149 / 833
匂いに釣られて
しおりを挟む
「……お前らも朝早いんだな」
起きてから既に酸のミニドラゴンによって殺された死体を解体し、朝食を作っている途中で数体のバンデットゴブリンが徐々に迫って来ていた。
(気配を消すのが上手いな……バンデットか)
通常のゴブリンより一回り大きく、気配を消すのが上手い上位種。
だが、ティールの包囲網を潜れるほど隠れるのが上手くはなかった。
即座に落ちている石ころを拾い、それなりの力を込めて投げた。
「「「グギャッ!!??」」」
木々に隠れていて、ティールからは見えない位置に立っていた。
それでも隠れている場所を把握されており、投擲のスキルを使用して投げられた石ころは途中で軌道を変えて頭を貫いた。
「バンデットとはいっても、ゴブリンなら魔力を纏わなくても平気だったみたいだな」
急いで朝食を食べ終わり、魔石だけを回収して後始末をして出発。
本日も素の状態で走り続け、すれ違う人たちを驚かす。
「……なぁ、今走って行ったのは子供だよな」
「そ、そうだな……普通に考えて危ねぇよな」
商人を護衛していた冒険者はすれ違ったティールの顔を確認でき、まさかの子供が一人で野道を走っている姿に少々驚き固まってしまった。
「でも、格好は冒険者ぽかったぞ」
「だからって一人でこの道を歩く……いや、走るか?」
「だよなぁ~~。ここ、普通にモンスターが森から飛び出して襲ってくるし」
そもそもよっぽどの理由がなければ、走りながら次の街に移動したりはしない。
モンスターがいつ襲ってくるかも分からない状況で、不用意にスタミナを減らすのはいくら早く次の街に着きたいとはいえ得策ではない。
「声を掛けた方が良かった気がしなくもないが……もう見えないもんな」
「だな。もしかしてスタミナを強化する系のギフトを持ってるんじゃねぇのか? それなら朝からあれだけ全力疾走できるのも納得だ」
二人は完全にティールが身体強化、もしくは脚力強化を使用しながら走っていると考えていた。
だが、実際は強化系のスキルを一切使っていない。
二人と同じ様なことを考える者が道中に多くいたが、全ての憶測が外れていた。
「チッ!!!」
昼食と昼休憩を挟み、スタミナを回復させてから元気良く出発してから約二時間後、モンスターから奇襲を受ける。
(ウィンドボールとダークボール……上位種のメイジがいるのか?)
飛んできた攻撃魔法を刃に魔力を纏って弾き、ダメージはない。
だが、いきなり奇襲が飛んできたことに苛立ちが漏れた。
(随分と的確。それに攻撃魔法を撃った後に直ぐ他の個体が飛び出してこない……戦い慣れてるか、それとも自頭が良いのか)
どちらの可能性もある。
気配感知を使用して調べたところ、数が十を超えていて漏らさずに殺すのは少し骨が折れる。
(直ぐ終わるだろうし、重ねてやるか)
いつも通り身体強化と脚力強化を重ねて発動。
次に空いている左手に風の魔力を纏い、いつでも魔法が放てるようにセット。
「よし……逃げるなよ~~」
全力で駆け出し、一瞬にしてコボルトメイジの背後を取った。
「ッ!!」
「遅い」
まずは面倒なメイジを一体、そして攻撃魔法を発動しようとしているもう一体のメイジも瞬殺。
「……もう面倒な奴はいないな」
一瞬にして自分たちの司令塔二人が殺されてしまった。
残りのコボルトたちは驚き固まり、敵を殺そうと動き出した瞬間には視界が不自然に動いた。
ロングソードの刃で首を斬り裂かれ、心臓をブスっと貫く。
風の弾丸で脳天を貫き、風の刃で頭部を豆腐に切り込みを入れるようにプスッと一刺し。
瞬く前にコボルトの群れは壊滅した。
「後は……いないな。良かった良かった討ち漏らしはないみたいだな」
ホッと一安心し、今度はまたまた解体作業に取り掛かる。
アシッドミニドラゴンが倒したモンスターを解体し、その後に朝食の匂いに釣られてやって来たバンデットゴブリンを倒して解体。
そして今度はコボルトの事態を十体以上を解体。
一日に何度も血を見るのに萎える者もいるが……ティールからすれば慣れたもの。
一日の間に何度もモンスターに遭遇するなど、村で生活している頃は当たり前だった。
今は街から街へ続く道を移動してることもあって遭遇する数は少なくなっている。
(コボルトでも毛皮と肉、爪や牙は売れる。綺麗に解体しないとな)
解体の腕によってギルドでの買取価格はそれなりに変化する。
モンスターと遭遇することや、死体を解体することに慣れ過ぎているティールは道中が苦だとは全く思わず突き進んでいった。
起きてから既に酸のミニドラゴンによって殺された死体を解体し、朝食を作っている途中で数体のバンデットゴブリンが徐々に迫って来ていた。
(気配を消すのが上手いな……バンデットか)
通常のゴブリンより一回り大きく、気配を消すのが上手い上位種。
だが、ティールの包囲網を潜れるほど隠れるのが上手くはなかった。
即座に落ちている石ころを拾い、それなりの力を込めて投げた。
「「「グギャッ!!??」」」
木々に隠れていて、ティールからは見えない位置に立っていた。
それでも隠れている場所を把握されており、投擲のスキルを使用して投げられた石ころは途中で軌道を変えて頭を貫いた。
「バンデットとはいっても、ゴブリンなら魔力を纏わなくても平気だったみたいだな」
急いで朝食を食べ終わり、魔石だけを回収して後始末をして出発。
本日も素の状態で走り続け、すれ違う人たちを驚かす。
「……なぁ、今走って行ったのは子供だよな」
「そ、そうだな……普通に考えて危ねぇよな」
商人を護衛していた冒険者はすれ違ったティールの顔を確認でき、まさかの子供が一人で野道を走っている姿に少々驚き固まってしまった。
「でも、格好は冒険者ぽかったぞ」
「だからって一人でこの道を歩く……いや、走るか?」
「だよなぁ~~。ここ、普通にモンスターが森から飛び出して襲ってくるし」
そもそもよっぽどの理由がなければ、走りながら次の街に移動したりはしない。
モンスターがいつ襲ってくるかも分からない状況で、不用意にスタミナを減らすのはいくら早く次の街に着きたいとはいえ得策ではない。
「声を掛けた方が良かった気がしなくもないが……もう見えないもんな」
「だな。もしかしてスタミナを強化する系のギフトを持ってるんじゃねぇのか? それなら朝からあれだけ全力疾走できるのも納得だ」
二人は完全にティールが身体強化、もしくは脚力強化を使用しながら走っていると考えていた。
だが、実際は強化系のスキルを一切使っていない。
二人と同じ様なことを考える者が道中に多くいたが、全ての憶測が外れていた。
「チッ!!!」
昼食と昼休憩を挟み、スタミナを回復させてから元気良く出発してから約二時間後、モンスターから奇襲を受ける。
(ウィンドボールとダークボール……上位種のメイジがいるのか?)
飛んできた攻撃魔法を刃に魔力を纏って弾き、ダメージはない。
だが、いきなり奇襲が飛んできたことに苛立ちが漏れた。
(随分と的確。それに攻撃魔法を撃った後に直ぐ他の個体が飛び出してこない……戦い慣れてるか、それとも自頭が良いのか)
どちらの可能性もある。
気配感知を使用して調べたところ、数が十を超えていて漏らさずに殺すのは少し骨が折れる。
(直ぐ終わるだろうし、重ねてやるか)
いつも通り身体強化と脚力強化を重ねて発動。
次に空いている左手に風の魔力を纏い、いつでも魔法が放てるようにセット。
「よし……逃げるなよ~~」
全力で駆け出し、一瞬にしてコボルトメイジの背後を取った。
「ッ!!」
「遅い」
まずは面倒なメイジを一体、そして攻撃魔法を発動しようとしているもう一体のメイジも瞬殺。
「……もう面倒な奴はいないな」
一瞬にして自分たちの司令塔二人が殺されてしまった。
残りのコボルトたちは驚き固まり、敵を殺そうと動き出した瞬間には視界が不自然に動いた。
ロングソードの刃で首を斬り裂かれ、心臓をブスっと貫く。
風の弾丸で脳天を貫き、風の刃で頭部を豆腐に切り込みを入れるようにプスッと一刺し。
瞬く前にコボルトの群れは壊滅した。
「後は……いないな。良かった良かった討ち漏らしはないみたいだな」
ホッと一安心し、今度はまたまた解体作業に取り掛かる。
アシッドミニドラゴンが倒したモンスターを解体し、その後に朝食の匂いに釣られてやって来たバンデットゴブリンを倒して解体。
そして今度はコボルトの事態を十体以上を解体。
一日に何度も血を見るのに萎える者もいるが……ティールからすれば慣れたもの。
一日の間に何度もモンスターに遭遇するなど、村で生活している頃は当たり前だった。
今は街から街へ続く道を移動してることもあって遭遇する数は少なくなっている。
(コボルトでも毛皮と肉、爪や牙は売れる。綺麗に解体しないとな)
解体の腕によってギルドでの買取価格はそれなりに変化する。
モンスターと遭遇することや、死体を解体することに慣れ過ぎているティールは道中が苦だとは全く思わず突き進んでいった。
98
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
〈完結〉貴女を母親に持ったことは私の最大の不幸でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」ミュゼットは初潮が来た時に母から「唯一のこの家の女は自分」という理由で使用人の地位に落とされる。
そこで異母姉(と思っていた)アリサや他の使用人達から仕事を学びつつ、母への復讐を心に秘めることとなる。
二年後にアリサの乳母マルティーヌのもとに逃がされた彼女は、父の正体を知りたいアリサに応える形であちこち飛び回り、情報を渡していく。
やがて本当の父親もわかり、暖かい家庭を手に入れることもできる見込みも立つ。
そんな彼女にとっての母の最期は。
「この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。」のミュゼットのスピンオフ。
番外編にするとまた本編より長くなったりややこしくなりそうなんでもう分けることに。
ありふれた聖女のざまぁ
雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。
異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが…
「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」
「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」
※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
新作
【あやかしたちのとまり木の日常】
連載開始しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる