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三本足同盟
疫病退散! 三本足同盟
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「こんにちは」
「こんにちは」
「……」
「……」
「えっと」
「はい」
「失礼ですが、どなたさまですか」
「はい」
「はいさん?」
「いえ」
「いえさん?」
「ちがいます」
「……」
「……」
「お見受けしたところ、海の方から、いらしたような」
「はい」
「ずいぶんと、キラキラ光っていらっしゃるような」
「はい。私が何に見えますか」
「くちばしのある人魚さん」
「それから?」
「えっと…… あっ! 三本足!」
「私に見覚えは?」
「あります、あります! もしかして、あなたが三本足同盟の会報誌にも特集されていた伝説の妖怪『アマビエ』先輩?!」
「ピンポーン」
「キャーキャー、ずっと、憧れていました! 会報誌持ってきますから、サイン、書いてください!!!」
「私が書いてもらいたいのは、ミケちゃんの方ですよ」
「先輩、あたしのことを、ごぞんじなんですか」
「はい。三本足の三毛猫ミケちゃんのことは、よく存じ上げていますよ。つらいことも悲しいことも乗り越えて、いつでも、ニコニコひまわりスマイル。我が三本足同盟の新進気鋭のアイドルですからね」
「わぁ、ありがとうございます! それで、あたしもサインを書けばいいんですか。アマビエ先輩にサインを書くなんて、なんだか緊張しちゃうな。今から、あたし、サインの練習をしますから、ちょっと、待っていてください、先輩」
「いえ、ミケちゃん、サインは、練習の成果が出てから、ゆっくりでいいですよ。その前に、急いで描いてほしいものがあります」
「なにを描けばいいんですか?」
「パンデミックの今だから、ミケちゃんの絵日記にも、私の姿を描いてほしいのです。そして、みんなに、見せてほしいのです」
「どうしてですか」
「ずいぶんと昔、世の中に疫病が流行った時、私の姿を描いた絵を瓦版—— 当時の新聞ですね—— に載せて、人々に見せたことがありました」
「あっ、それ、会報誌の特集で読みました。疫病退散のおまじない」
「そうです。それで、同じ三本足同盟のアイドルの三毛猫ミケちゃんにも、私のことを絵日記に描いてくれるように、こうして頼みに来たのです」
それで、あたしは、近頃サボっていた絵日記を取り出して、埃を払ってから、大急ぎでアマビエ先輩の絵を描きました。
「これでいいですか。アマビエ先輩」
「ありがとう、ミケちゃん。八咫烏名誉会長にも、見せたいのでコピーもらっていいですか」
あたしが絵日記のコピーを渡すと、アマビエ先輩は海に帰って行きました。
ちなみに、三本足同盟の名誉会長の八咫烏大先輩は、三本足の神様の鳥です。
これを読んでくださったみなさん、読まなかったみなさんも、みんな大事に至りませんように。
どうか、みなさん、落ち着いて、恙無く。
「こんにちは」
「……」
「……」
「えっと」
「はい」
「失礼ですが、どなたさまですか」
「はい」
「はいさん?」
「いえ」
「いえさん?」
「ちがいます」
「……」
「……」
「お見受けしたところ、海の方から、いらしたような」
「はい」
「ずいぶんと、キラキラ光っていらっしゃるような」
「はい。私が何に見えますか」
「くちばしのある人魚さん」
「それから?」
「えっと…… あっ! 三本足!」
「私に見覚えは?」
「あります、あります! もしかして、あなたが三本足同盟の会報誌にも特集されていた伝説の妖怪『アマビエ』先輩?!」
「ピンポーン」
「キャーキャー、ずっと、憧れていました! 会報誌持ってきますから、サイン、書いてください!!!」
「私が書いてもらいたいのは、ミケちゃんの方ですよ」
「先輩、あたしのことを、ごぞんじなんですか」
「はい。三本足の三毛猫ミケちゃんのことは、よく存じ上げていますよ。つらいことも悲しいことも乗り越えて、いつでも、ニコニコひまわりスマイル。我が三本足同盟の新進気鋭のアイドルですからね」
「わぁ、ありがとうございます! それで、あたしもサインを書けばいいんですか。アマビエ先輩にサインを書くなんて、なんだか緊張しちゃうな。今から、あたし、サインの練習をしますから、ちょっと、待っていてください、先輩」
「いえ、ミケちゃん、サインは、練習の成果が出てから、ゆっくりでいいですよ。その前に、急いで描いてほしいものがあります」
「なにを描けばいいんですか?」
「パンデミックの今だから、ミケちゃんの絵日記にも、私の姿を描いてほしいのです。そして、みんなに、見せてほしいのです」
「どうしてですか」
「ずいぶんと昔、世の中に疫病が流行った時、私の姿を描いた絵を瓦版—— 当時の新聞ですね—— に載せて、人々に見せたことがありました」
「あっ、それ、会報誌の特集で読みました。疫病退散のおまじない」
「そうです。それで、同じ三本足同盟のアイドルの三毛猫ミケちゃんにも、私のことを絵日記に描いてくれるように、こうして頼みに来たのです」
それで、あたしは、近頃サボっていた絵日記を取り出して、埃を払ってから、大急ぎでアマビエ先輩の絵を描きました。
「これでいいですか。アマビエ先輩」
「ありがとう、ミケちゃん。八咫烏名誉会長にも、見せたいのでコピーもらっていいですか」
あたしが絵日記のコピーを渡すと、アマビエ先輩は海に帰って行きました。
ちなみに、三本足同盟の名誉会長の八咫烏大先輩は、三本足の神様の鳥です。
これを読んでくださったみなさん、読まなかったみなさんも、みんな大事に至りませんように。
どうか、みなさん、落ち着いて、恙無く。
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