あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

文字の大きさ
33 / 833

その角は一応危険

しおりを挟む
街を出たティールはソルートから一番近い森に入り、三体のスライムを探し始める。

「結構広そうな森だけど、スライムぐらいすぐに見つかるだろう」

パレス村で生活していた時も村の外の森でスライムなどの珍しく無いモンスターは直ぐに見つかる。
なので今回の討伐依頼に必要なスライムの体液も直ぐに見つかるだろうと考えている。

(今回はただ狩るんじゃなくて依頼って事を意識した方が良いよな。魔石だって買い取ってもらうことが出来るんだし)

村で生活していた時、ティールはモンスターの素材を壊さずに手に入れる事に関してそこまで苦手では無かった。
しかし躊躇無く攻撃を放った場合はうっかり潰してしまう事がある。

「……スライムに出会う前に先ずはホーンラビットの討伐か」

木の陰から現れたモンスターはホーンラビット。
過去にティールは何度も倒しており、特にどう倒すかなどを考える必要は無い。

ただ、一般的な冒険者になりたての者達からすれば警戒しなければならない相手だ。
額から生えるその角は新人冒険者の体を容易に貫く。

避けるか盾でガードするかの対処を取らなければ大怪我を負う可能性がある。

「フシュゥ~~~~……ッ!!!!」

「まっ、そういうパターンで攻撃してくるよな」

脚力強化を使用してからの突進。その突進は個体によっては突進スキルを発動しての攻撃。
それは普通の突進とは違い、身体能力が突進時のみ強化されてホーンラビットの場合はその角の貫通力も増す。

(この突進で腹に大きな穴を開けられてしまうルーキーがいるという話を二人から聞いたけど……単に横に躱せば良いだけだよな)

ティールはいつも通りホーンラビットの突進を躱して手に持っていた石ころを投擲する。

投擲も突進と似たような効果を持つスキルであり、投擲という動作を行う際には使用者の腕力とコントロールが向上される。

投擲はもはやプロの領域と呼べる域に達しているティールの投擲をホーンラビットの様なモンスターが躱せる訳が無く、耐える事も出来ない。

結果頭部を横から貫かれてそのまま地面に落ちて動かなくなる。

「……よし、相変わらず絶好調だな」

ホーンラビットを倒し終えたティールはそのまま解体作業に移り、手際良く捌いていく。
ティールの解体の腕は既にベテランの腕前と変わらず、ホーンラビットの大きさ程度であれば大した時間も掛からず終わってしまう。

「肉は……今食べてしまうか」

朝食を食べてからそこそこ時間が経っていたのでティールは空腹を満たすために木の魔力で薪用の騎を生み出し、おれに火の魔力から生み出した火を付けてホーンラビットの肉を焼いていく。

「……うん、こんなもんで大丈夫かな?」

焼けた肉をそのまま大きな口でかぶりつき、次々と肉を腹に収めていく。
ホーンラビットの血の匂いや焼き肉の匂いに他のモンスターが惹かれてやって来てもおかしくは無かったが、ティールの食事中に他のモンスターがやって来ることは無く、昼食の邪魔をされることは無かった。

「さて、探索を再開するか」

魔石と角に毛皮もいっかりと亜空間に入れて再びスライムを探し出す。

「なんか、村の近くの森とあんまり雰囲気は変わらないんだな」

少し前まで探索していた森と比べて現在行動している森を比べても、感じてしまう緊張の度合いは対いして変わらない。
それにティールは少しつまらないなと思うが、それはまだティールがこの森で生息するモンスター全てに会ったことが無いからそう思えるだけ。

ティールがグレーグリズリーに対して感じた恐怖を与えるモンスターがこの森にはいない……なんて保証はどこにもない。

気が少し緩みながらスライムの捜索を続けること一時間、ホーンラビットと似たような実力程度のモンスターと遭遇して戦うことがあったが、無事全てに勝利。

そしていよいよお目当てのスライムと遭遇する。
しかしその数は討伐依頼に必要な数より多く、五体いた。

「まっ、別に倒す数が多くても構わない」

ティールは再び石ころを投擲。
敵の存在に気付いて行動に移ろうとするスライム達だが時すでに遅く、放たれた石ころはスライム達の魔石を体から押し出していく。

そしてそれは一体の魔石を押し出すだけでは終わらず、五体全ての魔石を石ころで押し出してしまった。

「よし、上手く行って良かったよ。魔石もお金になるから出来れば壊れて欲しくなかったし」

石ころを投げる際に魔力を消費し、自身の意志で軌道を変えた。
その結果スライム達は何もすることが出来ずに第二の心臓と言われている魔石を取り出され……短い人生が終わってしまった。
しおりを挟む
感想 123

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

〈完結〉貴女を母親に持ったことは私の最大の不幸でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」ミュゼットは初潮が来た時に母から「唯一のこの家の女は自分」という理由で使用人の地位に落とされる。 そこで異母姉(と思っていた)アリサや他の使用人達から仕事を学びつつ、母への復讐を心に秘めることとなる。 二年後にアリサの乳母マルティーヌのもとに逃がされた彼女は、父の正体を知りたいアリサに応える形であちこち飛び回り、情報を渡していく。 やがて本当の父親もわかり、暖かい家庭を手に入れることもできる見込みも立つ。 そんな彼女にとっての母の最期は。 「この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。」のミュゼットのスピンオフ。 番外編にするとまた本編より長くなったりややこしくなりそうなんでもう分けることに。

ありふれた聖女のざまぁ

雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。 異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが… 「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」 「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」 ※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。

追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている

潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結 新作 【あやかしたちのとまり木の日常】 連載開始しました。

処理中です...