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11月17日(土)
第14話
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人生の先輩方からのありがたいダメ出しが終わると、いよいよ本題に入った。
Yシステムプロジェクトは、年末には社内でのテスト工程が完了予定である。年明けからは、顧客先の環境でのテストを実施すため、早々に対応するメンバーを決める必要があった。
昨今では、システム開発も新しいスタイルが幾つか考案されているが、中規模以上のシステム開発では、現在も変わらず、従来のウォーターフォール型開発が主流である。この場合、多くの期間を設計工程とテスト工程に費やすことになる。
誤解されがちであるが、システム開発では、プログラミング工程は、ほんの一部に過ぎないのだ。
また、規模が大きな開発では、設計工程やテスト工程は細分化されており、その工程によって必要なスキルや人数も変化する。
今回の案件では、テスト工程終盤に、取引先の現地ビルに常駐して、運用に耐えうるシステムであることを確認する工程も計画に盛り込まれていた。
ホワイトボードに書いた体勢図に、篠田マネージャーは首を傾げた。
「瀬川くんとしては、そのメンバーが最適ってことか?」
俺が選出したメンバーは、瀬川、佐々木、矢口の三名である。システム管理者として俺が入るのは必須であるが、佐々木には技術面とインフラ面を支えてもらう。矢口にはシステムの仕様の把握や顧客対応を引き継いでいく。
追加開発の要件は、細川リーダーに任せるにしても、矢口にもサブリーダーとして補佐に回ってもらう。当然、俺もフォローする場面があるだろう。
「苦しいけど、まあ、妥当な線だね」
細川リーダーが、熟考してから頷いた。俺としては、自分が抜けた後に、一番ダメージが少ない方法をプレゼンしたつもりだった。
「先方には、瀬川くんが抜けることは納得いただけたんですか?」
細川リーダーが篠田マネージャーに目配せする。
「正直、かなり渋られたよ。細川くんの参入は大歓迎されたが、瀬川くんが離れることには、えらく難色を示されてね。引き継ぎは完璧にやりますからって大口叩いてきたから、二人とも、よろしく頼むな」
細川リーダーと顔を見合わせて、肩をすくめた。篠田マネージャーの無茶振りはいつものことである。
「厚みのある要員計画になっているから、予算的にはやや厳しい面もあるが、まあ、今回は新規プロジェクトを仕留める目的のためだ。仕方ないだろう」
篠田マネージャーから承諾を得た。一先ず、ほっと胸を撫で下ろす。
「じゃあ、瀬川くん、年明けから神戸だから三人分のマンスリー物件手配しておいてくれよ」
「承知しました」
こういう雑務もリーダーの仕事である。マンスリー物件契約を個人タスクに追加する。
「瀬川くん、一応確認だけど、新規プロジェクトの要件定義のこともあるから、隔週で二日ずつは本社に戻ってきてほしい。そのつもりでスケジュール組んでくれよ」
「承知しました。来週中にはスケジュールを立ててみます」
さらにスケジュール作成も個人タスクに追加する。
「メンバーにはいつ話しますか?」
「そうだな。来週頭でもいいが、先に選抜メンバーに個別に話した方がいいだろう。その辺は、瀬川くんに任せていいか?」
「承知しました」
要員計画の周知も個人タスクに追加した。細々とした仕事が積み上がる。頭の中で、ある程度の優先順位付けを行う。
「じゃあ、今日のミーティングはこの辺でいいか?」
細川リーダーと顔を見合わせる。何か考慮し忘れたことはないか、お互いに確認する。
「大丈夫だと思います」
「また、何かあればご相談させてください」
Yシステムプロジェクトは、年末には社内でのテスト工程が完了予定である。年明けからは、顧客先の環境でのテストを実施すため、早々に対応するメンバーを決める必要があった。
昨今では、システム開発も新しいスタイルが幾つか考案されているが、中規模以上のシステム開発では、現在も変わらず、従来のウォーターフォール型開発が主流である。この場合、多くの期間を設計工程とテスト工程に費やすことになる。
誤解されがちであるが、システム開発では、プログラミング工程は、ほんの一部に過ぎないのだ。
また、規模が大きな開発では、設計工程やテスト工程は細分化されており、その工程によって必要なスキルや人数も変化する。
今回の案件では、テスト工程終盤に、取引先の現地ビルに常駐して、運用に耐えうるシステムであることを確認する工程も計画に盛り込まれていた。
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「瀬川くんとしては、そのメンバーが最適ってことか?」
俺が選出したメンバーは、瀬川、佐々木、矢口の三名である。システム管理者として俺が入るのは必須であるが、佐々木には技術面とインフラ面を支えてもらう。矢口にはシステムの仕様の把握や顧客対応を引き継いでいく。
追加開発の要件は、細川リーダーに任せるにしても、矢口にもサブリーダーとして補佐に回ってもらう。当然、俺もフォローする場面があるだろう。
「苦しいけど、まあ、妥当な線だね」
細川リーダーが、熟考してから頷いた。俺としては、自分が抜けた後に、一番ダメージが少ない方法をプレゼンしたつもりだった。
「先方には、瀬川くんが抜けることは納得いただけたんですか?」
細川リーダーが篠田マネージャーに目配せする。
「正直、かなり渋られたよ。細川くんの参入は大歓迎されたが、瀬川くんが離れることには、えらく難色を示されてね。引き継ぎは完璧にやりますからって大口叩いてきたから、二人とも、よろしく頼むな」
細川リーダーと顔を見合わせて、肩をすくめた。篠田マネージャーの無茶振りはいつものことである。
「厚みのある要員計画になっているから、予算的にはやや厳しい面もあるが、まあ、今回は新規プロジェクトを仕留める目的のためだ。仕方ないだろう」
篠田マネージャーから承諾を得た。一先ず、ほっと胸を撫で下ろす。
「じゃあ、瀬川くん、年明けから神戸だから三人分のマンスリー物件手配しておいてくれよ」
「承知しました」
こういう雑務もリーダーの仕事である。マンスリー物件契約を個人タスクに追加する。
「瀬川くん、一応確認だけど、新規プロジェクトの要件定義のこともあるから、隔週で二日ずつは本社に戻ってきてほしい。そのつもりでスケジュール組んでくれよ」
「承知しました。来週中にはスケジュールを立ててみます」
さらにスケジュール作成も個人タスクに追加する。
「メンバーにはいつ話しますか?」
「そうだな。来週頭でもいいが、先に選抜メンバーに個別に話した方がいいだろう。その辺は、瀬川くんに任せていいか?」
「承知しました」
要員計画の周知も個人タスクに追加した。細々とした仕事が積み上がる。頭の中で、ある程度の優先順位付けを行う。
「じゃあ、今日のミーティングはこの辺でいいか?」
細川リーダーと顔を見合わせる。何か考慮し忘れたことはないか、お互いに確認する。
「大丈夫だと思います」
「また、何かあればご相談させてください」
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