あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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試運転

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「とりあえず、軽く体を動かすか」

バースから豹雷を受け取った翌日、冒険者ギルドで依頼を受けることは無く、一人で森の中へと入った。
そして先日買った豹雷の使い心地を試すために、今はソロで森の中へと入ってモンスターを探している。

「ランク五とランク六の魔剣と魔刀……絶対に初心者が持つような武器じゃ無いよな」

疾風瞬閃と豹雷。確かにまだ冒険者になって一か月も経っていないルーキーが持つような武器では無い。
貴族のボンボンが親の過保護を受けて初期の段階から高性能なマジックアイテムや武器を有している場合はあるが、ティールは完全に庶民出身。普通に考えれば絶対にあり得ない豪華な装備だ。

(……というか、まずは一般的な刀という武器が欲しかったな。普段から使うには少し躊躇うと言うか……明日バースさんに聞いてみよう)

本日もビクビクすること無く森の中を探索する。
そして最初に遭遇した魔物はボア。

突進力は凄いが、動きが直線的なモンスターなのでティールとしては倒しやすいモンスターに分類している。
ただ、その日は二体同時を相手にする事になった。
多少頭を使う個体であり、両側から突進してティールを潰そうとする。

(それなりに考えてるかもしれないが、お前らの特徴を考えればそれは無謀な作戦じゃないか?)

突進してくるタイミングは同じので、紙一重の瞬間にティールは上に跳んで突進を躱す。

「「ボガッ!!??」」

ボアは二体とも脳天を強打し、死にはしないが少しの間動けなくなる。

「意外と頑丈なんだな」

今の衝撃で脳が潰れたのではと思ったが、しぶとく生きている。
なのでマジックブレードで脳天をぶっ刺し、楽にボアの毛皮や肉を手に入れた。

「……しまった、豹雷を使わずに倒してしまった」

体が通常運転で動いてしまい、豹雷を使わずに戦闘を終えてしまったティール。
平常運転で動けるのは悪い事では無いが、やはり豹雷の使い心地を先ずは試したい。

そう思いながら森の中をぶらぶらと歩くことニ十分、丁度良いモンスターを見つけた。

「オークか……人型のタイプだし、豹雷の効果を試すにはピッタリの相手だな」

オークの真正面から堂々と現れ、戦意を向けるティール。
そして売られた喧嘩は買うスタイルのオーク。

戦闘開始の合図は無く、先にオークから仕掛ける。
手には木で作られた棍棒を持っているが、それには魔力が纏われている。

(魔力操作が得意なオークか……成長したら面倒な上位種になりそうだな)

ある程度長く生きていれば武器や体に魔力を纏えるようになるが、生まれてからそこまで経っていない個体が魔力を纏い始める事は珍しい。

(今日のうちに出会えて良かったな)

上位種に進化すればそれだけ素材の価値は上がるが、厄介な敵になることは間違いない。

オークはティールを叩き潰すように全力で棍棒を振り回し続ける。
しかしティールに当たる気配は一向に無い。

(……なるほどな、確かに脚力が強化されている気がする。魔力を消費していないのに身体能力が強化されるのは本当に有難いな)

二分ほどオークの攻撃が続くのだが、どの攻撃もティールに掠りもしない。
モンスターは人と比べてスタミナが多く、オークはまだまだ動くことが出来る……だが、その表情焦りが浮かび始める。

いつもなら自分が二分を攻撃し続けていれば決着はついていた。
しかし目の前の人の子供には全く自分の攻撃が当たらない。
その嫌な事実を掻き消すように雄叫びを上げ、身体強化も使用して再びティールに襲い掛かる。

「それは……俺も使った方が良いかも」

豹雷の脚力強化だけは少々不安になり、ティールも身体強化のスキルを使用する。
お互いの脚力や腕力が強化されたので、最終的な結果は何も変わらない。

(……付与効果の速さは確認出来たし、そろそろ終わらせるか)

ここでようやくティールは鞘から豹雷を抜いて構える。
頭に後退という文字が無いオークはそのまま棍棒を上段から振り下ろすが、それも躱されてしまう。
そして棍棒が地面に叩きつけられた瞬間、ティールの豹雷が動く。
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