6 / 6
1章
④
しおりを挟む
さて、どうしたものか。
教室から飛び出してきたが、風花は先ほどから黙ったまま下を向いている。
もしかして実はあの集団の中にいたかったのだろうか。
「あ、あのさ、学校案内って言って強引に連れ出したけど、もしかして余計なお世話だった?」
「全然。むしろあの集団の中から助けてくれて嬉しかった。ありがとう和人君」
家で過ごしているときとは違い、髪を一本に結って黒縁の眼鏡をかけており、呼び方も『かずくん』だったはずが『和人君』に変わっている。
なんだか新鮮な感覚を通り越して別人に思えてきた。
「学校案内はあそこから離れるための口実だし無理に校内を見て回る必要はないけど、どうする?」
「せっかくだから案内してくれると嬉しい」
「分かった。じゃあ取りあえず近くにある情報教室から案内するよ」
***『月城風花』***
私は学校というところはあんまり好きではない。
まあ学校が好きな人もあまりいない気がするけど。
どうしても萎縮して別人格のようになってしまう。
前の学校で仲のよかった友人にも「学校とプライベートでキャラ違いすぎない!?」と驚かれた。
かずくんは学校モードの私を見ると驚くだろうか。
緊張する反面、少し楽しみだったりもする。
教室に入るとみんなが私の方を向いていた。
転校は初めてだったけど正直クラスで自己紹介するだけなら緊張することないと思っていた。
でもかずくん以外は全員知らない人だと思うとすごく緊張する。
うぅ・・・心なしかお腹が痛く感じる。
「月城風花です。よろしくお願いします」
自己紹介が極端に短かかったためか、教室内が少しざわついている。
前の学校でもこんな感じだったし、学校内での私としては噛まずに言えただけでも及第点だ。
「じゃあ月城さんはそこの空けている席に座ってね」
「はい」
先生が指さした席を見ると、そこはかずくんの目の前の席だった。
同じ月城同士だから席が前後になるのは薄々予想していたけど、やっぱり現実は物語のように上手くは進んでくれないらしい。
席に向かって真っ直ぐ歩いていた私はかずくんと目が合った。
かずくんは何故か無言で私の目をじっと見てくる。
次第に恥ずかしくなってきた私は顔が赤くなる前に目を逸らし、速やかに椅子に座った。
大丈夫だよね?私の顔、赤くなってないよね!?
「じゃ、ホームルーム始めるよー」
それからみんなの自己紹介を聞いた後で、委員会決めが始まった。
各々が希望の委員会で挙手し、かぶった人たちは熾烈な戦いを繰り広げる中、一個だけ何故か誰も立候補しない委員会があった。
私はどれでも良かったのでそれ《・・》を選んだ。
すると、クラスで「おぉー」という賞賛の声が一部で上がった。
「他に図書委員になってくれる人いないー?」
誰も手を上げようとしない。
そんなに人気のない委員会なのだろうか。それとも私が嫌がられているのだろうか。
そんな不安が増幅していくと同時に、クラス内は静寂に包まれようとしていた。
しかし、完全に静かになる前に私の後ろから一人の声がした。
「由美先生、俺やります」
かずくんだった。
あまりよく知らない人と二人で委員会は辛いと思っていたからかなり嬉しい。
さすがかずくん。もう今すぐにでも飛びつきたい。
「ナイス月城くん!図書の先生に成績上げるように言っておくね」
この学校の図書室の先生は二年生の何かの教科を担当している人なのかな。
「図書の先生が一体なんの成績上げてくれるんですか・・・」
どうやら由美先生の冗談だったらしい。
普通に騙された。
「じゃあ今日はこれで終わりだから、ささっと帰ってね」
みんな帰宅の準備をしている。
私も先生が教室から退出するのを横目に、帰宅の準備をしようと鞄を机の上に置いたときだった。
───私はパニックになった。
教室から飛び出してきたが、風花は先ほどから黙ったまま下を向いている。
もしかして実はあの集団の中にいたかったのだろうか。
「あ、あのさ、学校案内って言って強引に連れ出したけど、もしかして余計なお世話だった?」
「全然。むしろあの集団の中から助けてくれて嬉しかった。ありがとう和人君」
家で過ごしているときとは違い、髪を一本に結って黒縁の眼鏡をかけており、呼び方も『かずくん』だったはずが『和人君』に変わっている。
なんだか新鮮な感覚を通り越して別人に思えてきた。
「学校案内はあそこから離れるための口実だし無理に校内を見て回る必要はないけど、どうする?」
「せっかくだから案内してくれると嬉しい」
「分かった。じゃあ取りあえず近くにある情報教室から案内するよ」
***『月城風花』***
私は学校というところはあんまり好きではない。
まあ学校が好きな人もあまりいない気がするけど。
どうしても萎縮して別人格のようになってしまう。
前の学校で仲のよかった友人にも「学校とプライベートでキャラ違いすぎない!?」と驚かれた。
かずくんは学校モードの私を見ると驚くだろうか。
緊張する反面、少し楽しみだったりもする。
教室に入るとみんなが私の方を向いていた。
転校は初めてだったけど正直クラスで自己紹介するだけなら緊張することないと思っていた。
でもかずくん以外は全員知らない人だと思うとすごく緊張する。
うぅ・・・心なしかお腹が痛く感じる。
「月城風花です。よろしくお願いします」
自己紹介が極端に短かかったためか、教室内が少しざわついている。
前の学校でもこんな感じだったし、学校内での私としては噛まずに言えただけでも及第点だ。
「じゃあ月城さんはそこの空けている席に座ってね」
「はい」
先生が指さした席を見ると、そこはかずくんの目の前の席だった。
同じ月城同士だから席が前後になるのは薄々予想していたけど、やっぱり現実は物語のように上手くは進んでくれないらしい。
席に向かって真っ直ぐ歩いていた私はかずくんと目が合った。
かずくんは何故か無言で私の目をじっと見てくる。
次第に恥ずかしくなってきた私は顔が赤くなる前に目を逸らし、速やかに椅子に座った。
大丈夫だよね?私の顔、赤くなってないよね!?
「じゃ、ホームルーム始めるよー」
それからみんなの自己紹介を聞いた後で、委員会決めが始まった。
各々が希望の委員会で挙手し、かぶった人たちは熾烈な戦いを繰り広げる中、一個だけ何故か誰も立候補しない委員会があった。
私はどれでも良かったのでそれ《・・》を選んだ。
すると、クラスで「おぉー」という賞賛の声が一部で上がった。
「他に図書委員になってくれる人いないー?」
誰も手を上げようとしない。
そんなに人気のない委員会なのだろうか。それとも私が嫌がられているのだろうか。
そんな不安が増幅していくと同時に、クラス内は静寂に包まれようとしていた。
しかし、完全に静かになる前に私の後ろから一人の声がした。
「由美先生、俺やります」
かずくんだった。
あまりよく知らない人と二人で委員会は辛いと思っていたからかなり嬉しい。
さすがかずくん。もう今すぐにでも飛びつきたい。
「ナイス月城くん!図書の先生に成績上げるように言っておくね」
この学校の図書室の先生は二年生の何かの教科を担当している人なのかな。
「図書の先生が一体なんの成績上げてくれるんですか・・・」
どうやら由美先生の冗談だったらしい。
普通に騙された。
「じゃあ今日はこれで終わりだから、ささっと帰ってね」
みんな帰宅の準備をしている。
私も先生が教室から退出するのを横目に、帰宅の準備をしようと鞄を机の上に置いたときだった。
───私はパニックになった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい
沢尻夏芽
恋愛
自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。
それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。
『様子がおかしい』
※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。
現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。
他サイトでも掲載中。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
わんこ系婚約者の大誤算
甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。
そんなある日…
「婚約破棄して他の男と婚約!?」
そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。
その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。
小型犬から猛犬へ矯正完了!?
貴方なんて大嫌い
ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と
いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている
それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる