32 / 66
9
しおりを挟む
「久しぶりだな」
甘い香りと温もりに包まれ、大きな手で髪を梳かるのが気持ちよくてうつらうつらしていると、頭上から懐かしい声が届いた。
パッと顔を上げると、ずっと求め続けていた男の顔があった。
「待たせすぎなんだよ。ヒーロー様は絶体絶命って時にならないと現れないってか?」
やっと再会できて涙が出そうなほど嬉しいのに、大人の余裕に満ち溢れている男にガキだと思われるのが癪で、見下すように笑いながら厚い胸板を拳で叩く。
「俺はヒーローなんかではない。君がヒーローだ」
「は? 意味分かんねぇこと言うなよ。それより、約束叶えてくれよ」
「あぁ。頑張ったな」
男の骨張った大きな掌が、労ってくれるように頬を包んでくる。
そして、整った顔がゆっくり近付いてくる。
髪と同じ鳶色の瞳に映る幸せそうな自分姿が目に入って、恥ずかしくなって瞼を閉じると、砂糖菓子のように甘くて柔らかいものが唇に触れた。
角度を変えて何度も何度もそれを重ね合わせて、少し息苦しくなって開いてしまった唇の間から、熱い塊が侵入してきた。
この熱く湿り気を帯び、ざらついた感触は、何人もの男が俺の肌に這わせたものと同じだ。
快感を誘うだけの感覚だったそれが、今は快感だけでなく、甘さと温かさと幸福を感じさせる。
ピリピリと走り続ける甘い痺れで体の力が抜けていき、男に抱きついて崩れ落ちないようにしながら、もっと幸せで気持ちいい感覚に包まれたくて、俺からも男に舌を絡める。
口付けに夢中になっている俺の体を、男の掌が這っていく。
「っ……」
敏感な腰を撫でられ、体が海老のように反ってしまう。
それの衝撃で唇が離れた男がクスリと笑ったので、馬鹿にするなと睨み付けようとするも、首筋をきつく吸われて走った快感で体が震えてしまい、それは叶わなかった。
「君は綺麗だ」
服を脱がせた俺をベッドに横たえた男が、俺を眺めながら目を細める。
「嘘つくな。俺ほど穢れた奴なんかいねぇんだよ」
「君は穢れてなどいない。君は綺麗なんだ」
男の視線から逃れたくて顔を背けると、大きな掌に頬を包まれて上を向かされ、口付けをされた。
男との濃厚な口付けで蕩けて力の抜けてしまった体を、男の舌が這っていく。
男に触れられた場所全てから快感が生まれ、体が甘く痺れていく。
五年越しの願いが叶い男が入ってきた時には、それだけで達してしまいそうなほどの満足感があった。
「はぁっ……あぁっ……」
「Ich liebe dich」
ガンガンと俺を揺さぶる男が、熱い吐息と共に何かを囁いた。
はっきりとは聞き取れなかったが、切なさを含む響きに胸がキュルンと締め付けられた。
「っ……あぁぁっ!」
何て言ったのか聞きたかったのに、もう一度囁いて欲しかったのに、激しさを増す男の動きのせいでそれは叶わなかった。
俺から穢れた血が噴き出すと、ぎゅっと締まった後ろに男が熱いものを吐き出した。
男のものが体の深い所から全身に広がっていき、穢れた体が清められていく気がする。
こんなに幸せで満たされた交わりは初めてだ。
もっと繋がりたくて手を伸ばすと、微笑んだ男が了承するように優しいキスを落としてきた。
甘い香りと温もりに包まれ、大きな手で髪を梳かるのが気持ちよくてうつらうつらしていると、頭上から懐かしい声が届いた。
パッと顔を上げると、ずっと求め続けていた男の顔があった。
「待たせすぎなんだよ。ヒーロー様は絶体絶命って時にならないと現れないってか?」
やっと再会できて涙が出そうなほど嬉しいのに、大人の余裕に満ち溢れている男にガキだと思われるのが癪で、見下すように笑いながら厚い胸板を拳で叩く。
「俺はヒーローなんかではない。君がヒーローだ」
「は? 意味分かんねぇこと言うなよ。それより、約束叶えてくれよ」
「あぁ。頑張ったな」
男の骨張った大きな掌が、労ってくれるように頬を包んでくる。
そして、整った顔がゆっくり近付いてくる。
髪と同じ鳶色の瞳に映る幸せそうな自分姿が目に入って、恥ずかしくなって瞼を閉じると、砂糖菓子のように甘くて柔らかいものが唇に触れた。
角度を変えて何度も何度もそれを重ね合わせて、少し息苦しくなって開いてしまった唇の間から、熱い塊が侵入してきた。
この熱く湿り気を帯び、ざらついた感触は、何人もの男が俺の肌に這わせたものと同じだ。
快感を誘うだけの感覚だったそれが、今は快感だけでなく、甘さと温かさと幸福を感じさせる。
ピリピリと走り続ける甘い痺れで体の力が抜けていき、男に抱きついて崩れ落ちないようにしながら、もっと幸せで気持ちいい感覚に包まれたくて、俺からも男に舌を絡める。
口付けに夢中になっている俺の体を、男の掌が這っていく。
「っ……」
敏感な腰を撫でられ、体が海老のように反ってしまう。
それの衝撃で唇が離れた男がクスリと笑ったので、馬鹿にするなと睨み付けようとするも、首筋をきつく吸われて走った快感で体が震えてしまい、それは叶わなかった。
「君は綺麗だ」
服を脱がせた俺をベッドに横たえた男が、俺を眺めながら目を細める。
「嘘つくな。俺ほど穢れた奴なんかいねぇんだよ」
「君は穢れてなどいない。君は綺麗なんだ」
男の視線から逃れたくて顔を背けると、大きな掌に頬を包まれて上を向かされ、口付けをされた。
男との濃厚な口付けで蕩けて力の抜けてしまった体を、男の舌が這っていく。
男に触れられた場所全てから快感が生まれ、体が甘く痺れていく。
五年越しの願いが叶い男が入ってきた時には、それだけで達してしまいそうなほどの満足感があった。
「はぁっ……あぁっ……」
「Ich liebe dich」
ガンガンと俺を揺さぶる男が、熱い吐息と共に何かを囁いた。
はっきりとは聞き取れなかったが、切なさを含む響きに胸がキュルンと締め付けられた。
「っ……あぁぁっ!」
何て言ったのか聞きたかったのに、もう一度囁いて欲しかったのに、激しさを増す男の動きのせいでそれは叶わなかった。
俺から穢れた血が噴き出すと、ぎゅっと締まった後ろに男が熱いものを吐き出した。
男のものが体の深い所から全身に広がっていき、穢れた体が清められていく気がする。
こんなに幸せで満たされた交わりは初めてだ。
もっと繋がりたくて手を伸ばすと、微笑んだ男が了承するように優しいキスを落としてきた。
0
あなたにおすすめの小説
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
僕の恋人は、超イケメン!!
八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
はじまりの朝
さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。
ある出来事をきっかけに離れてしまう。
中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。
これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。
✳『番外編〜はじまりの裏側で』
『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる