あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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聞こえた悲鳴

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いつも通り朝食と食べた後は森の中に入って狩りを行うティール。
しかし今日は少し遠くに行ってみようと思い、身体強化と脚力強化を使用して村から離れた位置で狩りを行う。

幸いにもその場所で遭遇するモンスターは大した強さを持っておらず、ティールの実力でも余裕で倒せる。
何体かは真面目に戦わなければいけないモンスターもいたが、やはりグレーグリズリーの時の様な恐怖感を感じることは無かった。

だが、まだ昼過ぎ頃にティールは一つの悲鳴を聞いた。

「……道の方から悲鳴? が聞こえたが」

森の中では一度も人と遭遇したことが無いティールだが、森の中で悲鳴が起こるとなれば考えられることは少ないという事は解かっている。

モンスターに襲われたか盗賊に襲われたのかの二択。
その二つが頭の中に浮かんだ。

(どうするべきか……確かに俺は強くなった。しかしさっきの悲鳴を上げた人物を助けられるかどうかは……ちっ、迷っても意味は無いな)

一度聞いてしまった悲鳴を見過ごす程ティールは人でなしでは無く、とりあえず悲鳴が聞こえた先に向かって駆け出す。
そして全力で走り抜けること三十秒ほど……なぜ悲鳴が聞こえてきたのかティールは理解した。

「……そりゃ悲鳴を上げる訳だ」

一目で豪華だと分かる馬車とその護衛者がオークの群れに襲われている。
オーク、人型で豚の顔をしたランクはDのモンスター。女性たちからはゴブリンと同様に忌み嫌われるモンスター。

だが、その肉はかなり美味。
それ故に食料としては重宝されている。

ティールは過去に何度かオークと対峙したことがあり、最初の一体を不意打ちで瞬殺。
そのお陰で後の数体は特に恐怖意識を持つことなく冷静に対処し討伐に成功した。

だが、今回はそんなオーク達を束ねる者がいた。
それはオークリーダー、冒険者達からはほぼランクCだと言われているランクDのモンスター。
オークの上位種となるウォーリアーやメイジにタンクなどの様に何か戦力に特化しているという訳では無い。

それでも基礎的な能力は通常のオークよりも高い。
そしてオークリーダーにはオークの能力を少々上げるスキルを有している。
統率者。これは大勢の者を従えた者が得られるスキルであり、人であってもモンスターであっても習得することが出来る。

(今のところ死人はいない様だけど……それも時間の問題か)

馬車を守っている護衛者は皆女。
女だからって弱いとは思わないティールだが、肉体派のオークにはそれなりのレベルが無いと厳しいだろうと感じた。

だが、護衛者が全員女だからこそまだ誰も死人が出ていないとも言える。

オークはゴブリンと同様に性欲の根源とも呼ばれ、まさしく性欲のモンスター。
そんなオークが目の前の女性をそう簡単に殺す訳が無く、オーク達としては自分達の巣に持って帰って楽しみたいと思っている。

「リースさんから貰ったこれを付けるか」

もし人と遭遇しそうになった時に正体がバレない為の道具としてティールはリースからマジックアイテムの仮面を渡されていた。

声も変えることが出来るのでより正体がバレにくくなる。

そして戦う事を決意したティールは複数の石を掴み、全てに魔力を纏わせる。

(全力で殺す)

そして三回ほど全力投球を行う。狙いは一撃必殺の頭部。
投擲時に腕力強化と身体強化と脚力強化を使用したことで威力は増加され、投擲スキルによるコントロール補正で頭部を正確に捉える。

全てのオークに魔力で強化された石がヒットし、そのまま貫いた。
突然の第三者からの攻撃に驚く護衛者達。

だが、全てを倒し切れておらず……オークリーダーだけはティールの投擲をギリギリのところで躱していた。
それでも想定外の攻撃であり、表情に焦りが浮かぶ。

そして攻撃が飛んできた方向に慌てて視線を向ける。
しかしそこには誰もいなかった。

「そっちにはいねぇよ。死ね、アシッドドラゴン」

投擲を放ち終えると同時に宙を飛んでいたティールは既にスキルレベルが一流と呼べる段階まで上げた酸を使用し、オリジナルの攻撃である酸のドラゴンを生み出してオークリーダーの真上からぶつける。

突然現れたドラゴン。
その状況と攻撃に対処することがオークリーダーには出来ず……その前身のほとんどを溶かされて命を落とした。

「ちっ、やっぱり魔石まで溶かしてしまったか」

ティールとしては魔石は回収しておきたかったが、余裕ぶっていられる相手でも無いので全力で攻撃を行った。
その結果見事瞬殺するとに成功はしたが、体の殆どを消してしまうという状態になってしまった。

(とりあえずこいつが持っているスキルだけ奪ってしまう。幸いにもまだ魔力量には余裕がある)

オークリーダーが持つスキルを奪うことには問題が無い。
ただ、流石にこの場を速攻で去るのは不可能かと思い、どう対応するか悩むティールだった。
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