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起こらないでほしい
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(…………見るのは二回目だけど、感動すら覚える景色……だね。うん)
三十一階層に戻って来たティールたち。
ティールは目の前の光景に感動を覚えながら、同時に絶望も感じていた。
理由は単純……これまでの階層と比べ、あまりにも調べなければならない範囲が広いと感じさせられる。
実際のところ、ティールのその感覚は……間違っていなかった。
平面の範囲だけ見れば、他の階層と大した差はないが、海エリアの場合は平面に加えて高さが追加される。
山岳エリアと似ていると言えば似ているが、探索慣れしていないエリアが大半となると、色々と事情が変わってくる。
「マスター、とりあえずこの……砂浜? という場所を探索するか?」
「……そうだな。何があるか解らないし、まずはここから調べるか」
大半が海、小島といった感じではあるが、降りてきた場所……砂浜はそれなりに広く、多くの木々もある。
ティールたちは探索しながら拠点として使えそうな場所を探し始めた。
(……あれって、多分食べられる果物だよな………………うん、悪いけどダンジョンコアが欲しいからな)
見たことがない果実ではあるが、直感的に食べられるはずだと感じ取り、一応打ち落として回収。
海の周辺にしか実らない果実であれば、ガルダンデードにとっては一種の名物となる。
湖の周辺には実らない果実であるため、人を呼ぶには十分な要素となる。
人が増えれば有能な人材も増え………ダンジョンを手に入れたとなれば、ガルダンデードの増築が行われる可能性もある。
「どうかしたか、マスター」
「ガルダンデードには申し訳ない事をするなと思ってな」
「まだ悩んでいるのか?」
「悩んではいないよ。ただ、このダンジョンから得られるであろう利益を考えるとな」
当然のことながら、ティールに村や街を治めた経験はない。
それでも、このダンジョンがどれほどの経済効果を生むのか、なんとなく想像することは出来た。
「……しかしだな、マスター。このダンジョンはファルティナの大秘境にあるんだ。ファルティナの大秘境は、サントレア王国のものでもあるのだろう」
「…………はぁ~~~~~。意識を傾けすぎるのも良くないな」
これまた当たり前過ぎることを忘れていたティール。
ファルティナの大秘境はカルティア王国のものだけではない。
両国の領地と被っているからこそ、二つの国は明確に区切ろうとはしなかった。
やろうと思えば出来なくはないものの、探索する者たちの中にちょっとぐらい中に入っても大丈夫だろうと考える者が絶対に現れる。
その現場を見てしまえば、侵入された側が当然咎め、争いに発展し……そのまま誰かが死んでもおかしくない。
そうなれば、死んだ者の立場にもよるが、小競り合いへと反転し、そのまま戦争に発展してもおかしくない。
「ティール、このダンジョンを放置しておけば、いずれ戦争が起こってもおかしくない」
「…………ですよね」
「戦争は……当然の事だが、良いものではない」
「……アキラさんは、経験したことがあるんですか?」
「いや、私はない。ただ、私の国では度々小競り合いがあってな。私は参加したことはないが、参加した者の話を聞いたことがある」
アキラはその話をしてくれた者が浮かべていた表情を……今でもよく覚えている。
「ティールはもし戦争が起これば、参加するだろう」
「すると言いますか……多分、強制参加でしょうね」
戦争が始まれば、全てのBランク冒険者やAランク冒険者が参加する訳ではない。
基本的に起こりえない話だが、本当に戦争が起こり、片方のBランクとAランク冒険者が全滅させられた場合、その国が負うダメージは計り知れない。
結果として負けてしまっても、経済力を失わない為にも、全員を参加させるわけにはいかない。
だが、ティールたちほど応用が利く戦力を遊ばせたくない……そう考える冒険者ギルドの判断は妥当である。
「……別の形で起こるとしても、数年以内には起きてほしくないですね」
「「?」」
ティールとしては、せめてアキラと共に行動している間は、彼女にとって嫌な記憶が残るような問題とは遭遇したくなかった。
三十一階層に戻って来たティールたち。
ティールは目の前の光景に感動を覚えながら、同時に絶望も感じていた。
理由は単純……これまでの階層と比べ、あまりにも調べなければならない範囲が広いと感じさせられる。
実際のところ、ティールのその感覚は……間違っていなかった。
平面の範囲だけ見れば、他の階層と大した差はないが、海エリアの場合は平面に加えて高さが追加される。
山岳エリアと似ていると言えば似ているが、探索慣れしていないエリアが大半となると、色々と事情が変わってくる。
「マスター、とりあえずこの……砂浜? という場所を探索するか?」
「……そうだな。何があるか解らないし、まずはここから調べるか」
大半が海、小島といった感じではあるが、降りてきた場所……砂浜はそれなりに広く、多くの木々もある。
ティールたちは探索しながら拠点として使えそうな場所を探し始めた。
(……あれって、多分食べられる果物だよな………………うん、悪いけどダンジョンコアが欲しいからな)
見たことがない果実ではあるが、直感的に食べられるはずだと感じ取り、一応打ち落として回収。
海の周辺にしか実らない果実であれば、ガルダンデードにとっては一種の名物となる。
湖の周辺には実らない果実であるため、人を呼ぶには十分な要素となる。
人が増えれば有能な人材も増え………ダンジョンを手に入れたとなれば、ガルダンデードの増築が行われる可能性もある。
「どうかしたか、マスター」
「ガルダンデードには申し訳ない事をするなと思ってな」
「まだ悩んでいるのか?」
「悩んではいないよ。ただ、このダンジョンから得られるであろう利益を考えるとな」
当然のことながら、ティールに村や街を治めた経験はない。
それでも、このダンジョンがどれほどの経済効果を生むのか、なんとなく想像することは出来た。
「……しかしだな、マスター。このダンジョンはファルティナの大秘境にあるんだ。ファルティナの大秘境は、サントレア王国のものでもあるのだろう」
「…………はぁ~~~~~。意識を傾けすぎるのも良くないな」
これまた当たり前過ぎることを忘れていたティール。
ファルティナの大秘境はカルティア王国のものだけではない。
両国の領地と被っているからこそ、二つの国は明確に区切ろうとはしなかった。
やろうと思えば出来なくはないものの、探索する者たちの中にちょっとぐらい中に入っても大丈夫だろうと考える者が絶対に現れる。
その現場を見てしまえば、侵入された側が当然咎め、争いに発展し……そのまま誰かが死んでもおかしくない。
そうなれば、死んだ者の立場にもよるが、小競り合いへと反転し、そのまま戦争に発展してもおかしくない。
「ティール、このダンジョンを放置しておけば、いずれ戦争が起こってもおかしくない」
「…………ですよね」
「戦争は……当然の事だが、良いものではない」
「……アキラさんは、経験したことがあるんですか?」
「いや、私はない。ただ、私の国では度々小競り合いがあってな。私は参加したことはないが、参加した者の話を聞いたことがある」
アキラはその話をしてくれた者が浮かべていた表情を……今でもよく覚えている。
「ティールはもし戦争が起これば、参加するだろう」
「すると言いますか……多分、強制参加でしょうね」
戦争が始まれば、全てのBランク冒険者やAランク冒険者が参加する訳ではない。
基本的に起こりえない話だが、本当に戦争が起こり、片方のBランクとAランク冒険者が全滅させられた場合、その国が負うダメージは計り知れない。
結果として負けてしまっても、経済力を失わない為にも、全員を参加させるわけにはいかない。
だが、ティールたちほど応用が利く戦力を遊ばせたくない……そう考える冒険者ギルドの判断は妥当である。
「……別の形で起こるとしても、数年以内には起きてほしくないですね」
「「?」」
ティールとしては、せめてアキラと共に行動している間は、彼女にとって嫌な記憶が残るような問題とは遭遇したくなかった。
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