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11月16日(金)
第10話
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薄暗い部屋の中。ベッドで並んで座ると、どちらともなく唇を重ね合わせた。酒と煙草と脂の臭いが混ざり合っている。だから、だろうか。矢口の香水の匂いに、妙に安堵してしまう。
唇に舌先でなぞられたので、自ら絡めとった。矢口から驚いた気配を感じたけれど、気にせずに、こちらからも深く口付ける。そういえば、男同士でキスをすることへの嫌悪感は、不思議と初めからなかったように思う。
「なんだか今日は積極的ですね」
「おかしいか?」
濡れた瞳が細められ、嬉しいです、と矢口が笑う。スーツのジャケットを脱いで、息苦しいネクタイを緩めて抜き取った。Yシャツの小さなボタンは、少し焦れったい。
「俺にやらせてください」
俺の手を退けて、矢口の手がシャツにかけられる。ボタンが外れる度に、胸の奥が熱くなる。存在を確認するかのように、じっくりと頬を撫でられ、そのまま首筋を通ると、開いたシャツから手が潜り込んだ。平たい胸を揉まれれば、女のように扱われる気恥ずかしさに身をよじってしまう。肩を強く押されて、ベッドに押し倒された。見上げれば、矢口の顔がある。普段は少し子供っぽい印象もあるが、こうして欲情した瞳で見下ろされると、やはり大人の男なんだと、妙な感想を抱いた。
男の舌が首筋に這わせられると、ぞくぞくと肌が粟たった。それから鎖骨を通り、胸の突起を舌で弄ぶように舐められると、堪らなくなる。手の甲に唇を押し当てて、漏れそうになる吐息を押さえ込む。
「ここ、弱いんですね」
「そればっかり、やめろよ」
弄られすぎたのか胸の中心が熱を帯びてきて、じんじんとむず痒い。気を良くしたのか、矢口はしつこく胸を吸ってきて、転がされる。右の胸から唇が離れると、今度は左の胸を責められる。決定打がない、じわりじわりと追い上げられるような悦楽に、無意識に腰が逃げた。
スラックスを下ろされ、下着の上から撫でられると、もう先走りで濡れているのがわかった。それでも、どこかで冷静な自身が、ちゃんと勃っていることに、安堵していた。
「あ、……」
敏感になりすぎているのか、下着の上から、ゆっくりとしごかれるだけで、女のような甘い喘ぎが口から飛び出す。離れていた手の甲を再び口に押し当てる。
下着を脱がされ、勃起したぺニスが晒される。矢口はじっと俺のぺニスを見つめて、小さく息を呑んだ。一瞬何かに躊躇したが、舌を出して、裏筋に押しあてた。
「……やめ……ッ」
ぎょっとして、腰を引く。
「どうしたんですか?」
「き、汚いだろ……」
矢口は目を見開いて、それから意地悪く笑う。
「もしかして、口でしてもらったことないんですか?」
可笑しそうに笑われて、カッと頭に血が上る。なんだか女性経験の乏しさを指摘されたような気がした。これまで付き合ってきた女性たちは、セックスに対して消極的なタイプだったから、俺がいつでもリードしていた。相手から求められるようなセックスを、俺は知らない。
何か言う前に、ぺニスが熱い粘膜に覆われる。あまりの衝撃に腰が引けた。女のアソコを連想させるが、意思を持って蠢く口内は、それとは、また違う何か。
「ぁ…………」
舌で絡められて、しごかれる。追い上げられるように、締め付けられて、吸われると、そのままイキそうになる。
不意に、ぺニスが解放される。外気に触れると、あまりにも切なくて、小さく内腿が震えた。それでも、すぐに、ぐじゅぐじゅと、手で追い上げられる。自分でするのとは、どうしてこんなに違うのだろうか。自分で迎えにいけない焦れったい快楽が身体を駆け巡り、無意識に腰が揺れる。少しずつ、けれど着実に上り詰めていく。
「ッ――――」
篭った熱が一気に放出される。男の手の中に射精して、ベッドに沈み込んだ。息が上がって、苦しい。矢口の手から、熱い粘液が溢れて、ぽたり、ぽたり、と腹に落ちてくる。浅い息を整えながら、気だるげな快楽の余韻も徐々に引いていく。
「瀬川さん……」
掠れた声に、顔をあげると勃起したぺニスが眼前に突きつけられていた。目の前で扱かれる他人のペニスに、唖然としてしまう。それでも、浅い息を吐きながら、切な気な瞳でこちらを見つめている矢口がいじらしく思えて、男のそれに手を添えてやった。ビクリと矢口の腰が揺れる。その反応に、少し優越を感じてしまう。
愛おしそうに、前髪をかきあげられた。釣られて、矢口の顔を見上げた。圧し殺したような呻き声をあげながら、うっとりと快楽を受け入れている矢口に、きゅっと胸が締め付けられた。
自分がされてよかったことを思い出しながら、ぺニスをしごく。そうして、溢れてくる先走りに、口元がゆるんだ。
「ん、……もう、はなして……ッ」
男の上擦った声に、妙に高揚してしまう。腰が揺れて、終わりが近そうな気配を感じた瞬間、唐突に熱い粘液が顔に降りかかった。咄嗟に手でぬぐうと、べっとりと白濁した液体が絡み付く。まともに顔面に受けたのだと理解するのに、しばらくかかった。
「ごめんなさい。大丈夫ですか?」
「あ、いや、俺が悪かったから……」
浅い息をつきながら、矢口はベッドサイドのティッシュの箱を寄越してきた。顔をぬぐえば、独特の生臭さに溜め息が漏れた。まさか、人生で顔射される日が来るとは思いもしなかった。
唇に舌先でなぞられたので、自ら絡めとった。矢口から驚いた気配を感じたけれど、気にせずに、こちらからも深く口付ける。そういえば、男同士でキスをすることへの嫌悪感は、不思議と初めからなかったように思う。
「なんだか今日は積極的ですね」
「おかしいか?」
濡れた瞳が細められ、嬉しいです、と矢口が笑う。スーツのジャケットを脱いで、息苦しいネクタイを緩めて抜き取った。Yシャツの小さなボタンは、少し焦れったい。
「俺にやらせてください」
俺の手を退けて、矢口の手がシャツにかけられる。ボタンが外れる度に、胸の奥が熱くなる。存在を確認するかのように、じっくりと頬を撫でられ、そのまま首筋を通ると、開いたシャツから手が潜り込んだ。平たい胸を揉まれれば、女のように扱われる気恥ずかしさに身をよじってしまう。肩を強く押されて、ベッドに押し倒された。見上げれば、矢口の顔がある。普段は少し子供っぽい印象もあるが、こうして欲情した瞳で見下ろされると、やはり大人の男なんだと、妙な感想を抱いた。
男の舌が首筋に這わせられると、ぞくぞくと肌が粟たった。それから鎖骨を通り、胸の突起を舌で弄ぶように舐められると、堪らなくなる。手の甲に唇を押し当てて、漏れそうになる吐息を押さえ込む。
「ここ、弱いんですね」
「そればっかり、やめろよ」
弄られすぎたのか胸の中心が熱を帯びてきて、じんじんとむず痒い。気を良くしたのか、矢口はしつこく胸を吸ってきて、転がされる。右の胸から唇が離れると、今度は左の胸を責められる。決定打がない、じわりじわりと追い上げられるような悦楽に、無意識に腰が逃げた。
スラックスを下ろされ、下着の上から撫でられると、もう先走りで濡れているのがわかった。それでも、どこかで冷静な自身が、ちゃんと勃っていることに、安堵していた。
「あ、……」
敏感になりすぎているのか、下着の上から、ゆっくりとしごかれるだけで、女のような甘い喘ぎが口から飛び出す。離れていた手の甲を再び口に押し当てる。
下着を脱がされ、勃起したぺニスが晒される。矢口はじっと俺のぺニスを見つめて、小さく息を呑んだ。一瞬何かに躊躇したが、舌を出して、裏筋に押しあてた。
「……やめ……ッ」
ぎょっとして、腰を引く。
「どうしたんですか?」
「き、汚いだろ……」
矢口は目を見開いて、それから意地悪く笑う。
「もしかして、口でしてもらったことないんですか?」
可笑しそうに笑われて、カッと頭に血が上る。なんだか女性経験の乏しさを指摘されたような気がした。これまで付き合ってきた女性たちは、セックスに対して消極的なタイプだったから、俺がいつでもリードしていた。相手から求められるようなセックスを、俺は知らない。
何か言う前に、ぺニスが熱い粘膜に覆われる。あまりの衝撃に腰が引けた。女のアソコを連想させるが、意思を持って蠢く口内は、それとは、また違う何か。
「ぁ…………」
舌で絡められて、しごかれる。追い上げられるように、締め付けられて、吸われると、そのままイキそうになる。
不意に、ぺニスが解放される。外気に触れると、あまりにも切なくて、小さく内腿が震えた。それでも、すぐに、ぐじゅぐじゅと、手で追い上げられる。自分でするのとは、どうしてこんなに違うのだろうか。自分で迎えにいけない焦れったい快楽が身体を駆け巡り、無意識に腰が揺れる。少しずつ、けれど着実に上り詰めていく。
「ッ――――」
篭った熱が一気に放出される。男の手の中に射精して、ベッドに沈み込んだ。息が上がって、苦しい。矢口の手から、熱い粘液が溢れて、ぽたり、ぽたり、と腹に落ちてくる。浅い息を整えながら、気だるげな快楽の余韻も徐々に引いていく。
「瀬川さん……」
掠れた声に、顔をあげると勃起したぺニスが眼前に突きつけられていた。目の前で扱かれる他人のペニスに、唖然としてしまう。それでも、浅い息を吐きながら、切な気な瞳でこちらを見つめている矢口がいじらしく思えて、男のそれに手を添えてやった。ビクリと矢口の腰が揺れる。その反応に、少し優越を感じてしまう。
愛おしそうに、前髪をかきあげられた。釣られて、矢口の顔を見上げた。圧し殺したような呻き声をあげながら、うっとりと快楽を受け入れている矢口に、きゅっと胸が締め付けられた。
自分がされてよかったことを思い出しながら、ぺニスをしごく。そうして、溢れてくる先走りに、口元がゆるんだ。
「ん、……もう、はなして……ッ」
男の上擦った声に、妙に高揚してしまう。腰が揺れて、終わりが近そうな気配を感じた瞬間、唐突に熱い粘液が顔に降りかかった。咄嗟に手でぬぐうと、べっとりと白濁した液体が絡み付く。まともに顔面に受けたのだと理解するのに、しばらくかかった。
「ごめんなさい。大丈夫ですか?」
「あ、いや、俺が悪かったから……」
浅い息をつきながら、矢口はベッドサイドのティッシュの箱を寄越してきた。顔をぬぐえば、独特の生臭さに溜め息が漏れた。まさか、人生で顔射される日が来るとは思いもしなかった。
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