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黄金の夜明け
黄金の夜明け⑧
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「あれ?少し報酬額増えてません?」
「はい!ましろさんには井戸修理の際にも迷惑をかけてしまいましたし、街の人たちからも評判が良いので少しだけおまけです……他の人には内緒にしていて下さいね」
すっかり顔馴染みになった係員のお姉さんはウィンクをしながら報酬を渡してくれた。
組織が起こした事件から一週間ほど経過し、ようやくましろは井戸修理やその他に今日までリハビリのつもりで受けた仕事の報酬を役所で受け取っていた。
「それで、本日はどの仕事にします?」
お姉さんはいつも通りの笑顔でそう聞いてきた。
「いえ、明日の朝一にはもうルベールを発とうと思ってるんで仕事は大丈夫ですよ」
「そうですか……ましろさんがいなくなるのは寂しいですね、色々と役所の仕事も手伝ってくれて助かりましたしもう少しだけルベールに残りません?」
「確かにここは、いいところだったけど北を目指してるんでそろそろ行かないと……」
「そうでしたね。ましろさん、頑張ってくださいね」
「ありがとうございます」
ましろは、係員のお姉さんからエールをもらい役所から団子屋に向かうのだった。
「いらっしゃいませ~!……何だましろか、丁度いいところに帰ってきたわねお父さんを手伝ってあげて」
団子屋に着くと看板娘のカレンにそんなことを言われた。今日もどうやらこの店は大繁盛のようだ。
「今日も忙しそうだな」
「お陰さまでね、せつなさんが大人気だから!」
カレンはそう言って店内でオーダーを取っているせつなの方を見た。
「団子四つで!」
「あなたたち嘗めてるの?ここの団子は最高なんだから一人十個は食べなさい」
せつなは客に向けてはいけないような冷たい視線を浴びせている
「じゃあ二十個で!」
「わかった、団子二十個入りま~す」
団子が売れたのが嬉しいのかニッコリ笑ってマスターにオーダーを教えにいってる。
「なあ、せつなの接客は絶対間違えてるよな?」
「そう?可愛らしくていいじゃない」
「俺には何でせつなが大人気なのか分からないや……っと、マスターがやばそうだな、手伝ってくるよ」
「お願いね!」
ましろたちは、ここ最近の日課となった団子屋の手伝いをしてルベール最後の一日を過ごした。
「今日までお世話になりました!マスターにカレン、元気に団子屋頑張ってくれよ!」
ルベールを発つ日の夜明け前にましろたちは店前でお別れをしていた。
「まだ家に残っててもいいんだぞ?」
「お父さん!そんなこと言って困らせないの、ましろたちも頑張ってね」
「ありがとな、それじゃあそろそろ行くよ」
「お世話になりました」
「またルベールに来たときはいつでも寄っていいからな!」
マスターは泣きながら手を振っている。
「もう、恥ずかしいなぁ」
カレンも手を降ってくれていて、ましろたちも手を振りながらルベールを発った。
「いい人たちだった……」
ルベールを出て北に向かって歩いているとせつながそう呟いていた。
「だな……」
「そう言えば何でこんな夜明け前に出発したの?」
「それはだな、せつなにいいものを見せようと思ってな」
「いいもの?」
せつなはきょとんとしている。
「組織の名前が黄金の夜明けだっただろ?で、前に言ってた俺を助けてくれた死霊殺しの通り名が黄金の夜明けなんだ……」
「だからあんなに怒ってたのね」
「まあな……それで、その死霊殺が好きだった景色が黄金の夜明けなんだ」
「どういうこと?」
「まあ、見てなよ」
ましろはそう言って近くにあった岩に腰かけ、せつなも隣に腰かける。
すると、日が昇るのと同時に様々な方角で何か光っているものが上がった。
「なにあれ?」
「アレは生霊になってしまった人を弔う儀式で金色に光る火があるんだけどそれを空に向けて一斉に飛ばすんだ」
ましろが説明していると金色に輝く小さな光が様々な方角で大量に空へと昇っていた。
「きれい……」
「ほら!ルベールのところでも上がってるぞ」
ルベール国からも大量に金色に輝く光が昇っていた。
「これが黄金の夜明け?」
「ああ……で、この儀式には希望って意味があってさ俺を助けてくれた死霊殺しは世界の希望ってことで黄金の夜明けって呼ばれたんだよ」
ましろたちは、黄金に輝く空を眺めながら北へと目指すのだった。
「はい!ましろさんには井戸修理の際にも迷惑をかけてしまいましたし、街の人たちからも評判が良いので少しだけおまけです……他の人には内緒にしていて下さいね」
すっかり顔馴染みになった係員のお姉さんはウィンクをしながら報酬を渡してくれた。
組織が起こした事件から一週間ほど経過し、ようやくましろは井戸修理やその他に今日までリハビリのつもりで受けた仕事の報酬を役所で受け取っていた。
「それで、本日はどの仕事にします?」
お姉さんはいつも通りの笑顔でそう聞いてきた。
「いえ、明日の朝一にはもうルベールを発とうと思ってるんで仕事は大丈夫ですよ」
「そうですか……ましろさんがいなくなるのは寂しいですね、色々と役所の仕事も手伝ってくれて助かりましたしもう少しだけルベールに残りません?」
「確かにここは、いいところだったけど北を目指してるんでそろそろ行かないと……」
「そうでしたね。ましろさん、頑張ってくださいね」
「ありがとうございます」
ましろは、係員のお姉さんからエールをもらい役所から団子屋に向かうのだった。
「いらっしゃいませ~!……何だましろか、丁度いいところに帰ってきたわねお父さんを手伝ってあげて」
団子屋に着くと看板娘のカレンにそんなことを言われた。今日もどうやらこの店は大繁盛のようだ。
「今日も忙しそうだな」
「お陰さまでね、せつなさんが大人気だから!」
カレンはそう言って店内でオーダーを取っているせつなの方を見た。
「団子四つで!」
「あなたたち嘗めてるの?ここの団子は最高なんだから一人十個は食べなさい」
せつなは客に向けてはいけないような冷たい視線を浴びせている
「じゃあ二十個で!」
「わかった、団子二十個入りま~す」
団子が売れたのが嬉しいのかニッコリ笑ってマスターにオーダーを教えにいってる。
「なあ、せつなの接客は絶対間違えてるよな?」
「そう?可愛らしくていいじゃない」
「俺には何でせつなが大人気なのか分からないや……っと、マスターがやばそうだな、手伝ってくるよ」
「お願いね!」
ましろたちは、ここ最近の日課となった団子屋の手伝いをしてルベール最後の一日を過ごした。
「今日までお世話になりました!マスターにカレン、元気に団子屋頑張ってくれよ!」
ルベールを発つ日の夜明け前にましろたちは店前でお別れをしていた。
「まだ家に残っててもいいんだぞ?」
「お父さん!そんなこと言って困らせないの、ましろたちも頑張ってね」
「ありがとな、それじゃあそろそろ行くよ」
「お世話になりました」
「またルベールに来たときはいつでも寄っていいからな!」
マスターは泣きながら手を振っている。
「もう、恥ずかしいなぁ」
カレンも手を降ってくれていて、ましろたちも手を振りながらルベールを発った。
「いい人たちだった……」
ルベールを出て北に向かって歩いているとせつながそう呟いていた。
「だな……」
「そう言えば何でこんな夜明け前に出発したの?」
「それはだな、せつなにいいものを見せようと思ってな」
「いいもの?」
せつなはきょとんとしている。
「組織の名前が黄金の夜明けだっただろ?で、前に言ってた俺を助けてくれた死霊殺しの通り名が黄金の夜明けなんだ……」
「だからあんなに怒ってたのね」
「まあな……それで、その死霊殺が好きだった景色が黄金の夜明けなんだ」
「どういうこと?」
「まあ、見てなよ」
ましろはそう言って近くにあった岩に腰かけ、せつなも隣に腰かける。
すると、日が昇るのと同時に様々な方角で何か光っているものが上がった。
「なにあれ?」
「アレは生霊になってしまった人を弔う儀式で金色に光る火があるんだけどそれを空に向けて一斉に飛ばすんだ」
ましろが説明していると金色に輝く小さな光が様々な方角で大量に空へと昇っていた。
「きれい……」
「ほら!ルベールのところでも上がってるぞ」
ルベール国からも大量に金色に輝く光が昇っていた。
「これが黄金の夜明け?」
「ああ……で、この儀式には希望って意味があってさ俺を助けてくれた死霊殺しは世界の希望ってことで黄金の夜明けって呼ばれたんだよ」
ましろたちは、黄金に輝く空を眺めながら北へと目指すのだった。
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