カエルとカタツムリと子猫のしっぽ(改稿版)

水玉猫

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なにか、みつけた

ぼくのクロゼット事情

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 今日の昼に、大学のカフェテリアでランチを食べていると、アールのやつが斜め前のテーブルからこっそり目配せして、モーションをかけてきたんだ。

 今夜は家に帰りたくなかったから、ぼくは午後の講義をサボタージュして、そのままアールの部屋に、ホイホイついて行った。

 アールは大学院生。元々は同級生だったけれど、ぼくは一度退学した。それから、なんやかや色々あって、半年前に再入学したばかりだから、まだ学部生だ。不本意ながら、アールのやつが先輩ってわけ。

 ぼくとアールは、いわゆる隠れホモだった。
 同じ穴のムジナで、入学してすぐに同類だと気が付いて、隠れて付き合うようになった。けれど、お互い、単なるベッドメイトの一人にすぎなかったから、ぼくが大学を中退するとアールとはそれっきりになった。

 半年前に大学に戻ったときには、ぼくはクロゼットから出ていた。
 つまり、ゲイだとカミングアウトしていたんだ。それも同居人で恋人のエムのせいで、世間に知れ渡っていた。当然、大学でも知らない者はいない。

 ぼくがカミングアウトしたのは、正確にはせざるを得なくなったのは、みんなエムのせいだ。
 エムは敏腕弁護士で、ぼくより9歳と6ヶ月と29日年上だった。
 自分がゲイであることを公表し、LGBTQIAプラスの法律関連の仕事も多くこなしている。
 背も高くヴィジュアルの良さもあって、「ゲイの弁護士」としてメディアの取材を頻繁に受けていたし、パネリストとして大きなシンポジウムに招かれることも、しばしばだった。
 だから、彼といっしょに暮らすようになると、彼の新しい同居人—— 現在のパートーナーとして、ぼくの顔はメディアに晒され、有無を言わさず、隠れていたクロゼットから放り出されてしまったんだ。

 それに引き替え、アールは相変わらずクロゼットの住人—— 隠れホモのままだった。
 たまに学内で擦れ違ったりすることがあっても、やつは完全無視で、ぼくが挨拶しても、そっぽを向くだけだった。

 それがモーションをかけてきたということは、よっぽどやりたかったんだろう。
 ぼくはぼくで、エムと大喧嘩して家出中だったから、よせばいいのに渡りに船でアールの誘いに喜んで乗ってしまったんだ。



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