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七月
七夕飾りとてるてる坊主
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お外は、雨。
クマパンちゃんが、窓から空を見ています。
あたしも、クマパンちゃんと並んで空を見上げました。
「雨、心配だよね、クマパンちゃん」
「うん、ミケちゃん。こんなに雨が降ってたら、織姫さんと彦星さん、今年は会えないよね」
「なんだ。クマパンちゃんは、そんなこと、心配してるの?」
「そんなことって、七夕なんだよ、ミケちゃん! 織姫さんと彦星さんは、七夕の日にしか会えないんだよ! 雨が降っていたら、会えないんだよ! 天の川が増水しちゃう!」
あたしは呆れて、クマパンちゃんを見ました。
「いい? クマパンちゃん。落ち着いて、よく考えてごらんなさいな。雨が降って天の川が見えないのは、どうしてかってこと」
「どうしてかって、雨雲があるからでしょ」
「その雨雲は、どこにあるの?」
「空」
「うん。クマパンちゃんの頭の上よね。雨雲があるから、天の川も織姫さんも彦星さんも見えないのよね」
「そうだよ。ミケちゃん、だから、何が言いたいの?」
「雨、どこに降ってる?」
「お外」
「お外の雨は、雲の上? 下? どっちに降ってる?」
「下」
「織姫さんと彦星さんは?」
「あっ! そうか! 織姫さんも彦星さんも、雲の上のお空にいるんだ!雲の向こうなら、雨降っていないよね!」
「そうよ、クマパンちゃん」
「なあんだ。天の川には雨が降っていないんなら、織姫さんも彦星さんも安心だね。よかったぁ!」
「ううん、クマパンちゃん。織姫さんも彦星さんも心配だと思うの」
「どうして?」
「あたしやクマパンちゃんがお星様が見えないように、織姫さんも彦星さんも雨雲があるから、きれいな七夕飾りやみんなの書いた短冊が見えないんだよ」
「そうか。それなら、お願い事も、叶えてもらえないね」
「うん。それもあるけど、織姫さんも彦星さんも天の川が氾濫したら大変なこと、誰より知っているはず。だから、きっと、地上の川や山のことも、心配してると思うんだ。厚い雨雲の下でたくさん雨が降っているんじゃないだろうか、川や山は大丈夫だろうか、雨の中で困っているこはいないだろうかって気が気じゃないと思うのよ」
「それじゃ、デートどころじゃないね」
「せっかく、一年に一度きりの日なのにね」
「ミケちゃんは、それを心配してたんだ」
「クマパンちゃん、てるてる坊主、作ろうか? 雨が止んで、きれいな七夕飾りを見ながら、織姫さんと彦星さんが安心してデートできるように」
「うん!」
あたしとクマパンちゃんは、てるてる坊主を作って、みんなの書いた短冊の間に吊るしました。
三毛猫 ミケ
***
There is always light behind the clouds.
雲の向こうは、いつも晴れ。
ルイーザ・メイ・オルコットの言葉です。
ルイーザ・メイ・オルコット(1832年~1888年)は、アメリカの小説家。『若草物語(1868年)』の作者です。
ミケちゃんは、やすらぎさんのおうちに来る前は、お外暮らしの猫でした。
子猫の頃から後ろ足が片方なくて、3本足でいっしょうけんめい、お外で暮らしてきました。
幸いにも、ミケちゃんは優しいやすらぎさん夫妻に出会って、今は何不自由なく暮らせるようになりました。
ミケちゃんは、お外暮らしの大変さを見に沁みて知っています。
だから、七夕様の短冊に書きました。
『みんながひまわりスマイルになれますように』
厚い雲が晴れて、迷子のこたちが、早くお家に帰れますように。
おうちのないこたちに、安心できる居場所ができますように。
この星に生きているもの、みんなが平穏に暮らせますように。
不必要な苦しみがなくなりますように。
織姫様彦星様、どうか、ミケちゃんの願いを叶えてください。
クマパンちゃんが、窓から空を見ています。
あたしも、クマパンちゃんと並んで空を見上げました。
「雨、心配だよね、クマパンちゃん」
「うん、ミケちゃん。こんなに雨が降ってたら、織姫さんと彦星さん、今年は会えないよね」
「なんだ。クマパンちゃんは、そんなこと、心配してるの?」
「そんなことって、七夕なんだよ、ミケちゃん! 織姫さんと彦星さんは、七夕の日にしか会えないんだよ! 雨が降っていたら、会えないんだよ! 天の川が増水しちゃう!」
あたしは呆れて、クマパンちゃんを見ました。
「いい? クマパンちゃん。落ち着いて、よく考えてごらんなさいな。雨が降って天の川が見えないのは、どうしてかってこと」
「どうしてかって、雨雲があるからでしょ」
「その雨雲は、どこにあるの?」
「空」
「うん。クマパンちゃんの頭の上よね。雨雲があるから、天の川も織姫さんも彦星さんも見えないのよね」
「そうだよ。ミケちゃん、だから、何が言いたいの?」
「雨、どこに降ってる?」
「お外」
「お外の雨は、雲の上? 下? どっちに降ってる?」
「下」
「織姫さんと彦星さんは?」
「あっ! そうか! 織姫さんも彦星さんも、雲の上のお空にいるんだ!雲の向こうなら、雨降っていないよね!」
「そうよ、クマパンちゃん」
「なあんだ。天の川には雨が降っていないんなら、織姫さんも彦星さんも安心だね。よかったぁ!」
「ううん、クマパンちゃん。織姫さんも彦星さんも心配だと思うの」
「どうして?」
「あたしやクマパンちゃんがお星様が見えないように、織姫さんも彦星さんも雨雲があるから、きれいな七夕飾りやみんなの書いた短冊が見えないんだよ」
「そうか。それなら、お願い事も、叶えてもらえないね」
「うん。それもあるけど、織姫さんも彦星さんも天の川が氾濫したら大変なこと、誰より知っているはず。だから、きっと、地上の川や山のことも、心配してると思うんだ。厚い雨雲の下でたくさん雨が降っているんじゃないだろうか、川や山は大丈夫だろうか、雨の中で困っているこはいないだろうかって気が気じゃないと思うのよ」
「それじゃ、デートどころじゃないね」
「せっかく、一年に一度きりの日なのにね」
「ミケちゃんは、それを心配してたんだ」
「クマパンちゃん、てるてる坊主、作ろうか? 雨が止んで、きれいな七夕飾りを見ながら、織姫さんと彦星さんが安心してデートできるように」
「うん!」
あたしとクマパンちゃんは、てるてる坊主を作って、みんなの書いた短冊の間に吊るしました。
三毛猫 ミケ
***
There is always light behind the clouds.
雲の向こうは、いつも晴れ。
ルイーザ・メイ・オルコットの言葉です。
ルイーザ・メイ・オルコット(1832年~1888年)は、アメリカの小説家。『若草物語(1868年)』の作者です。
ミケちゃんは、やすらぎさんのおうちに来る前は、お外暮らしの猫でした。
子猫の頃から後ろ足が片方なくて、3本足でいっしょうけんめい、お外で暮らしてきました。
幸いにも、ミケちゃんは優しいやすらぎさん夫妻に出会って、今は何不自由なく暮らせるようになりました。
ミケちゃんは、お外暮らしの大変さを見に沁みて知っています。
だから、七夕様の短冊に書きました。
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不必要な苦しみがなくなりますように。
織姫様彦星様、どうか、ミケちゃんの願いを叶えてください。
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