12 / 28
第四話
やりたいこと、見つかった……かも
しおりを挟む
大夢と昼食を食べたあとは、午後はカフェのシフトもなく、暇だった。三時からの片付けで戻ればいい。肝心の大夢はバスケ部の練習試合に参加しにいってしまった。僕は今、完全に一人になってしまった。
(春日、大丈夫だったかな)
結局放置する形になってしまったけれど、友達を連れてきているだろうから大丈夫だろう。それに。
(ナンパした女の子とグループで回ってるのかな……)
ちゃんと黒染めしている今日、あんなイケメンが校内を歩いていて目立たないわけがない。変な方向に邪推してしまい、慌てて首を振って雑念を振り払った。
校内でスマホは禁止で、登校時に専用のロッカーに入れないといけない。春日に連絡を取ろうと思っても取れない。これだけ広大な学園で春日とまた落ち合うのはかなり難しいだろう。もう地味すぎる展示にも飽きて帰った頃合いだろうか。一人で他部の展示や練習試合の見学をするのもなんだか気が引けて、それならどこか一人になれるところに行こうと思った。
(暇だなー。二棟にでも行って勉強でもしようかな……)
第二棟は学園の校門から入り、第一棟を抜けて、さらに細い公道をわたって辿り着かなければならない。第二棟はやる気のない文化部の展示が大半で、賑わう第一棟やグラウンドと違って、薄暗い廊下に人通りもほとんどない。
文化祭という特別な日でも、頭を占めるのは勉強のことばかりだ。我ながら、もはや情けないくらいの勉強中毒ぶりだ。もうロイヤルミルクティーをつくるシフトも終わったから、もう僕の高校最後の文化祭は終わったようなものだ。思ったよりも呆気なかった。
コンクリ建ての第二棟は古くて黴臭くて、空気はよどんだうすオレンジみたいだ。空気が薄くて軽くて、今、広大な学園のなかで自分がたったひとりなのだと分からされる。
そう思うとなぜか不意にわびしさがこみ上げてきて、それを振り払うように早足で第二棟に続く渡り廊下を歩く。文化部の展示室が続くが、理科実験室がちょうど誰もいない空室だった。誰も通らないだろうし、そこで勉強でもしようかなと思案し、鞄から単語帳を取り出したときだった。
「みっちゃん?」
背後から、まさかの声がした。廊下に誰かが立っている。
声の主は、春日だった。
「……なんでこんなところに?」
と聞くと、こちらに歩み寄ってきた春日はパンフを広げて、あるページを指さした。
「これ、数学部と読書部とあとチャリティの展示、見ようかなと思って」
訊くと、連れてきた友達は女の子達と遊びにでかけてしまったらしい。
「みっちゃん、一緒、見て回んない? もう時間あんまりないけど」
春日の腕時計はもう三時を示している。あと少しで閉会だ。
「あ、うん、いいよ。行こう」
もう今日は春日に会えないと思っていたから、あと三十分あるだけでも嬉しくて涙が出そうだった。
数学部の展示コーナーは、誰もいなかった。店番をしている生徒は、あまりに人がこなくて暇だったのか、腕を組んで完全に居眠りをしている。
展示内容は、有名な数学の証明問題の解を模造紙にでかでかと書き写しているだけのものだった。数学初心者に分かりやすい工夫なども特に施されていないから、数学が得意な生徒じゃないと内容は全く分からなさそうだ。案の定、春日は模造紙を読んでも意味が分からないのか、首をかしげている。
「ね、これどういう意味? 意味わかんないんだけど」
僕の耳もとで春日が小声で問いかけてくる。分かりやすいように解説すると、「ああ、そういうことね」と笑ってくれた。
最後は、チャリティ展示だった。カトリック校のS高らしい展示だ。国内外の社会問題について有志が模造紙で発表をしていて、募金ボックスも置いてある。確か去年の展示は世界の貧困がテーマで、僕も小銭だけど募金した。チャリティなのだからもっと校舎に近い教室でやればいいのにと思うのだが、なぜかいつも第二棟の一番奥の教室で開催されている。
今年のテーマは、「世界の難病」みたいだ。
教室の壁に模造紙が並び、まだ不治の病とされ、世界中の人々を苦しめる難病ついて、丁寧に解説されている。
「etp-stk細胞だってー。なんか聞いたことある」
春日が模造紙の端っこを指さしながら、じっと真顔で模造紙を見つめていた。
今、アメリカの有名研究機関で研究されている最新の人工細胞だ。アメリカの超有名大学で少し前から研究が進んでいて、専門的過ぎて詳しいことはよく分からないが、要するにこの細胞が実用化されたら、ここで発表されている病気も四割くらいが治療可能になり、不治の難病ではなくなるそうだ。
「え、それって超すごくね?」
「でも、実現まで何十年もかかりそうなんだって書いてある」
「へー。やばいね」
「世界の頭が良い人達が寄り集まって研究しても何十年もかかるんだから、大変なんだろうなあ」
「そうだねえ」
しみじみとした口調で同調する春日がちょっと面白い。ゆったりとした時間が流れていて、すごく心地がいい。
「世界の為になる研究をしてて、研究者たちはすごいね」
僕が何気なく言うと、春日も「そうだね」と答えてくれた。何十年もかかるということは、死ぬまでに良い結果が出ない可能性もあるということだ。僕なら怖すぎてできないかもしれない。文字通り「人生をかけて」研究している人達に感謝しかない。
「……俺もさ」
ふいに春日が呟く。その横顔は、まっすぐ掲示物をとらえていて、そのまつ毛から顎までの一直線の線は、くっきりと力強かった。
「俺も、皆のためになれる仕事ができるかな」
「え?」
「こういう研究してる人達みたいに、誰かの役に立てるかな、俺」
「できるよ」
(あれ……?)
言葉が考えるよりも先に出てきて、内心驚く。冷静に考えたら、春日の成績でこんなすごい研究をするのは難しい。
(でも、春日なら)
春日ならできる、根拠は全然ないのに、そんな気がした。今はできなくても、春日ならいずれ誰かの役に立つ仕事ができる。春日みたいに直で優しい心があるならば、きっと。
「春日ならできるよ」
自信をもってそう言うと、「ありがとう」と春日は言って、目に皺を寄せて笑った。
出口のところで募金ボックスにお金を入れる。頭も成績も普通よりちょっといいくらいの僕では研究には役に立てないけど、このお金がちょっとでも研究者たちの役に立てばいいなと思って。春日も隣で募金していた。
第二棟から外に出ると、もう四時間近だった。一般入場者の閉会を告げる蛍の光が大音量で校庭に響き渡っている。夕方の風に蝉の声が混じりはじめ、もうこの時間は、最後の文化祭は終わるのだと蝉が教えてくる。でも、不思議とまったく寂しくなかった。むしろ、最後を春日と過ごせたことが清々しくて、あたたかい。
「今日は楽しかった、来てくれてありがとう」
春日があのとき、第二棟にいてくれなかったら、きっとこんな気持ちにはならなかった。
春日は校庭の模擬店を見やると、「ちょっと待ってて」と急に駆け出した。そのまま校庭の模擬店で何かを受け取り、またこちらに駆けて戻ってくる。
「苺クレープ、最後の一個だった。ぎりぎり間に合った」
「え?」
「だって、カフェでよくクレープ食べてるから」
そんなところまで見られているとは思わなかった。甘いものが好きで、クレープは特に好きだから嬉しい。そこまで観察して気を遣ってくれたのが嬉しかった。
「あ、ありがとう」
クレープを受け取り、一口食べてみる。甘くておいしい。
「あのさ、みっちゃん」
ふいに春日が呟く。ただ名前を呼ばれただけなのに、その声の硬さに春日の緊張が伝わってくる。春日は、「言わないといけないことがあるんだ」と言ったきり、しばらく黙ってしまった。
「俺、実は――」
いつも元気な春日が珍しく俯いて、何かをいいかけようと顎をあげて、また口を閉ざしてしまう。その様子が奇妙すぎて、胸がやけにざわついた。「どうしたの?」と確認しようとしたとき、肩がぐいっと後ろに引き寄せられた。
「おい、みつ」
声の主は、大夢だった。もう制服に着替えている。その顔は、怒っていると邪推したくなるほど無表情だった。
「もう後夜祭の準備始まってるぞ」
春日のことは視界にすらいれない角度で僕にだけ向かって言った。これから後夜祭が体育館で行われる。最も入場者数が多かったクラスの表彰や、ダンス部や吹奏楽部の小さい発表会もある。
「ごめん、引き留めて」
春日は、先程までの切羽詰まった真顔を笑顔に戻した。
「じゃあね、みっちゃん。今日はありがと。また来週ね」
それだけ言い残すと、春日は校門に向かって歩き出す。僕と大夢に背を向けるとぐんぐん大股で歩いて行くので、最後の挨拶もかけられなかった。
昼より少しだけ冷たくなった風がやわらかく春日の額を撫でて過ぎていく。踵を返した春日が校門を出る。振り向いて、目を細めてこちらに向かって軽く手を振る。さっき言えなかった分の「ばいばい」を腕に込めて、春日に見えるように大きく振った。そして、後ろ姿は見えなくなる。
(いっちゃった)
またメッセージすればすぐ返ってくるし、会おうと思えばすぐ会えるのに、どうしてこんなに悲しくなるんだろう。
夕方だから眩しくもないのに、眩しそうに目を細めた笑顔を、もう一度みたくなった。
(春日、大丈夫だったかな)
結局放置する形になってしまったけれど、友達を連れてきているだろうから大丈夫だろう。それに。
(ナンパした女の子とグループで回ってるのかな……)
ちゃんと黒染めしている今日、あんなイケメンが校内を歩いていて目立たないわけがない。変な方向に邪推してしまい、慌てて首を振って雑念を振り払った。
校内でスマホは禁止で、登校時に専用のロッカーに入れないといけない。春日に連絡を取ろうと思っても取れない。これだけ広大な学園で春日とまた落ち合うのはかなり難しいだろう。もう地味すぎる展示にも飽きて帰った頃合いだろうか。一人で他部の展示や練習試合の見学をするのもなんだか気が引けて、それならどこか一人になれるところに行こうと思った。
(暇だなー。二棟にでも行って勉強でもしようかな……)
第二棟は学園の校門から入り、第一棟を抜けて、さらに細い公道をわたって辿り着かなければならない。第二棟はやる気のない文化部の展示が大半で、賑わう第一棟やグラウンドと違って、薄暗い廊下に人通りもほとんどない。
文化祭という特別な日でも、頭を占めるのは勉強のことばかりだ。我ながら、もはや情けないくらいの勉強中毒ぶりだ。もうロイヤルミルクティーをつくるシフトも終わったから、もう僕の高校最後の文化祭は終わったようなものだ。思ったよりも呆気なかった。
コンクリ建ての第二棟は古くて黴臭くて、空気はよどんだうすオレンジみたいだ。空気が薄くて軽くて、今、広大な学園のなかで自分がたったひとりなのだと分からされる。
そう思うとなぜか不意にわびしさがこみ上げてきて、それを振り払うように早足で第二棟に続く渡り廊下を歩く。文化部の展示室が続くが、理科実験室がちょうど誰もいない空室だった。誰も通らないだろうし、そこで勉強でもしようかなと思案し、鞄から単語帳を取り出したときだった。
「みっちゃん?」
背後から、まさかの声がした。廊下に誰かが立っている。
声の主は、春日だった。
「……なんでこんなところに?」
と聞くと、こちらに歩み寄ってきた春日はパンフを広げて、あるページを指さした。
「これ、数学部と読書部とあとチャリティの展示、見ようかなと思って」
訊くと、連れてきた友達は女の子達と遊びにでかけてしまったらしい。
「みっちゃん、一緒、見て回んない? もう時間あんまりないけど」
春日の腕時計はもう三時を示している。あと少しで閉会だ。
「あ、うん、いいよ。行こう」
もう今日は春日に会えないと思っていたから、あと三十分あるだけでも嬉しくて涙が出そうだった。
数学部の展示コーナーは、誰もいなかった。店番をしている生徒は、あまりに人がこなくて暇だったのか、腕を組んで完全に居眠りをしている。
展示内容は、有名な数学の証明問題の解を模造紙にでかでかと書き写しているだけのものだった。数学初心者に分かりやすい工夫なども特に施されていないから、数学が得意な生徒じゃないと内容は全く分からなさそうだ。案の定、春日は模造紙を読んでも意味が分からないのか、首をかしげている。
「ね、これどういう意味? 意味わかんないんだけど」
僕の耳もとで春日が小声で問いかけてくる。分かりやすいように解説すると、「ああ、そういうことね」と笑ってくれた。
最後は、チャリティ展示だった。カトリック校のS高らしい展示だ。国内外の社会問題について有志が模造紙で発表をしていて、募金ボックスも置いてある。確か去年の展示は世界の貧困がテーマで、僕も小銭だけど募金した。チャリティなのだからもっと校舎に近い教室でやればいいのにと思うのだが、なぜかいつも第二棟の一番奥の教室で開催されている。
今年のテーマは、「世界の難病」みたいだ。
教室の壁に模造紙が並び、まだ不治の病とされ、世界中の人々を苦しめる難病ついて、丁寧に解説されている。
「etp-stk細胞だってー。なんか聞いたことある」
春日が模造紙の端っこを指さしながら、じっと真顔で模造紙を見つめていた。
今、アメリカの有名研究機関で研究されている最新の人工細胞だ。アメリカの超有名大学で少し前から研究が進んでいて、専門的過ぎて詳しいことはよく分からないが、要するにこの細胞が実用化されたら、ここで発表されている病気も四割くらいが治療可能になり、不治の難病ではなくなるそうだ。
「え、それって超すごくね?」
「でも、実現まで何十年もかかりそうなんだって書いてある」
「へー。やばいね」
「世界の頭が良い人達が寄り集まって研究しても何十年もかかるんだから、大変なんだろうなあ」
「そうだねえ」
しみじみとした口調で同調する春日がちょっと面白い。ゆったりとした時間が流れていて、すごく心地がいい。
「世界の為になる研究をしてて、研究者たちはすごいね」
僕が何気なく言うと、春日も「そうだね」と答えてくれた。何十年もかかるということは、死ぬまでに良い結果が出ない可能性もあるということだ。僕なら怖すぎてできないかもしれない。文字通り「人生をかけて」研究している人達に感謝しかない。
「……俺もさ」
ふいに春日が呟く。その横顔は、まっすぐ掲示物をとらえていて、そのまつ毛から顎までの一直線の線は、くっきりと力強かった。
「俺も、皆のためになれる仕事ができるかな」
「え?」
「こういう研究してる人達みたいに、誰かの役に立てるかな、俺」
「できるよ」
(あれ……?)
言葉が考えるよりも先に出てきて、内心驚く。冷静に考えたら、春日の成績でこんなすごい研究をするのは難しい。
(でも、春日なら)
春日ならできる、根拠は全然ないのに、そんな気がした。今はできなくても、春日ならいずれ誰かの役に立つ仕事ができる。春日みたいに直で優しい心があるならば、きっと。
「春日ならできるよ」
自信をもってそう言うと、「ありがとう」と春日は言って、目に皺を寄せて笑った。
出口のところで募金ボックスにお金を入れる。頭も成績も普通よりちょっといいくらいの僕では研究には役に立てないけど、このお金がちょっとでも研究者たちの役に立てばいいなと思って。春日も隣で募金していた。
第二棟から外に出ると、もう四時間近だった。一般入場者の閉会を告げる蛍の光が大音量で校庭に響き渡っている。夕方の風に蝉の声が混じりはじめ、もうこの時間は、最後の文化祭は終わるのだと蝉が教えてくる。でも、不思議とまったく寂しくなかった。むしろ、最後を春日と過ごせたことが清々しくて、あたたかい。
「今日は楽しかった、来てくれてありがとう」
春日があのとき、第二棟にいてくれなかったら、きっとこんな気持ちにはならなかった。
春日は校庭の模擬店を見やると、「ちょっと待ってて」と急に駆け出した。そのまま校庭の模擬店で何かを受け取り、またこちらに駆けて戻ってくる。
「苺クレープ、最後の一個だった。ぎりぎり間に合った」
「え?」
「だって、カフェでよくクレープ食べてるから」
そんなところまで見られているとは思わなかった。甘いものが好きで、クレープは特に好きだから嬉しい。そこまで観察して気を遣ってくれたのが嬉しかった。
「あ、ありがとう」
クレープを受け取り、一口食べてみる。甘くておいしい。
「あのさ、みっちゃん」
ふいに春日が呟く。ただ名前を呼ばれただけなのに、その声の硬さに春日の緊張が伝わってくる。春日は、「言わないといけないことがあるんだ」と言ったきり、しばらく黙ってしまった。
「俺、実は――」
いつも元気な春日が珍しく俯いて、何かをいいかけようと顎をあげて、また口を閉ざしてしまう。その様子が奇妙すぎて、胸がやけにざわついた。「どうしたの?」と確認しようとしたとき、肩がぐいっと後ろに引き寄せられた。
「おい、みつ」
声の主は、大夢だった。もう制服に着替えている。その顔は、怒っていると邪推したくなるほど無表情だった。
「もう後夜祭の準備始まってるぞ」
春日のことは視界にすらいれない角度で僕にだけ向かって言った。これから後夜祭が体育館で行われる。最も入場者数が多かったクラスの表彰や、ダンス部や吹奏楽部の小さい発表会もある。
「ごめん、引き留めて」
春日は、先程までの切羽詰まった真顔を笑顔に戻した。
「じゃあね、みっちゃん。今日はありがと。また来週ね」
それだけ言い残すと、春日は校門に向かって歩き出す。僕と大夢に背を向けるとぐんぐん大股で歩いて行くので、最後の挨拶もかけられなかった。
昼より少しだけ冷たくなった風がやわらかく春日の額を撫でて過ぎていく。踵を返した春日が校門を出る。振り向いて、目を細めてこちらに向かって軽く手を振る。さっき言えなかった分の「ばいばい」を腕に込めて、春日に見えるように大きく振った。そして、後ろ姿は見えなくなる。
(いっちゃった)
またメッセージすればすぐ返ってくるし、会おうと思えばすぐ会えるのに、どうしてこんなに悲しくなるんだろう。
夕方だから眩しくもないのに、眩しそうに目を細めた笑顔を、もう一度みたくなった。
21
あなたにおすすめの小説
ずっと好きだった幼馴染の結婚式に出席する話
子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき
「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。
そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。
背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。
結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。
「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」
誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。
叶わない恋だってわかってる。
それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。
君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話
須宮りんこ
BL
【あらすじ】
高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。
二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。
そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。
青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。
けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――?
※本編完結済み。後日談連載中。
転生DKは、オーガさんのお気に入り~姉の婚約者に嫁ぐことになったんだが、こんなに溺愛されるとは聞いてない!~
トモモト ヨシユキ
BL
魔物の国との和議の証に結ばれた公爵家同士の婚約。だが、婚約することになった姉が拒んだため6男のシャル(俺)が代わりに婚約することになった。
突然、オーガ(鬼)の嫁になることがきまった俺は、ショックで前世を思い出す。
有名進学校に通うDKだった俺は、前世の知識と根性で自分の身を守るための剣と魔法の鍛練を始める。
約束の10年後。
俺は、人類最強の魔法剣士になっていた。
どこからでもかかってこいや!
と思っていたら、婚約者のオーガ公爵は、全くの塩対応で。
そんなある日、魔王国のバーティーで絡んできた魔物を俺は、こてんぱんにのしてやったんだが、それ以来、旦那様の様子が変?
急に花とか贈ってきたり、デートに誘われたり。
慣れない溺愛にこっちまで調子が狂うし!
このまま、俺は、絆されてしまうのか!?
カイタ、エブリスタにも掲載しています。
かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい
日向汐
BL
過保護なかわいい系美形の後輩。
たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡
そんなお話。
【攻め】
雨宮千冬(あめみや・ちふゆ)
大学1年。法学部。
淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。
甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。
【受け】
睦月伊織(むつき・いおり)
大学2年。工学部。
黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
沈黙のΩ、冷血宰相に拾われて溺愛されました
ホワイトヴァイス
BL
声を奪われ、競売にかけられたΩ《オメガ》――ノア。
落札したのは、冷血と呼ばれる宰相アルマン・ヴァルナティス。
“番契約”を偽装した取引から始まったふたりの関係は、
やがて国を揺るがす“真実”へとつながっていく。
喋れぬΩと、血を信じない宰相。
ただの契約だったはずの絆が、
互いの傷と孤独を少しずつ融かしていく。
だが、王都の夜に潜む副宰相ルシアンの影が、
彼らの「嘘」を暴こうとしていた――。
沈黙が祈りに変わるとき、
血の支配が終わりを告げ、
“番”の意味が書き換えられる。
冷血宰相×沈黙のΩ、
偽りの契約から始まる救済と革命の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる