とある元令嬢の選択

こうじ

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ロナウド

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 ミラーユが産まれて4年後、アメリアはある事について悩まされていた。

「お父様、ミラーユの事に関してですが……」

「ん? 何かあったのか?」

「最近、私の物を欲しい、と言う様になったんです」

 困った顔をしてアメリアは言った。

「アメリアの物を、か?」

「えぇ、お人形とか文房具やノート、最近ではアクセサリーとかを欲しい、と言うようになって……」

「うーん……」

 ロナウドは腕を組み考えていた。

 アメリアの物を欲しがるのはアメリアに対する憧れであろう。

 ただこれがエスカレートする様になったら問題になる。

 現在アメリアは9歳、もうすぐ社交デビューとなる。

 勿論身につける物は筆頭公爵家として一流の物を用意しなければならない。

 それを欲しい欲しい、と言う様になれば財政的な問題になる。

 それにいくら公爵令嬢だからと言って我儘を許すのは教育的に悪い。

「わかった、私から言っておこう」

「ありがとうございます、お父様」

 勿論ミラーユはまだ4歳、言ってわかる年齢ではない。

 マリアやメイドに話してもしミラーユがねだる事があったら興味を逸らさせる様に伝えた。

(子育てと言うのは難しいものだな)

 ロナウドは内心ため息を吐いていた。

(マリアは若干ミラーユに甘い所がある、ちょっと注意をせねばいけないな)

 ロナウドとマリアは幼い頃からの婚約を経て学園卒業と共に結婚した。

 夫婦仲は悪くない、と思っている、ただやはり夫婦と言っても他人で考え方の相違は否めない。

 マリアはどうも娘、特にミラーユに関して甘い所があり少々気にはしている。

 ロナウドは公爵としてもそうだが人として恥じない様にあれ、と思って悪い時は叱り良い時は褒める様にしている。

 当然だが不正なんて以てのほか。

 この考えは後々ロナウドを苦しめ、最終的に公爵家を去る決断をする事になる。   
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