、快感を求めたいと訴えてくる直人。
 それだけは、絶対に阻止しなければならない。
 体を捩って直人の腕の中から逃げようと藻掻くが、直人はもの凄い力で俺を押さえ付けてくる。

「っ!」

 そんな攻防を繰り広げていると、突然直人の立派モノが後ろに挿ってきてしまった。
 グイグイとソコを広げて侵入してくる太いソレは、力に任せて滅茶苦茶に進むわけではなく、痛みを与えない絶妙な力加減で進んでくる。
 直人のモノが擦れると、甘い痺れが広がり快感が生まれていく。

 多くの男と関係を持ってきたが、こんなに上手い奴は滅多にいなかった。
 どうして性的なことを知らなかった直人が、こんなに手練れているのだ?

「先生! 先生!」

 全てを収めきった直人が、俺の名を囁きながら腰を振り始めた。
 ひっきりなしに走る快感で、何も考えられなくなってくる。
 直人の動きに合わせて腰を振り、放出を願う前を扱いていく。
 俺の右手の動きに気付いた直人が、俺の手の上に大きな手を重ねて一緒に扱き始めた。

「先生! 先生!」

 俺を呼ぶ直人の声に余裕がなくなってきた。
 そして、最後の追い込みとばかりに激しく突いてきた。
 俺を扱く手のスピードも上がった。

「あぁぁっ!」

 我慢できずに放ってしまうと、締め付けてしまった直人のモノが爆ぜたのを体の奥底で感じた。
 あぁ、俺は墜ちるところまで墜ちてしまった……。
 熱を放って冷静さを取り戻した頭が、重罪を犯してしまったことを理解し、力が抜けた体はガクッと床に崩れ落ちる。

「先生っ!」

 遠くの方で焦る直人の声が聞こえたのを最後に、俺の意識は途切れた。
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