4 / 5
4、温かい
しおりを挟む
そっとお兄さんの大きな手が近づいてきて思わず体に力が入った。
ぁ…どうしよう、やっぱ怖いや。
手が脚に触れた。私よりもずっと大きくて冷たい。
痛いかな?もう二年も経つからきっと痛いはず。優しくして欲しい…な…。
脚の付け根まで手が触れた瞬間、怖くて息を止めてしまった。
「なにもしませんよ、絵のモデルを傷つけるなんて話にならないでしょう?」
え…?
「モデルじゃなかったら私のこと抱いたってこと?」
つまりはそういうことなんでしょ?
その時外から雷の鳴る音が聞こえた。でもまだ遠いみたい。
「どうでしょう、そういや下着が見えてますよ?」
…は?何…どういうこと?
お兄さんは私の着ているブカブカのパジャマを下に引っ張ってそう言った。
意味がわからない。どうしてそんなに優しくするの?わけわかんないよ。
私はお兄さんの手を叩いて強く暴言を吐いた。
涙が溢れてもう少しで零れてしまいそうだったからそれを隠すための精一杯の強がり。
お兄さんはそれを察したのか、もしくは長い前髪で見えていなかったのか何も言ってこなかった。
一分とかそのくらいかな、ちょっと経ってお兄さんがもう寝ようと言った。
私また外に出されるかな?流石に見ず知らずの人間を家に泊める人なんていない。だって私がお兄さんの寝ている間に泥棒しないなんて保証ないもん。
「嫌よ」
「え……」
「おにーさんだけ寝ればいいよ、私はまだここにいたい」
馬鹿だ私…そんな事言っちゃったら余計に泥棒するみたいじゃん。
その時だった。隣の家から、私の家から、女の喘ぎ声が聞こえてきた。
「っ…」
「……」
あの女だ。香水臭い女。
あんなののどこが気持ちいいんだか。
なんか…吐きそう。
いつもはあの光景を目の前で見ているというのに今日は何だか余計に気持ち悪く感じる。
「また始まった…。ごめんね、これも聞こえてたんだ。うるさいでしょ」
「別に、いつもはもう寝てますし。というか俺もう眠いんで寝たいんですけど……寝ますよ?」
「いいよ、もう少し、あとちょっとでいいからここにいたい…」
まだ、家に行きたくない。それに…雷鳴ってるから。雷は嫌いなんだ。
「え、まぁ、勝手にどうぞ。じゃあ俺ここで寝るんで眠くなったらあっちが寝室ですから勝手に寝てください。あ、電気は消してって下さいね」
え、何。それって。
「は?私ここで寝ていいの?」
「あ、嫌ですか?帰ってもいいですよ」
「嫌、寝るっここで寝たい!」
外で眠らなくていい。家に帰らなくていい。それだけで私は飛び上がるほど嬉しい。だって、そうでしょ?
「そうですか」
私はお兄さんに自分がソファーで寝ると言った。だって私の方がちっさいし、それに私ここの子じゃないもん。なのに…お兄さんはまた想像と違う回答をした。
「別に気にすることないですよ、ベッド一回も使ってませんしきれいですよ?」
「いつもどこで寝てんの!?」
「床」
ゆ、床…。何で?ベッドあるのに床でねるわけ?痛いじゃんか。
その後お兄さんと討論になった。
どうしても私をベッドに寝せようとするお兄さんと自分がソファーに寝るのが普通だと言い張る私。
どう考えたって私の家から意見の方が正しいはずなんだけど、お兄さんは全然了承してくれなかった。
理由は様々。女の子だからとかお客様だからとか子供だからとか。別に気にしないって言っても、俺が気にしますの一点張りだった。
そして…だ。
何故か討論の末二人一緒にベッドで寝ることになった。
なんというか二人そろって一番無い答えに行き着いちゃって後戻りできないって感じ?
案外お兄さんは自分の意見を貫くタイプの人なのかも。そして私はプライドが高いから自分の意見を曲げることなんてしない。
その結果がこれなわけだけど。
狭い。
ていうかやっぱりこの人いい匂いする。
隣で寝てるだけなのに…柔軟剤かな?
…そろそろ寝よう。明日も学校だし…。
久しぶりに寝たベッドはふかふかだった。
それに…人と寝るなんて修学旅行以来でちょっとだけいいなって思ってしまった。
あったかいや。
ぁ…どうしよう、やっぱ怖いや。
手が脚に触れた。私よりもずっと大きくて冷たい。
痛いかな?もう二年も経つからきっと痛いはず。優しくして欲しい…な…。
脚の付け根まで手が触れた瞬間、怖くて息を止めてしまった。
「なにもしませんよ、絵のモデルを傷つけるなんて話にならないでしょう?」
え…?
「モデルじゃなかったら私のこと抱いたってこと?」
つまりはそういうことなんでしょ?
その時外から雷の鳴る音が聞こえた。でもまだ遠いみたい。
「どうでしょう、そういや下着が見えてますよ?」
…は?何…どういうこと?
お兄さんは私の着ているブカブカのパジャマを下に引っ張ってそう言った。
意味がわからない。どうしてそんなに優しくするの?わけわかんないよ。
私はお兄さんの手を叩いて強く暴言を吐いた。
涙が溢れてもう少しで零れてしまいそうだったからそれを隠すための精一杯の強がり。
お兄さんはそれを察したのか、もしくは長い前髪で見えていなかったのか何も言ってこなかった。
一分とかそのくらいかな、ちょっと経ってお兄さんがもう寝ようと言った。
私また外に出されるかな?流石に見ず知らずの人間を家に泊める人なんていない。だって私がお兄さんの寝ている間に泥棒しないなんて保証ないもん。
「嫌よ」
「え……」
「おにーさんだけ寝ればいいよ、私はまだここにいたい」
馬鹿だ私…そんな事言っちゃったら余計に泥棒するみたいじゃん。
その時だった。隣の家から、私の家から、女の喘ぎ声が聞こえてきた。
「っ…」
「……」
あの女だ。香水臭い女。
あんなののどこが気持ちいいんだか。
なんか…吐きそう。
いつもはあの光景を目の前で見ているというのに今日は何だか余計に気持ち悪く感じる。
「また始まった…。ごめんね、これも聞こえてたんだ。うるさいでしょ」
「別に、いつもはもう寝てますし。というか俺もう眠いんで寝たいんですけど……寝ますよ?」
「いいよ、もう少し、あとちょっとでいいからここにいたい…」
まだ、家に行きたくない。それに…雷鳴ってるから。雷は嫌いなんだ。
「え、まぁ、勝手にどうぞ。じゃあ俺ここで寝るんで眠くなったらあっちが寝室ですから勝手に寝てください。あ、電気は消してって下さいね」
え、何。それって。
「は?私ここで寝ていいの?」
「あ、嫌ですか?帰ってもいいですよ」
「嫌、寝るっここで寝たい!」
外で眠らなくていい。家に帰らなくていい。それだけで私は飛び上がるほど嬉しい。だって、そうでしょ?
「そうですか」
私はお兄さんに自分がソファーで寝ると言った。だって私の方がちっさいし、それに私ここの子じゃないもん。なのに…お兄さんはまた想像と違う回答をした。
「別に気にすることないですよ、ベッド一回も使ってませんしきれいですよ?」
「いつもどこで寝てんの!?」
「床」
ゆ、床…。何で?ベッドあるのに床でねるわけ?痛いじゃんか。
その後お兄さんと討論になった。
どうしても私をベッドに寝せようとするお兄さんと自分がソファーに寝るのが普通だと言い張る私。
どう考えたって私の家から意見の方が正しいはずなんだけど、お兄さんは全然了承してくれなかった。
理由は様々。女の子だからとかお客様だからとか子供だからとか。別に気にしないって言っても、俺が気にしますの一点張りだった。
そして…だ。
何故か討論の末二人一緒にベッドで寝ることになった。
なんというか二人そろって一番無い答えに行き着いちゃって後戻りできないって感じ?
案外お兄さんは自分の意見を貫くタイプの人なのかも。そして私はプライドが高いから自分の意見を曲げることなんてしない。
その結果がこれなわけだけど。
狭い。
ていうかやっぱりこの人いい匂いする。
隣で寝てるだけなのに…柔軟剤かな?
…そろそろ寝よう。明日も学校だし…。
久しぶりに寝たベッドはふかふかだった。
それに…人と寝るなんて修学旅行以来でちょっとだけいいなって思ってしまった。
あったかいや。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる