こんなわたしでもいいですか?

五月七日 外

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彼の夏休み

彼の夏休み③

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 8月6日 午前8時 
「ここは……これをこうやって……するとこの式がつかえるだろ?」
「おお~」
 色々と考えることはあったが、昴が来たので俺は勉強を教えていた。
「そう言えば昨日はどうしたんだ?」
 昨日はエセ大魔王が一日中表にでてたし、アイツはあまり勉強教えるの得意そうじゃないからなぁ……
「昨日は大魔王さんが勉強教えてくれたよ……けど、夜になるまで大魔王さんて気づかなかった」
「そうなのか?俺ってもしかして……実はスゴい変人だったりして……」
 俺が少しショックを受けていると、昴が慌てた様に言い直した。
「飛翔が大魔王さんみたいってことじゃなくて、昨日の大魔王さんはいつもと違うというか……飛翔とほとんど同じだったっていうか……とにかく飛翔みたいで、夜になってもそのままだったから気づいたの」
 ……アイツが俺みたいだった?わざわざアイツが俺のマネをしたのだろうか……それとも昨日の昼間は人格が混ざっていたのか?けど、それだったら俺にも少しは記憶が残りそうなんだけどなぁ……
「まあ、いいや……それだったら昼間は俺が、夜はエセ大魔王に勉強見ることにするか」
「が、がんばる……」
「俺はお前のために言ってやってるのに……当のお前が嫌がるなよな」 
 こんな感じで俺たちは軽く話ながら勉強をしていた。

「ちょっと辺りも暗くなってきたな……今日はどうする?夜も勉強するか?」
「今日はがんばる!」
「オッケー……そしたら休憩がてら食材買いにいくか!」
「うん!……あれ?もしかして飛翔って料理出来るの?」
 「そりゃあ、独り暮らしが長いからなぁそれなりには作れるぞ……まあ主婦の皆さんには負けるけどな」
「そうなんだ……わたし負けてる……(このままじゃ飛翔の方がお嫁さんになっちゃう……)」
 昴が何だか落ち込んでる様に見えるが、まあいいか……ちなみに俺の得意料理は親子丼だ。……うん、どうでもいいね。
「よし!せっかく作るんだ、昴は何か食べたいものあるか?」
「……う~ん、じゃあ難しそうだから親子丼で」
 ……どういう心理が働けば人に難しそうな料理を頼むんだ?しかも親子丼は意外と簡単な部類だぞ。コイツ料理できないんだろうなぁ
「そうかそうか、なら親子丼にするか!俺の得意料理だし!」
「な!?親子丼も作れるなんて……しかも得意料理!?わたしの完敗だ……」
 昴が何に負けたかは知らないが、俺たちは親子丼の材料を買うことにした。


「もう、食べられない……」
 あれから親子丼を食べた俺たちだが、昴が気に入って(それはうれしいけどな)かなりの量を食べていた。
「いくらなんでも食べ過ぎだろ……」
「美味しかったんだもん……」
「それは……まあ、うれしいけどな、程度ってもんがあるだろ……ほい、お茶でも飲んどきな」
 取り敢えず、暖かいお茶を出してあげた
「ありがと」
「それじゃあ、昴が食べ過ぎたからもう少し休憩してから勉強さいかいだな」
「おう~!」


「お~い!昴さん?起きろ~」
「う、うん?」
「全く……飯食ってから集中が切れてるぞ、お前も眠たそうだし今日は解散しよ」
「は~い……ふぁ~あ……」
 昴は余程眠たいのかあくびなんかしている。夜ご飯のあとは昴が勉強中に眠りかけたり集中力がほとんど無かったりしたので今日のところは解散することにした。


「それじゃあまた明日」
「おう!まあ……明日も頑張ろうぜ」
「うん、バイバイ」
 ……ふう、アイツは飯食うと集中力が全然ないな……今度からは夜まで勉強を終わらせてから飯を食うことにしよう。

  昴が帰ったあとに俺は軽く片付けをしていた。
「さ~て、さっさと風呂入って寝るか~」
 ……皿洗いは面倒臭いから水だけ浸けといて明日にでも洗おう……昴のせいで何か俺も眠いなぁ……
 ん?……何で俺が寝る準備してるんだ?……そうか、今日も人格が入れ替わってないのか……
 これは、アイツに電話しないとだな……

 
「あ、もしもし?」
「おお~!お前から電話してくるなんて珍しいなぁ~遂に寂しくなってワシの声でも聞きたくなったか~?」
 ……コイツはいつも俺をイラつかせるな
「いや、死ぬほど寂しくなっても誰がお前なんかに電話するか!するなら可愛い女の子にするわ!」
「相変わらずワシのボケがつうじんな~……て、お前飛翔か?」
「ああ、そうだよこのハゲジジイ」
 俺は担当医のハゲジジイこと木村に電話をかけていた。
「今日も入れ替わらなかったのか?」
「ああ、だから一応電話を入れたんだよ」
「なるほどな……取り敢えず今から病院にこい」
 先程とは違って真面目に木村は言う。
「わかった……今からすぐいく」

 
 こうして俺は、ハゲジジイのもとへいくことになった……
 (できれば会いたくねえけど、仕方ないよなぁ)
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