猫のお菓子屋さん

水玉猫

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おこのみこのみのうっかりブラウニー

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 本日のお当番は、みーちゃん。
 本名、このみちゃんです。

 お菓子は、おこののうっかりブラウニー。
 このみちゃんは、うっかりさんじゃないですよ。
 うっかりなのは、ブラウニーですからね。
  

 ブラウニーは、アメリカのホームメイドケーキ。
 もうすぐバレンタインデー。手作りプレゼントにもぴったりなお好み木の実のうっかりブラウニー♡



「手作りプレゼント?」


 そうなんです、お客さん。お好み木の実のうっかりブラウニーは、猫のお菓子屋さん初の手作りキットなんです。パチパチパチ(拍手)!
 いろんな木の実にチョコレート、無塩バター、お砂糖、新鮮な卵と薄力粉。ブラウニーに必要な材料は、全部そろっています。
 あとは、おうちに帰ってキットの材料を混ぜて、そのまま焼くだけ。あっという間に、ブラウニーができますよ。


「ふーん、そうなんだ」
不味まずかったら義理チョコにして、美味しくできたら自分と本命!」


 お客さん、前向きですね。
 お味はあなたの腕次第と言いたいところですが、なんといっても、みーちゃんのお好み木の実のうっかりブラウニーですからね。
 どなたが作っても、美味くできます。お味は、猫のお菓子屋さんの保証付き!


「でもねぇ。商品名がうっかりブラウニーなんだもの、すぐには信じられないよ」
「そういえば、そうだよね。お菓子なんて、あんまり作ったことないし。うっかり失敗しちゃったから『うっかりブラウニー』なんて悪い冗談」


 何をおっしゃる、お客さん。お好み木の実のうっかりブラウニーは、失敗知らず!
 お菓子作り初めての人だって、びっくりするくらい完璧に仕上がりますよ。
 もちろん、ベテランさんだって、これまで食べたことのないくらい美味しいブラウニーが出来上がりますからっ!


「だったら、どうして『うっかり』って、ついているのよ」
「そうよ、そうよ」


 それは、ブラウニーの由来から。
 ブラウニーの由来には、三つの説があります。
 ひとつめは、お弁当のデザートを手を汚さずに食べるために1892年にパーマーハウスホテルで考案されたという説。
 ふたつめは、チョコレートケーキのふくらし粉ベーキングパウダーを、うっかり入れ忘れたという説。


「だから、『うっかりブラウニー』なのね、ちょっと納得」
「だけど、ふくらし粉を入れ忘れた人って、それでも美味しくて新しいお菓子ができたんだから、ベテランさんでしょ。初心者なら、もっとすごいうっかりをするよ。チョコレートケーキなのに、チョコが入っていないとか。小麦粉とお砂糖とお塩を間違えるとか。まっくろこげか、なまやけのどちらかにしかならないとか」


 お客さん、そんなうっかりしたんですか……。
 でも、安心してください。
 そんなうっかりさんにも、みーちゃんのブラウニーなら、妖精さんがちゃんと対応してくれます!


「妖精さん?」


 みっつめの由来は、イギリスのお手伝い妖精ブラウニーから名付けられたという説。
 妖精ブラウニーは、茶色ブラウンの髪に茶色ブラウンの服。茶色ブラウンずくめの妖精さんだから、ブラウニーと呼ばれています。
  その妖精ブラウニーと同じ色の茶色いケーキだから、ブラウニー。
 だから、うっかりしそうな時は、ちゃーんと妖精のブラウニーさんがお手伝いしてくれるはずですよ。


「お言葉を返すようだけど、このキットの名がうっかりブラウニーなんだもの。ケーキじゃなくて、妖精ブラウニーさんの方がうっかりしていたらどうするの」


 そうきたか、お客さん。
 まあ、でも、ケーキと妖精さん、どちらのブラウニーがうっかりしていても、手作りキットなんですからっ!
 キット、大丈夫!


「……」


 お客さんたち、黙ってしまいましたね。

 はい? なんですか? みーちゃん。
 はいはい。わかりましたよ、みーちゃん。

 
 「ねぇ、ねぇ、みーちゃんは、なんて言ったの?」
 「回りくどい呼び込みで、商売の邪魔をしないでほしいとか?」


 なんて、ひどいことを言うんですか、お客さん!
 みーちゃんは、「お好みのケーキができるようにお手伝いするのは猫の手だし、そもそもブラウニーのふたつめの由来の通り、『お好み木の実のうっかりブラウニー』は、『うっかりしていても美味しいブラウニーに仕上がる手作りキット』なんだから。商売の邪魔をしないでほしい」だそうです。


「やっぱり、みーちゃんにも言われているじゃないの」


 (;・_・).。oO(うっかり口がすべって、言わなくていいことまで言ってしまった)


「でも、それなら、安心! お好み木の実のうっかりブラウニーください!」
「私も! 帰ったら、さっそく作ろうっと!」


 お客さんたち、あんまりおいしくて、うっかりほっぺたを落とさないようにしてくださいね!


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