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side-B
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男は玄関先で、じっとオレを上から下まで品定めするように眺めて、くすりと喉の奥で笑った。
「やっぱり東京にいるとお前でも垢抜けるんだな」
男はオレの頬に手を添えて、軽いキスをした。頬に添えられた手から熱が発するように、ゾクゾクと首筋が甘く痺れる。
二年前にも同じようなことをほざいていた。彼にとっては、オレはいつまでも大学時代の卑屈に媚を売ってる犬なのだろう。
ホテル代すらケチられて、彼と彼の彼女が同棲するアパートに来るように指図された。結婚式の前日だからと、実家で過ごすらしく、彼女は留守にしていた。
結婚前夜の自分の留守中に、男を家に連れ込んで自分達のベッドで、セックスするような男と結婚するのだと、新婦は知っているのだろうか。そんな仄暗い優越を感じるオレも、相当クズだな、なんて自嘲的な笑みが溢れた。
男はベッドに腰かけて、脱げよ、と尊大に言い放った。感じるべき屈辱感のようなものは、とうの昔に麻痺してしまっている。季節外れのマフラーを外すと、赤い首輪が露になる。
「首輪、つけてきたのか」
男は意地悪く口角を上げた。行為に及ぶときは、この首輪をつけるように強要したのは、彼だった。上半身を脱いで、少し躊躇しながら、下も脱いでいく。
「相変わらず、淫乱だな」
最初の頃こそ、丁寧に慣らしてくれたけれど、彼は面倒なことを嫌って「いつでもハメられるようにしとけよ」と酷な命令をくだすようになった。謂わば、習慣というやつだった。
しばらく使っていなかったから、この部屋に来る前に、自分で時間をかけて解して、彼のぺニスと同じサイズのプラグをハメて、ストッパーバンドで固定した。それこそ、すぐに彼がハメられるように。
歩く度に、中が擦れて喘ぎそうになるのを必死にこらえ、ここまで出向いてきた。彼はそれを、淫乱な変態の一言で一掃し、オレを言葉でなじった。
男はベッドに腰かけたまま、俺には床に座るように顎で指示をする。そうして、彼女のドレッサーの引き出しから、じゃらじゃらとヘアピンケースを取り出す。針金を直角に折り畳み、一つの先端を上に反らせた形をしている。最も普及しているヘアピンだ。
「いたいッ」
「痛いの好きだろ?」
男はオレの乳首にアメピンを挟みながら、愉快そうに笑う。
俺が苦痛に歪む顔を、彼は満足そうに眺めている。挟まれた乳首が痛くて、じんじんと熱を持ち、なぜだか淫らに体が火照っていく。
男の手が俺のぺニスに伸びて、ゴム製のコックリングをつけられる。ぎゅっと陰茎と陰嚢の根本が締め付けられ、彼に射精をコントロールされることに興奮してしまう。
男はジッパーを開けて、半勃ちのぺニスを見せつけてきた。ごくりと息を飲む。
「しゃぶれよ」
尊大に言い放った男の下に傅いて、ぺニスに舌を這わせる。陰嚢を口に含んで転がしたり、亀頭を愛撫したり、彼の悦ぶ愛撫は知っていた。
男は足の裏で、オレのぺニスをなぶったり、胸を突いたり、腰を打ち付けて喉の奥にぺニスを擦ったり、愉しそうに遊ぶ。
オレが、くぐもった悲鳴を上げてもお構い無しで、虐め倒してくる。
「ほら、プラグ抜いて、ねだってみせろよ」
言われた通りにストッパーバンドを外して、自分の手で、アナルプラグを取り出した。ズルズルとアナルから抜かれると、中が擦れて切なくなる。男の前に尻を突き出して、ぽっかりと空いたアナルを両手で拡げて、彼に捧げる。
「……ご……ご主人さまのぺニスをオレの淫乱なケツマンコにハメて下さい」
「変態」
男は嘲笑するように、ケタケタと笑い声を上げた。尻を掴まれて、バチンと一発叩かれた。ひっと悲鳴を上げた直後に、男のペニスが捩じ込まれる。
「あ、ああんッ……ひっ……あ……」
「気持ちいいか?」
男の手が尻を打つ。
彼は、オレに苦痛を強いるのが好きだ。尻を叩かれ、乳首を引っ張られ、首輪を引かれて首を絞められ、ぺニスをきつく叩かれる。涙を流して悲鳴と喘ぎを繰り返す俺に、彼はそっと頬に流れる涙を舐めとった。
「お前の泣いてるところは、すごく可愛い」
唇を重ねられる。
彼はキスだけは、いつも優しかった。優しいキスをされながら、乳首をギリギリとつねられた。
アナルに深くぺニスを捩じ込まれると、ダメだった。泣いて許しを乞いながら、吐きそうなほどの苦痛と快楽を混ぜ混まれて、無理やり飲み込まされる。意識が朦朧となりながら、オレはいつでも、彼から受ける被虐的な官能に身を焦がすことしかできないでいる。
「やっぱり東京にいるとお前でも垢抜けるんだな」
男はオレの頬に手を添えて、軽いキスをした。頬に添えられた手から熱が発するように、ゾクゾクと首筋が甘く痺れる。
二年前にも同じようなことをほざいていた。彼にとっては、オレはいつまでも大学時代の卑屈に媚を売ってる犬なのだろう。
ホテル代すらケチられて、彼と彼の彼女が同棲するアパートに来るように指図された。結婚式の前日だからと、実家で過ごすらしく、彼女は留守にしていた。
結婚前夜の自分の留守中に、男を家に連れ込んで自分達のベッドで、セックスするような男と結婚するのだと、新婦は知っているのだろうか。そんな仄暗い優越を感じるオレも、相当クズだな、なんて自嘲的な笑みが溢れた。
男はベッドに腰かけて、脱げよ、と尊大に言い放った。感じるべき屈辱感のようなものは、とうの昔に麻痺してしまっている。季節外れのマフラーを外すと、赤い首輪が露になる。
「首輪、つけてきたのか」
男は意地悪く口角を上げた。行為に及ぶときは、この首輪をつけるように強要したのは、彼だった。上半身を脱いで、少し躊躇しながら、下も脱いでいく。
「相変わらず、淫乱だな」
最初の頃こそ、丁寧に慣らしてくれたけれど、彼は面倒なことを嫌って「いつでもハメられるようにしとけよ」と酷な命令をくだすようになった。謂わば、習慣というやつだった。
しばらく使っていなかったから、この部屋に来る前に、自分で時間をかけて解して、彼のぺニスと同じサイズのプラグをハメて、ストッパーバンドで固定した。それこそ、すぐに彼がハメられるように。
歩く度に、中が擦れて喘ぎそうになるのを必死にこらえ、ここまで出向いてきた。彼はそれを、淫乱な変態の一言で一掃し、オレを言葉でなじった。
男はベッドに腰かけたまま、俺には床に座るように顎で指示をする。そうして、彼女のドレッサーの引き出しから、じゃらじゃらとヘアピンケースを取り出す。針金を直角に折り畳み、一つの先端を上に反らせた形をしている。最も普及しているヘアピンだ。
「いたいッ」
「痛いの好きだろ?」
男はオレの乳首にアメピンを挟みながら、愉快そうに笑う。
俺が苦痛に歪む顔を、彼は満足そうに眺めている。挟まれた乳首が痛くて、じんじんと熱を持ち、なぜだか淫らに体が火照っていく。
男の手が俺のぺニスに伸びて、ゴム製のコックリングをつけられる。ぎゅっと陰茎と陰嚢の根本が締め付けられ、彼に射精をコントロールされることに興奮してしまう。
男はジッパーを開けて、半勃ちのぺニスを見せつけてきた。ごくりと息を飲む。
「しゃぶれよ」
尊大に言い放った男の下に傅いて、ぺニスに舌を這わせる。陰嚢を口に含んで転がしたり、亀頭を愛撫したり、彼の悦ぶ愛撫は知っていた。
男は足の裏で、オレのぺニスをなぶったり、胸を突いたり、腰を打ち付けて喉の奥にぺニスを擦ったり、愉しそうに遊ぶ。
オレが、くぐもった悲鳴を上げてもお構い無しで、虐め倒してくる。
「ほら、プラグ抜いて、ねだってみせろよ」
言われた通りにストッパーバンドを外して、自分の手で、アナルプラグを取り出した。ズルズルとアナルから抜かれると、中が擦れて切なくなる。男の前に尻を突き出して、ぽっかりと空いたアナルを両手で拡げて、彼に捧げる。
「……ご……ご主人さまのぺニスをオレの淫乱なケツマンコにハメて下さい」
「変態」
男は嘲笑するように、ケタケタと笑い声を上げた。尻を掴まれて、バチンと一発叩かれた。ひっと悲鳴を上げた直後に、男のペニスが捩じ込まれる。
「あ、ああんッ……ひっ……あ……」
「気持ちいいか?」
男の手が尻を打つ。
彼は、オレに苦痛を強いるのが好きだ。尻を叩かれ、乳首を引っ張られ、首輪を引かれて首を絞められ、ぺニスをきつく叩かれる。涙を流して悲鳴と喘ぎを繰り返す俺に、彼はそっと頬に流れる涙を舐めとった。
「お前の泣いてるところは、すごく可愛い」
唇を重ねられる。
彼はキスだけは、いつも優しかった。優しいキスをされながら、乳首をギリギリとつねられた。
アナルに深くぺニスを捩じ込まれると、ダメだった。泣いて許しを乞いながら、吐きそうなほどの苦痛と快楽を混ぜ混まれて、無理やり飲み込まされる。意識が朦朧となりながら、オレはいつでも、彼から受ける被虐的な官能に身を焦がすことしかできないでいる。
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