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異性の目を惹く見た目
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実戦という名の軽い運動を終えた二人は街に戻り、冒険者ギルドでラストの冒険者登録を行った。
そしてそのまま素材や魔石の換金を行い、受付嬢はその結果に少々驚いていたが滞りなく換金は終了。
ただ、少し前まで一人で行動していた子供の冒険者が突然竜人の青年と行動を始め、パーティーを組んだことに少なからず驚く者がいた。
そのメンバーが竜人族の青年……しかもイケメンということもあり、多くの受付嬢や女性冒険者がラストの容姿に惹かれていた。
「……ティールさん、なにやら多くの視線を感じるのだが」
「俺は今までソロで行動してたからな。あと……ラストがカッコいいから、女の人たちは目で追ってしまうんじゃないか?」
「そ、そうなのか?」
基本的に戦闘などにしか興味がないラストはそういった気持ちや視線には疎かった。
(自分で選んでおいてあれだけど……本当にカッコ良いよな。体も引き締まってるし、見た目に負けない強さを持ってるし……文句なしだよな)
ここまで色々と揃っている男が傍にいれば、自分が気になった女性は全員ラストのことを気になってしまうかもしれない。
そんな可能性があることをティールは完全に忘れていた。
だが、そんな可能性が頭に浮かぶことはなく、二人は夕食を酒場に入って夕食を食べ始めた。
「ティールさん、本当に椅子に座って食べても良いのか?」
「別に構わないって。というか、グローブしてるんだから分からないだろ」
ラストは指先が出るタイプのグローブを身に着けているので、奴隷紋が他者から見えることはない。
「さて、明日はどうしようか……悩むな」
「ティールさんの実力なら、ヤドラスの遺跡も探索可能だと思うが」
「それなりに自信はあるけど……遺跡の中以外にも面白い敵はいるからな。この前ギルドのクエストボードにサイクロプスの居場所や手掛かりを探して欲しいって依頼があったんだよ」
「サイクロプス……Cランクの巨人タイプのモンスターか。それなりに強いモンスターだな」
奴隷になる前にラストはサイクロプスと戦ったことがある。
スピードでは勝っていたので、攻撃を一撃も貰うことなく倒せた。
だが、サイクロプスの攻撃が空を切る度に冷や汗を流したのを覚えている。
「どうせなら倒したいと思って森の中をかなり探し回ったんだよ。そしたら最終的に見つかってな。中々楽しい戦いができたのを覚えてる」
「……サイクロプスとの一戦が楽しい戦い、か。本当にティールさんはずば抜けているな」
「鍛えてきたからな。でも、ラストだってもう少し強くなればサイクロプスぐらい、丁度良い相手になるよ。今だって超集中して戦えば勝てるだろ」
「あぁ、確かに勝てる」
ティールから質の良い武器や防具を買ってもらい、奥の手の武器としてブラッディ―タイガーの素材から造られた斬馬刀がある。
斬馬刀を使えば負ける気が全くしない。
(あの斬馬刀があれば確実に勝てる。だが、それに頼るような真似をしてはならない。素の力で勝てるようにならなければ)
ティールから貸してもらっている武器の性能が解るからこそ、それに頼り過ぎることは誇り高き竜人として許せない。
「だろ。ただ……一応冒険者として活動してるから依頼も受けないとなんだよな」
「ふむ、確かにそうかもしれないな。討伐系の依頼をメインで受けるのか?」
「俺としては面白そうな依頼なら討伐系以外でも受けるつもりだ」
いかにも冒険者らしい考えと言えるだろう。
その考えを特に否定することはなく、そういった考えもありだなとラストは思った。
「それでは、明日はまず冒険者ギルドに行くのだな」
「そうだな。でも、朝早く起きるのは辛いから、のんびり寝てから行く」
「……ティールさんの決定を否定する気はないが、冒険者は朝早くからギルドに訪れて依頼を探すものではないのか?」
ラストの頭にはそういった知識が入っていたが、それは決して間違っていない。
間違ってはいないが、その常識にティールは当てはまらない。
「朝から冒険者が勝ち取ろうとする依頼は割の良い依頼だ。別に金には困っていないから冒険者たちが引いた後にのんびり面白そうな依頼を探せば良いんだよ」
ラストを買ったことで結果的に白金貨五枚と装備代が懐から消えたが、ティールの懐にはまだ金貨や銀貨がそれなりにあるので、わざわざ割の良い依頼を探す必要は全くなかった。
そしてそのまま素材や魔石の換金を行い、受付嬢はその結果に少々驚いていたが滞りなく換金は終了。
ただ、少し前まで一人で行動していた子供の冒険者が突然竜人の青年と行動を始め、パーティーを組んだことに少なからず驚く者がいた。
そのメンバーが竜人族の青年……しかもイケメンということもあり、多くの受付嬢や女性冒険者がラストの容姿に惹かれていた。
「……ティールさん、なにやら多くの視線を感じるのだが」
「俺は今までソロで行動してたからな。あと……ラストがカッコいいから、女の人たちは目で追ってしまうんじゃないか?」
「そ、そうなのか?」
基本的に戦闘などにしか興味がないラストはそういった気持ちや視線には疎かった。
(自分で選んでおいてあれだけど……本当にカッコ良いよな。体も引き締まってるし、見た目に負けない強さを持ってるし……文句なしだよな)
ここまで色々と揃っている男が傍にいれば、自分が気になった女性は全員ラストのことを気になってしまうかもしれない。
そんな可能性があることをティールは完全に忘れていた。
だが、そんな可能性が頭に浮かぶことはなく、二人は夕食を酒場に入って夕食を食べ始めた。
「ティールさん、本当に椅子に座って食べても良いのか?」
「別に構わないって。というか、グローブしてるんだから分からないだろ」
ラストは指先が出るタイプのグローブを身に着けているので、奴隷紋が他者から見えることはない。
「さて、明日はどうしようか……悩むな」
「ティールさんの実力なら、ヤドラスの遺跡も探索可能だと思うが」
「それなりに自信はあるけど……遺跡の中以外にも面白い敵はいるからな。この前ギルドのクエストボードにサイクロプスの居場所や手掛かりを探して欲しいって依頼があったんだよ」
「サイクロプス……Cランクの巨人タイプのモンスターか。それなりに強いモンスターだな」
奴隷になる前にラストはサイクロプスと戦ったことがある。
スピードでは勝っていたので、攻撃を一撃も貰うことなく倒せた。
だが、サイクロプスの攻撃が空を切る度に冷や汗を流したのを覚えている。
「どうせなら倒したいと思って森の中をかなり探し回ったんだよ。そしたら最終的に見つかってな。中々楽しい戦いができたのを覚えてる」
「……サイクロプスとの一戦が楽しい戦い、か。本当にティールさんはずば抜けているな」
「鍛えてきたからな。でも、ラストだってもう少し強くなればサイクロプスぐらい、丁度良い相手になるよ。今だって超集中して戦えば勝てるだろ」
「あぁ、確かに勝てる」
ティールから質の良い武器や防具を買ってもらい、奥の手の武器としてブラッディ―タイガーの素材から造られた斬馬刀がある。
斬馬刀を使えば負ける気が全くしない。
(あの斬馬刀があれば確実に勝てる。だが、それに頼るような真似をしてはならない。素の力で勝てるようにならなければ)
ティールから貸してもらっている武器の性能が解るからこそ、それに頼り過ぎることは誇り高き竜人として許せない。
「だろ。ただ……一応冒険者として活動してるから依頼も受けないとなんだよな」
「ふむ、確かにそうかもしれないな。討伐系の依頼をメインで受けるのか?」
「俺としては面白そうな依頼なら討伐系以外でも受けるつもりだ」
いかにも冒険者らしい考えと言えるだろう。
その考えを特に否定することはなく、そういった考えもありだなとラストは思った。
「それでは、明日はまず冒険者ギルドに行くのだな」
「そうだな。でも、朝早く起きるのは辛いから、のんびり寝てから行く」
「……ティールさんの決定を否定する気はないが、冒険者は朝早くからギルドに訪れて依頼を探すものではないのか?」
ラストの頭にはそういった知識が入っていたが、それは決して間違っていない。
間違ってはいないが、その常識にティールは当てはまらない。
「朝から冒険者が勝ち取ろうとする依頼は割の良い依頼だ。別に金には困っていないから冒険者たちが引いた後にのんびり面白そうな依頼を探せば良いんだよ」
ラストを買ったことで結果的に白金貨五枚と装備代が懐から消えたが、ティールの懐にはまだ金貨や銀貨がそれなりにあるので、わざわざ割の良い依頼を探す必要は全くなかった。
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