絵日記ミケちゃん番外編

水玉猫

文字の大きさ
2 / 4
三本足同盟

疫病退散! 三本足同盟

しおりを挟む
「こんにちは」
「こんにちは」

「……」
「……」

「えっと」
「はい」

「失礼ですが、どなたさまですか」
「はい」

さん?」
「いえ」

さん?」
「ちがいます」

「……」
「……」

「お見受けしたところ、海の方から、いらしたような」
「はい」

「ずいぶんと、キラキラ光っていらっしゃるような」
「はい。私が何に見えますか」

「くちばしのある人魚さん」
「それから?」

「えっと…… あっ! 三本足!」
「私に見覚えは?」

「あります、あります! もしかして、あなたが三本足同盟の会報誌にも特集されていた伝説の妖怪『アマビエ』先輩?!」
「ピンポーン」

「キャーキャー、ずっと、憧れていました! 会報誌持ってきますから、サイン、書いてください!!!」
「私が書いてもらいたいのは、ミケちゃんの方ですよ」

「先輩、あたしのことを、ごぞんじなんですか」
「はい。三本足の三毛猫ミケちゃんのことは、よく存じ上げていますよ。つらいことも悲しいことも乗り越えて、いつでも、ニコニコひまわりスマイル。我が三本足同盟の新進気鋭のアイドルですからね」

「わぁ、ありがとうございます! それで、あたしもサインを書けばいいんですか。アマビエ先輩にサインを書くなんて、なんだか緊張しちゃうな。今から、あたし、サインの練習をしますから、ちょっと、待っていてください、先輩」
「いえ、ミケちゃん、サインは、練習の成果が出てから、ゆっくりでいいですよ。その前に、急いで描いてほしいものがあります」

「なにを描けばいいんですか?」
「パンデミックの今だから、ミケちゃんの絵日記にも、私の姿を描いてほしいのです。そして、みんなに、見せてほしいのです」

「どうしてですか」
「ずいぶんと昔、世の中に疫病えきびょう流行はやった時、私の姿を描いた絵を瓦版かわらばん—— 当時の新聞ですね—— に載せて、人々に見せたことがありました」

「あっ、それ、会報誌の特集で読みました。疫病退散のおまじない」
「そうです。それで、同じ三本足同盟のアイドルの三毛猫ミケちゃんにも、私のことを絵日記に描いてくれるように、こうして頼みに来たのです」


 それで、あたしは、近頃サボっていた絵日記を取り出して、ほこりを払ってから、大急ぎでアマビエ先輩の絵を描きました。


「これでいいですか。アマビエ先輩」
「ありがとう、ミケちゃん。八咫烏やたがらす名誉会長にも、見せたいのでコピーもらっていいですか」


 あたしが絵日記のコピーを渡すと、アマビエ先輩は海に帰って行きました。
 ちなみに、三本足同盟の名誉会長の八咫烏やたがらす大先輩は、三本足の神様の鳥です。


 これを読んでくださったみなさん、読まなかったみなさんも、みんな大事に至りませんように。
 どうか、みなさん、落ち着いて、恙無つつがなく。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

星降る夜に落ちた子

千東風子
児童書・童話
 あたしは、いらなかった?  ねえ、お父さん、お母さん。  ずっと心で泣いている女の子がいました。  名前は世羅。  いつもいつも弟ばかり。  何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。  ハイキングなんて、来たくなかった!  世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。  世羅は滑るように落ち、気を失いました。  そして、目が覚めたらそこは。  住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。  気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。  二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。  全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。  苦手な方は回れ右をお願いいたします。  よろしくお願いいたします。  私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。  石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!  こちらは他サイトにも掲載しています。

ぼくのだいじなヒーラー

もちっぱち
絵本
台所でお母さんと喧嘩した。 遊んでほしくて駄々をこねただけなのに 怖い顔で怒っていたお母さん。 そんな時、不思議な空間に包まれてふわりと気持ちが軽くなった。 癒される謎の生き物に会えたゆうくんは楽しくなった。 お子様向けの作品です ひらがな表記です。 ぜひ読んでみてください。 イラスト:ChatGPT(OpenAI)生成

ローズお姉さまのドレス

有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です* 最近のルイーゼは少しおかしい。 いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。 話し方もお姉さまそっくり。 わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。 表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成

パンティージャムジャムおじさん

KOU/Vami
児童書・童話
夜の街に、歌いながら歩く奇妙なおじさんが現れる。 口癖は「パラダイス~☆♪♡」――名乗る名は「パンティージャムジャムおじさん」。 子供たちは笑いながら彼の後についていき、歌を真似し、踊り、列は少しずつ長くなる。 そして翌朝、街は初めて気づく。昨夜の歌が、ただの遊びではなかったことに。

かつて聖女は悪女と呼ばれていた

朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
「別に計算していたわけではないのよ」 この聖女、悪女よりもタチが悪い!? 悪魔の力で聖女に成り代わった悪女は、思い知ることになる。聖女がいかに優秀であったのかを――!! 聖女が華麗にざまぁします♪ ※ エブリスタさんの妄コン『変身』にて、大賞をいただきました……!!✨ ※ 悪女視点と聖女視点があります。 ※ 表紙絵は親友の朝美智晴さまに描いていただきました♪

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

ほっぺの赤は夕日のいろ

紫 李鳥
児童書・童話
  さやかは今日も海に来ました。 夕日に染まる海が好きでした。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

処理中です...