7 / 22
第7話 復活の「バカ」
しおりを挟む
「う~~~ん、全部で、600,000ラピカってところだなぁ……」
「ハァアアアアアッ!? オイオイオイ、ふざけてんじゃねーぞ、オヤジッ‼ オメーのお目目はビー玉か何かよっ⁉」
道具屋のオヤジが提示してきた余りの査定の低さに、俺はぶったまげると同時に、すぐさま噛みついていった。
「オイオイ、人聞きの悪いこと言わんでくれよ、ガーネット。お前さん、この道40年の俺の審美眼にケチつけようってのかい?」
「なぁ~にが審美眼でい、いいとこセーロガンってところだろうが‼」
「よせよぉ、そんなに褒められると照れちまうぜ♪」
「誰も褒めとらんわ、ボケェッ‼」
憤慨する俺をすっとぼけた感じでいなしていくオヤジ。
だがなぁ、そんなこっちゃ俺は騙されたりしねーぞ‼ そりゃあ当然だろ、これほどの品物が600,000ラピカなんて……。そんな馬鹿な話があるわけねーだろうがっ!?
頭から湯気が出るくらいに憤慨する俺に対し、肝心のオヤジはというと、
「ハァ~~~、手数料やら口止め料やらなんやらのことを考えれば、これでも十分だと思うがねぇ~」
「お、おい、く、口止め料やらなんやらってのは、い、一体どういう意味だよっ⁉ な、何のことを言ってんだか、俺にゃあさっぱり……」
オヤジの何やら不穏な発言を受け一瞬ドキッとさせられるも、そこはあくまでも白を切りとおそうとするも、
「おいおい、俺とお前との間で惚けるのはなしにしようぜ、ガーネット……。どうせお前さんのことだ、コレらの品だって真っ当な商品である筈がねえ……。どうせいわくつきの代物、そうなんだろ?」
「――⁉ そ、そんなことテメーには何の関係もねーことだろうが……‼」
「ああ、関係ない……。関係ないが、コレラは早々に処分しないと厄介なことになる……。違うかい?」
「――‼」
まるで俺の心の中を見透かすかのように意味深な発言をしてくるオヤジ。
「………………」
「………………」
と、俺とオヤジとの間で、暫し無言の駆け引きってヤツが繰り広げられていくも……。結局のところ、
「……――ぐっ、え、えぇ~~~~い、くそったれぇーーーっ‼ わ――わぁ~ったよ、それで手を打ってやらぁ~、チクショーがっ‼」
「ハイ、決まったぁ♪ へへ、そうこなっくっちゃな♪ 毎度ありぃ、それじゃあすぐに金を持ってくるからちょっとだけ待っててくれよな……」
パンっとそのデカい手のひらを叩いたかと思えば、禿げ上がった頭を一層光らせ満面の笑みでもって店の奥へと消えていった。
しかもカウンターの上に置いてあった俺が売りに来た商品を、今更ながら俺にパクられないようにと全部抱え込んで運んでいくといった念の入れようだ……。
クソ、どこまでも抜かりのないオヤジだぜ……‼
「それじゃあ、今日はありがとな♪ またなんか手に入れたらいつでも持ってきてくれよな♪ ウチは良心的価格ってヤツで買い取らせてもらうからよ♪」
「うっせぇー、二度と来るもんかこんな店っ‼」
そう怒鳴るなり俺は金の入った袋を受け取ると、早々に店を後にした。
ザッザッザッザッ……。
くっそがぁ~、あのオヤジ、足元見やがって……‼
ミランダの酒場へと向かう道すがら、いまだ収まらない怒りを燻ぶらせたまま乱暴な足取りでもって大通りを闊歩していく。
というのも、昨日、城からかっぱらって……。もとい、引き出物として頂戴してきた美術品の数々を今日早速売り払いに来たってわけなんだが……。
結果は御覧の有様だ……。見事、あのオヤジに買い叩かれちまったい……。
くそっ、全くあの業突く張りめっ‼ とまぁ、正直、今なお怒りが収まらねーところではあるのだが……。
「………………」
フン、まぁいいさ……。何にせよ、これでとりあえず当座の資金ってヤツはできたわけだしな……。それに万が一にもパクったことがバレて城の奴らが取り調べに来たとしても商品はもう俺の手にねーわけだし、後は知らぬ存ぜぬ記憶にございませんで押し通せや取っ捕まるのはあの道具屋のオヤジなわけだしな……♪
ウシシ♪ 縛り首になっているあのオヤジの姿を想像するだけでも、少しは腹の虫も収まってくるってなもんだぜ♪
そんなことを考えつつも、ようやっと辿り着いた建物の二階部分、ミランダの店へと続く階段を上り、
「うぃ~~~す、ミランダ♪ 今日の景気はどないでっか♪」
開口一番、普段と変わらない挨拶をかましていこうと思っていたところへ、
「って……。いいわけねーわな、この状況じゃあよ……」
「ああ、ガーネットかい……。お陰様でね、見ての通りだよ」
店内に客はおらず、その代わりにミランダを取り囲むように5人……。
そして、そんな店内を包囲でもするかのように更に8人……。
とまぁ計13人の、それも昨日最後にわらわら入ってきた奴らと揃いの恰好をしたお姫様の護衛団らしき連中によって酒場はすっかり占拠されてやがった。
更にいうなら、テーブルには飲みかけの大ジョッキが至る所に放置されており――。
大方、店内にいた酔っ払い共はこいつらによって全員追い出されたってところか……。
全く、昨日あれだけ無様晒したにもかかわらず、今度は数で攻めてきたってことかよ?
「………………」
奴らの、そんな浅はかな考えにさっきまでの怒りもそうだが、ありとあらゆる感情までもが、スゥーっと冷めていくのが自分でもわかった……。
と、そこへ、
「フン、やっと現れたか……。待ち侘びたぞ、平民っ‼」
そんな台詞とともに集団の奥から一人の貴族と思しき野郎が姿を見せたかと思えば、
「あん? 何だ、誰かと思ったらオメー……。昨日のバカ貴族じゃねーかよ?」
そう、俺の前に現れたのは誰あろう、昨日あんだけ醜態を晒したバカ貴族だった。
「ハァアアアアアッ!? オイオイオイ、ふざけてんじゃねーぞ、オヤジッ‼ オメーのお目目はビー玉か何かよっ⁉」
道具屋のオヤジが提示してきた余りの査定の低さに、俺はぶったまげると同時に、すぐさま噛みついていった。
「オイオイ、人聞きの悪いこと言わんでくれよ、ガーネット。お前さん、この道40年の俺の審美眼にケチつけようってのかい?」
「なぁ~にが審美眼でい、いいとこセーロガンってところだろうが‼」
「よせよぉ、そんなに褒められると照れちまうぜ♪」
「誰も褒めとらんわ、ボケェッ‼」
憤慨する俺をすっとぼけた感じでいなしていくオヤジ。
だがなぁ、そんなこっちゃ俺は騙されたりしねーぞ‼ そりゃあ当然だろ、これほどの品物が600,000ラピカなんて……。そんな馬鹿な話があるわけねーだろうがっ!?
頭から湯気が出るくらいに憤慨する俺に対し、肝心のオヤジはというと、
「ハァ~~~、手数料やら口止め料やらなんやらのことを考えれば、これでも十分だと思うがねぇ~」
「お、おい、く、口止め料やらなんやらってのは、い、一体どういう意味だよっ⁉ な、何のことを言ってんだか、俺にゃあさっぱり……」
オヤジの何やら不穏な発言を受け一瞬ドキッとさせられるも、そこはあくまでも白を切りとおそうとするも、
「おいおい、俺とお前との間で惚けるのはなしにしようぜ、ガーネット……。どうせお前さんのことだ、コレらの品だって真っ当な商品である筈がねえ……。どうせいわくつきの代物、そうなんだろ?」
「――⁉ そ、そんなことテメーには何の関係もねーことだろうが……‼」
「ああ、関係ない……。関係ないが、コレラは早々に処分しないと厄介なことになる……。違うかい?」
「――‼」
まるで俺の心の中を見透かすかのように意味深な発言をしてくるオヤジ。
「………………」
「………………」
と、俺とオヤジとの間で、暫し無言の駆け引きってヤツが繰り広げられていくも……。結局のところ、
「……――ぐっ、え、えぇ~~~~い、くそったれぇーーーっ‼ わ――わぁ~ったよ、それで手を打ってやらぁ~、チクショーがっ‼」
「ハイ、決まったぁ♪ へへ、そうこなっくっちゃな♪ 毎度ありぃ、それじゃあすぐに金を持ってくるからちょっとだけ待っててくれよな……」
パンっとそのデカい手のひらを叩いたかと思えば、禿げ上がった頭を一層光らせ満面の笑みでもって店の奥へと消えていった。
しかもカウンターの上に置いてあった俺が売りに来た商品を、今更ながら俺にパクられないようにと全部抱え込んで運んでいくといった念の入れようだ……。
クソ、どこまでも抜かりのないオヤジだぜ……‼
「それじゃあ、今日はありがとな♪ またなんか手に入れたらいつでも持ってきてくれよな♪ ウチは良心的価格ってヤツで買い取らせてもらうからよ♪」
「うっせぇー、二度と来るもんかこんな店っ‼」
そう怒鳴るなり俺は金の入った袋を受け取ると、早々に店を後にした。
ザッザッザッザッ……。
くっそがぁ~、あのオヤジ、足元見やがって……‼
ミランダの酒場へと向かう道すがら、いまだ収まらない怒りを燻ぶらせたまま乱暴な足取りでもって大通りを闊歩していく。
というのも、昨日、城からかっぱらって……。もとい、引き出物として頂戴してきた美術品の数々を今日早速売り払いに来たってわけなんだが……。
結果は御覧の有様だ……。見事、あのオヤジに買い叩かれちまったい……。
くそっ、全くあの業突く張りめっ‼ とまぁ、正直、今なお怒りが収まらねーところではあるのだが……。
「………………」
フン、まぁいいさ……。何にせよ、これでとりあえず当座の資金ってヤツはできたわけだしな……。それに万が一にもパクったことがバレて城の奴らが取り調べに来たとしても商品はもう俺の手にねーわけだし、後は知らぬ存ぜぬ記憶にございませんで押し通せや取っ捕まるのはあの道具屋のオヤジなわけだしな……♪
ウシシ♪ 縛り首になっているあのオヤジの姿を想像するだけでも、少しは腹の虫も収まってくるってなもんだぜ♪
そんなことを考えつつも、ようやっと辿り着いた建物の二階部分、ミランダの店へと続く階段を上り、
「うぃ~~~す、ミランダ♪ 今日の景気はどないでっか♪」
開口一番、普段と変わらない挨拶をかましていこうと思っていたところへ、
「って……。いいわけねーわな、この状況じゃあよ……」
「ああ、ガーネットかい……。お陰様でね、見ての通りだよ」
店内に客はおらず、その代わりにミランダを取り囲むように5人……。
そして、そんな店内を包囲でもするかのように更に8人……。
とまぁ計13人の、それも昨日最後にわらわら入ってきた奴らと揃いの恰好をしたお姫様の護衛団らしき連中によって酒場はすっかり占拠されてやがった。
更にいうなら、テーブルには飲みかけの大ジョッキが至る所に放置されており――。
大方、店内にいた酔っ払い共はこいつらによって全員追い出されたってところか……。
全く、昨日あれだけ無様晒したにもかかわらず、今度は数で攻めてきたってことかよ?
「………………」
奴らの、そんな浅はかな考えにさっきまでの怒りもそうだが、ありとあらゆる感情までもが、スゥーっと冷めていくのが自分でもわかった……。
と、そこへ、
「フン、やっと現れたか……。待ち侘びたぞ、平民っ‼」
そんな台詞とともに集団の奥から一人の貴族と思しき野郎が姿を見せたかと思えば、
「あん? 何だ、誰かと思ったらオメー……。昨日のバカ貴族じゃねーかよ?」
そう、俺の前に現れたのは誰あろう、昨日あんだけ醜態を晒したバカ貴族だった。
0
あなたにおすすめの小説
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
どうぞ添い遂げてください
あんど もあ
ファンタジー
スカーレット・クリムゾン侯爵令嬢は、王立学園の卒業パーティーで婚約もしていない王子から婚約破棄を宣言される。さらには、火山の噴火の生贄になるように命じられ……。
ちょっと残酷な要素があるのでR 15です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる