全ステFの最弱領主、禁忌スキル【分身】で無限に増殖!?〜数の暴力で世界を詰ませます!〜

アセチルサリチルさん

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第14話 突然ですが例のモグラは土竜でした(仰天)

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 その日から、モグラたちは領地の地下調査を始めてくれた。


 まずは砦家だ。先日仕組みが完成したトイレを俺の家にもぜひ導入したい。


 ——ここでちょっとした問題が発生した。

 モグラが潜って調べたところ、なにやら通路や巨大な空間があるらしい。元々砦だったからか、逃走用の地下通路などの類があったのだろう。
今は埋まっていたり、崩れていたりするが。

「ブモモモモモモ」

 モグラが興奮気味に報告してくる。ヴォルの通訳によると——

「けっこう広いって」

「おお、マジか」

「整備すれば使えるって」

「それは助かる」

 せっかくなので、通路や空間を整備拡張してもらうことにした。

 地下倉庫に地下通路。あとはなんだ?神殿でも作ろうか?

 モグラたちは嬉々として穴を掘り始めた。土を運び出し、壁を固め、通路を広げていく。

 さすが地下の専門家だ。作業が早い。


「モグラさんたち、すごいですね~」

 リーシャが感心している。

「ああ。これは当たりだったかもな」

 俺も素直に感心した。






 一方、地上でも開拓は進んでいる。

 ダリオたちは相変わらず真面目に働いていた。

「領主様!牛舎と馬小屋、完成しました!」

 ダリオが報告に来る。

「おお、早いな」

「牧場エリアの柵ももうすぐ完成です!」

「了解だ。ありがとう!」

「あと、俺たちの家も完成しまして……」

「そうか、よかったな」

「ありがてえ……ありがてえ……」

 感涙、といった感じだ。いつものことではあるが、そろそろ慣れて欲しい。

 馬小屋、牛舎、牧場の柵。ダリオたちの家。棚や家具。

 領地は着実に形になってきている。







 数日後。

 俺は例のモグラたちを集めた。

 場所は砦の家の前。眷属モグラ…子モグラとでも呼ぼうか。それは地下から顔だけ出して参加している。シュールな絵面だ。


「えーと、改めて」

 俺は全員を見渡した。

 ダリオたち元盗賊。リーシャと信徒たち。オルファ。ヴォル。


 そしてモグラたちに目線を向ける。

「お前らも、これからこの領地に住むわけだし……仲良くやっていこう」

 モグラたちが「ブモモモ」と鳴く。

「食料とか、必要なものがあったら言ってくれ。できる範囲で用意する」

「ブモッ」

 モグラのリーダー——「でかモグラ」が、嬉しそうに鳴いた。

 ヴォルがモグラに何か話しかけた。

 でかモグラが「ブモッ?」と返す。

 ヴォルが「グルル」と言う。

 でかモグラが「ブモモモッ!?」と驚く。

「……なんだ?」

 ヴォルが俺の方を向いて、また身振り手振りを始めた。

 自分を指差す。軽く火を吐く。——これは「火」と言いだいのだろう。

 ヴォルの言葉も大分わかってきたぞ。


 そして牙と鱗、翼を見せつける。

 おそらく「竜」を伝えたいのか…?


 次に、でかモグラの方を指差す。そして土をぶちまける。

 ???


 最後に先ほどの「竜」のジェスチャー。


「……」
 
「え、つまりそういうことか?」

 俺は目を丸くした。


「ドラゴン、なの?」

 ヴォルが頷く。でかモグラも頷く。

「こいつが…土竜どりゅう?」

 ヴォルが頷く。


 ——マジか。

 どう見てもモグラなんだが。いや、言われてみれば、でかいし、なんか威厳あるし……竜と言われれば、そんな気もしなくもない…か?

 で、どうやらヴォルはただのドラゴンではなく「火竜」らしい。まぁ火を吹いてたしな…

「じゃあ、他にも色々なドラゴンがいるのか?水、雷、風、光とか……」

 ヴォルが首を傾げた。「分からないけど、可能性はある」といった感じだ。

 そんなこと言われちゃ探したくなっちゃうじゃん。

 


「ていうか、お前」

 俺はモグラを見た。

灰枝領ここに住むなら、その体でかすぎて邪魔になるな…」

 モグラが「ブモッ?」と首を傾げる。

「ヴォルは小さくなれたんだ。同じ"竜"なんだしお前もできたりしないの?」

 ヴォルが通訳する。

 モグラが「ブモリ」と頷いて——

 光った。

 眩しい。

 次の瞬間、3メートルのでかモグラが——ヴォルと同じ、子犬サイズになっていた。


「おお!」

「できるんですね~」

「……器用ね」

 リーシャとオルファが感心している。

 小さくなったでかモグラは、ふかふかで、つぶらな瞳で、正直めちゃくちゃ可愛い。

「よし、お前にも名前をつけるぞ~!」

 俺はモグラを抱き上げた。おもったより軽い。

「土龍だし、土系がいいよなぁ……究極大地迅雷龍アルティメットテラサンダードラゴンでどうだ?!」

「ダサいし、毎度迅雷サンダーはどこからきたわけ?」

 半分諦めた顔のオルファに雑に却下された。

「じゃあテラでいいんじゃないでしょうか~」

 モグラが「ブモッ」と鳴いた。

 リーシャがつけた名前が気に入ったらしい。


「よし、今日からお前はテラだ」

「テラさん、よろしくお願いします~」

 リーシャが手を振る。

「ブモリッ」とテラが返す。


 そのとき、モグラたちの耳がピクピク動いた。

 遠くで、分身たちが実験の準備を始めている。小麦粉を運ぶ音がする。

 テラの顔が曇った。「ブモモ……」

「……ああ、そうだったな」

 こいつら、音に敏感なんだ。

「ちょっと待ってろ」

 俺は砦家に向かった。

 木材と布と、ちょっとした細工で——簡易的な耳栓を作る。寒い地域にある「耳当て」みたいな形状かたちだ。

「ほら、これつけてみてくれ」

 テラの耳に装着する。

 「ブモッ?」と首を傾げて——

 遠くで、ドッガァァァン!! と爆発音。

 テラの耳がほんのわずかに動いた。

「ブモモモモッ!」

 テラが嬉しそうに跳ねた。尻尾を振っている。少なくとも騒音レベルは解消したようだ。

 今度領民のみんなにも配っておこうかな。

「気に入ったか」

「ブモモッ!」

 テラが俺の足元にすり寄ってきた。…めちゃくちゃ懐いている。

「……なんか、ペットが増えたわね」

 オルファが呆れた顔で言う。

「でもこいつ、一応ドラゴンなんだよなぁ~…」

 俺の憂慮をよそに、ヴォルとテラ、そしてリーシャはすっかり意気投合していた。
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