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12月23日(日)
第71話
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いつになく満足度の高い食事に、程好い満腹感を感じたところで、フォークを置いた。食後の余韻を楽しみながら、まったりとワインを口に含むと、贅沢な気分になる。
暁斗を横目で盗み見れば、改めてキラキラしたイケメンだな、と思った。もし俺が矢口暁斗だったなら、手当たり次第に可愛い女の子に声をかけたりして遊び回るだろう。そうして、この中で一番いい女の子を選んで、永遠の愛なんかを誓うかもしれない。そんな馬鹿馬鹿しい空想をしていると、思わず笑みが溢れた。
俺の視線に気がついて、暁斗は小首を傾げた。
「どうかしましたか?」
有沢は、矢口には隙がなくて気疲れしそうで付き合う対象にはならない、と言ったが、こんな整った顔をして、こんな小洒落た料理が作れるなんて、やはり女にモテそうだし、それなりに場数を踏んでいそうな気がした。前に連れて行ってくれたデートコースを思い出して苦笑いを浮かべてしまう。少なくとも俺よりも、ずっと、スマートな男だと思う。
何か言葉が出てきそうになって、ワイングラスを傾けて口を塞いだ。根拠のない不安を口にすれば、この夜が台無しになるに違いない。
「暁斗」
唇を暁斗の顔に近づけたところで、暁斗の顔が背けられた。呆気に取られているうちに、パンッと乾いた音で、俺の手は払い除けられる。
「なんだよ」
いい雰囲気だったはずなのに、キスを拒まれて、面食らう。
「もう、酔っている佑介とはしないと決めたので」
「もしかして前に『無理やりされた』って言ったことを根に持っているのか?」
ヘラヘラと笑ってしまったのが気に触ったらしく、暁斗は口をへの字に曲げた。
「根に持ってなんかいませんよ。俺なりに反省しているんです」
すねた子供のように口を尖らせるものだから、なんだか、それがとても愛くるしく思えてしまう。払われた手を、もう一度、暁斗の頬に添えて、その瞳を覗き込んだ。
「泥酔してなかったら、別にしてもいいけど?」
「あの時も、酔ってないって言っていたんですよ」
「それは……」
酔っぱらいの戯言だ、と言いかけてやめた。今も立派な酔っぱらいであるし、こんなことで口論したくもない。
「わかったよ。じゃあ、キスだけ。それなら、いいだろ?」
暁斗が少し視線を外して悩んだ素振りをみせたから、面白くなって、その隙に唇を押し当てた。互いに酔っているようで、いつにも増して、熱の籠った弾力を感じた。吐き出される熱い吐息からは、ワインの果物らしい香りと、アルコールの香りがした。
「佑介」
唇を離そうとすると、暁斗の手が後頭部に回って、更に深く唇を押し付けられた。舌を絡めて、角度を変えながら唇を重ね合わせていけば、身体がこの先の快楽を期待し始める。股間が熱く疼き出すのを感じながら、浅くなる吐息を重ね合わせていく。瞼を開くと、暁斗が悩ましげに眉を寄せていて、熱っぽく呻くのが、なんだか、妙に色っぽくて堪らない。お互いに動悸が早いのは、アルコールのせいだろうか。
服の中に入り込んできた暁斗の温かい手に、可笑しくなって、追ってくる舌から逃げるように唇を離した。
「キスだけって、言っただろ?」
「煽っておいて、ズルいですよ」
暁斗は熱っぽく瞳を潤ませていたけれど、困ったように、けれど、愉しそう笑ってみせた。
暁斗を横目で盗み見れば、改めてキラキラしたイケメンだな、と思った。もし俺が矢口暁斗だったなら、手当たり次第に可愛い女の子に声をかけたりして遊び回るだろう。そうして、この中で一番いい女の子を選んで、永遠の愛なんかを誓うかもしれない。そんな馬鹿馬鹿しい空想をしていると、思わず笑みが溢れた。
俺の視線に気がついて、暁斗は小首を傾げた。
「どうかしましたか?」
有沢は、矢口には隙がなくて気疲れしそうで付き合う対象にはならない、と言ったが、こんな整った顔をして、こんな小洒落た料理が作れるなんて、やはり女にモテそうだし、それなりに場数を踏んでいそうな気がした。前に連れて行ってくれたデートコースを思い出して苦笑いを浮かべてしまう。少なくとも俺よりも、ずっと、スマートな男だと思う。
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「暁斗」
唇を暁斗の顔に近づけたところで、暁斗の顔が背けられた。呆気に取られているうちに、パンッと乾いた音で、俺の手は払い除けられる。
「なんだよ」
いい雰囲気だったはずなのに、キスを拒まれて、面食らう。
「もう、酔っている佑介とはしないと決めたので」
「もしかして前に『無理やりされた』って言ったことを根に持っているのか?」
ヘラヘラと笑ってしまったのが気に触ったらしく、暁斗は口をへの字に曲げた。
「根に持ってなんかいませんよ。俺なりに反省しているんです」
すねた子供のように口を尖らせるものだから、なんだか、それがとても愛くるしく思えてしまう。払われた手を、もう一度、暁斗の頬に添えて、その瞳を覗き込んだ。
「泥酔してなかったら、別にしてもいいけど?」
「あの時も、酔ってないって言っていたんですよ」
「それは……」
酔っぱらいの戯言だ、と言いかけてやめた。今も立派な酔っぱらいであるし、こんなことで口論したくもない。
「わかったよ。じゃあ、キスだけ。それなら、いいだろ?」
暁斗が少し視線を外して悩んだ素振りをみせたから、面白くなって、その隙に唇を押し当てた。互いに酔っているようで、いつにも増して、熱の籠った弾力を感じた。吐き出される熱い吐息からは、ワインの果物らしい香りと、アルコールの香りがした。
「佑介」
唇を離そうとすると、暁斗の手が後頭部に回って、更に深く唇を押し付けられた。舌を絡めて、角度を変えながら唇を重ね合わせていけば、身体がこの先の快楽を期待し始める。股間が熱く疼き出すのを感じながら、浅くなる吐息を重ね合わせていく。瞼を開くと、暁斗が悩ましげに眉を寄せていて、熱っぽく呻くのが、なんだか、妙に色っぽくて堪らない。お互いに動悸が早いのは、アルコールのせいだろうか。
服の中に入り込んできた暁斗の温かい手に、可笑しくなって、追ってくる舌から逃げるように唇を離した。
「キスだけって、言っただろ?」
「煽っておいて、ズルいですよ」
暁斗は熱っぽく瞳を潤ませていたけれど、困ったように、けれど、愉しそう笑ってみせた。
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